柚木麻子著『本屋さんのダイアナ』(新潮文庫ゆ14-2、2016年7月1日発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
私の名は、大穴(ダイアナ)。おかしな名前も、キャバクラ勤めの母が染めた金髪も、はしばみ色の瞳も大嫌い。けれど、小学三年生で出会った彩子がそのすべてを褒めてくれた――。正反対の二人だったが、共通点は本が大好きなこと。地元の公立と名門私立、中学で離れても心はひとつと信じていたのに、思いがけない別れ道が……。少女から大人に変わる十余年を描く、最強のガール・ミーツ・ガール小説。
矢島大穴(ダイアナと読ませる)は、小さな顔に長い睫毛、大きな瞳、とがった顎、やせっぽちな薄い体を持つ美少女。いつも一人ぼっち。髪は母に染められた金髪。なによりもこの名前が嫌いだ。本屋さんで働くのが夢。
キャバクラ勤めのシングルマザーの母ティアラ(矢島有香子)は、びっくりするほど小さな顔にとがった顎、つけまつげとカラーコンタクトの大きな青い瞳、金色に染めた髪。
母は、「パパと相談して、あんたが世界一ラッキーな女の子になれるようにと思ってつけたんだ。世界一の名前じゃん。・・・」と得意そうに微笑む。
神崎彩子は、優等生で、華やかではないが目鼻立ちが整い、なめらかな肌、つややかな黒髪を持つ清楚な少女。大手出版社の編集者である父と料理教室を開く母を持ち、洗練されたものに囲まれて育った裕福な少女
対照的な二人が本好きの共通点で親友になった。互いを羨ましく思いながらもひかれあっていたが、中学校で公立と私立と分かれ、ちょっとした誤解、境遇の差から疎遠になるが、10年後に再び・・・。
武田良大(りょうだい)は、商店街で3代続く肉屋の一人息子。小学校の同級生で、乱暴者だが人気者。
本や作家の名前が良く出てくる。『赤毛のアン』、『夜中の薔薇』『父の詫び状』(向田邦子)、『秘密の花園』、幸田文、森茉莉など。また、折に触れて引用される『秘密の森のダイアナ』は架空の物語。
初出:2014年4月新潮社より刊行
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
少女小説、女子小説はおじいさんにはキツイ。でも、珍しさもあって結局読んでしまった。
面白くないわけではない。彩子、武田くんなど友人たちは典型的キャラで面白味がないが、ダイアナだけは屈折していて興味を引く。元良家子女のティアラをもっと掘り下げたらおもろいかも。
父が競馬好きで、子供の名前に「大穴」と名付ける? いくらなんでも、ありえないっしょ!!
目次
第1章 “ほんもの”の友達
第2章 別世界の人
第3章 月光石のペンダント
第4章 森を出る
第5章 分断された私
第6章 呪いを解く方法
解説 鴻巣友季子