手抜き除染袋、飯館以外も 本紙、南相馬で水漏れ確認(2018年1月3日中日新聞)

2018-01-03 08:59:23 | 桜ヶ丘9条の会
手抜き除染袋、飯舘以外も 本紙、南相馬で水漏れ確認 

2018/1/3 中日新聞

 東京電力福島第一原発事故に伴う福島県飯舘村の除染現場で、防水用の内袋を閉じていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、同様の手抜きフレコンが村の他の現場や、福島県内の別の自治体でも発生していることが、本紙の調査や元作業員らの証言で分かった。一部では汚染された疑いのある雨水が外に漏れているのを確認。早期の帰還を願う住民や現場の作業員にとって高い安全性が求められる除染事業が揺れている。

 本紙は昨年十月末~十二月、国発注の除染事業で現在もフレコンが置かれている福島県内の七市町村、計二十カ所の仮置き場や除染現場を調査。敷地外から作業状況や袋の状態をチェックするなどした。

 うち南相馬市の「希望の牧場・ふくしま」で十月二十八日、牧場管理者の了解を得て、汚染土壌などが入った百袋の外袋を開けると、三十二袋は内袋が閉まっておらず中身が露出。ほとんどが内部に雨水がたまり、汚染廃棄物を浸していた。外へ水がにじんだり、垂れたりした袋もあった。

 これらは大成建設などの共同事業体(JV)が請け負った除染事業で、昨年八月ごろに土壌などを詰めた四千四百袋の一部。環境省福島地方環境事務所によると、既に焼却された分を除く三千八百袋が今も牧場に積まれている。環境省や大成建設によると、施工業者から手抜きフレコンがあったとの報告はないという。

 本紙既報の飯舘村のケースでは二〇一五年十月、特定の業者の施工分の三割、千袋に手抜きが見つかっていた。他の事例について、同時期に飯舘村などで除染作業に従事した元作業員の川崎雅幸さん(66)=松山市=は「少なくとも飯舘村と南相馬市の(複数の業者の)計五カ所の現場では、内袋をきちんと閉じていなかった」と証言。一五~一六年に浪江町などで作業した男性(70)=南相馬市=は「少なくとも四カ所で手抜き作業を見た」と話す。

 環境事務所の担当者は、希望の牧場での本紙調査について「ここまでの状況は想定していなかった」とコメント。手抜き作業の横行について「内袋をきちんと閉じるのは当然だ」として、全ての元請け事業者に管理の徹底を指示するとしている。

 100万袋超の可能性 

2018/1/3 中日新聞
 【解説】 手抜きフレコン問題は、被災地の住民はもちろん、三兆円を超える公費が投入されている除染事業への国民の信頼を裏切るものだ。

 国発注の除染事業でこれまでに使用されたフレコンは九百万袋。うち今回、問題となっている内袋付きは四百五十万袋ある。本紙調査で実際に中身を確認できたのは南相馬市の牧場の一例だけだが、ごく一部の例外とは思えない。この牧場や、二〇一五年の飯舘村の事例での手抜き率はともに三割。仮に全体にあてはめれば、百万袋を超える。

 環境省によると、除染事業が始まった当初は内袋のないフレコン(一袋四千円ほど)が主流で、除染現場や仮置き場(一時保管場)に遮水シートをかけ、雨水を防いだ。価格が倍近い内袋付きへの切り替えが始まったのは一四年。以降、環境省の方針で除染現場でのシート掛けは不要とされた。内袋が機能していないのが実態なら、環境汚染が拡大している恐れがある。

 フレコン内の放射線量は原発構内と比べれば高くない。だからといって手抜き作業を看過していては、内袋付きに切り替えた意味は何だったのか。国は直ちに管理状況の調査を始めるべきだ。

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