『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  95

2019-08-23 04:58:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 折からの太陽が親水の浜を茜の光でオレンジ色に染め始める。
 最終の試走を終える、アエネアスが親水の浜に降り立つ、完成艇の試走に参加した者ら、そして、建造の場の者らが統領を迎える、彼らから拍手が起こる。
 アエネアスが彼らの面前に立つ、一同と顔を合わせる、彼らに声をかける。
 『おうおう、諸君!』場を見まわす、彼らと目を合わせる。
 『おう、一同!ご苦労であった!諸君らが日々に労苦と精魂を尽くして造り上げた全艇の親水と試走を終えた。全艇が満足できる完成度である。技術の限りといい船造りの精神で丹精して造りあげた船に大いなる誇りを持ってくれ!そして、いつの日にか、これらの船が使ってくれる人らに届く、君らが造りあげた船は誇るべき至上最高の船である!』
 アエネアスが言い終わる、場にドッと喊声があがる、親水の浜が沸く。
 ドックスがアエネアスに近寄る、面前に立つ、口を開く。
 『統領、本日は、完成艇の親水、試走に参加いただきありがとうございました。そのうえ、建造の場の一同にいい言葉をもらいありがとうございました。我々にとってこの上ない励みになります。重ねて礼を言います。私どもは、これからもいい船造りに心を尽くしていきます。本日はありがとうございました』
 ドックスが丁寧に言い終える、場に拍手が起こる、浜にいる全員が手を打っている、拍手がマックスに達する。
 アエネアスは、安心と満足の表情で一同と交歓する。
 ドックスは、船台の場で講評会を開く、統領、軍団長も出席する、出席者が試乗した感じを忘れないうちに開く講評会としたい目論見である。
 パリヌルスをはじめ操船担当のコマンデス、操舵担当のダトルス、帆張りを担当した者ら8人を加えて総員14名でドックスが主役をを務め、パリヌルスをアドバイザーとして他の12名の講評を聴きとる。
 ドックスがパリヌルスに声をかける。
 『パリヌルス隊長、講評会参加者からの講評が集まりました。本日中に評価を検討しておきたいと考えています。夕めし後にこの船台の場でやります。よろしく願います』
 『おう、了解!』
 ドックスが一同に声をかける。
 『統領、軍団長、そして、一同、講評会にの参加、ありがとうございました。もらった講評を検討して、全ての艇を再点検のうえ、修正すべきを修正して全艇を完成させます。ありがとうございました』
 一同からの拍手である、講評会を閉じる。
 ドックスが場を去るアエネアスとイリオネスを見送る。
 一同がそれぞれの持ち場に戻って行く、浜に宵のとばりが下りようとしている。
 アエネアスら二人が会所に着く、オロンテスが待っていた。