『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  83

2019-08-07 05:01:08 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ガリダ頭領ら一行四人は、陸路を馬で来たのである。
 ドックスは、傍らの者にパリヌルスに連絡するように言いつける、ガリダ方の四人を伴って会所へとおもむく、ドックスがガリダ頭領に声をかける。
 『頭領、私、用件を達しに行きます。会所に統領と軍団長がいます。会所でゆっくりしていてください』
 『おうっ!』
 ドックスは、パン工房に向けて走る。
 ガリダが会所の入口に立つ、声をあげる。
 『お~お、統領殿に軍団長殿、壮健でいられるかな?』
 『おう、ガリダ殿、ようこそ!』と言って、二人が立ちあがる。
 『お~お、壮健でいられる!何より何よりですな。いつも大変世話になっています。ありがとうございます。おう、タブタ、持参したものをこちらへ』
 タブタら三人が持参したものを会所のテーブルの上におく、ガリダが丁重に言う。
 『どうぞ、受け取ってください。昨日、久しぶりに牛を解体いたしました。この時期、脂のノリが良く味わいのいい時期なのですな。皆さんで笑味してください』
 『お~お、それはそれは、ガリダ頭領殿、喜んでいただく!このようにたくさんいただいて恐縮です。それに牛とは、ありがとう』
 アエネアスが礼を述べる。代わって、イリオネスが口を開く。
 『ガリダ頭領殿、こんなにいただいてありがとう。心から礼を言います。ところで今日は、船に関しての建造用材の打ち合わせと聞いています。よろしく願います。オキテスは、今、営業航海に出て不在ですが、代わって、パリヌルス、ドックスが話し合うことになっています。よろしく願います』
 『承知しました。満足いただけるよう心を尽くします』
 ドックスが朝食のパンと飲み物を持って戻ってくる。
 会所のテーブル上にあるいただき物に驚く。
 テーブル上を整える、ガリダ頭領一行四人の朝食の支度を整える、飲み物の杯を手渡す、飲み物を注ぐ。
 『頭領、どうぞ召しあがってください』
 『おう、ドックス棟梁、ありがとう。手間をかけたな』と言って、杯を口に運ぶ、口をつける、飲み下す。
 『おう、棟梁、口当たりのいい飲み物じゃないか、これは旨い!』
 パンをちぎり口に運ぶ、パンの風味が変わっていることに気づく。
 『パンの味も変わったな。この風味、なかなかいい!タブタ、お前、どうだ?』
 『ハイハイ、パンも飲み物もうまい!うまい!です』
 パリヌルスが会所に姿を見せる、ガリダ頭領に声をかける。
 『ガリダ頭領殿、ようこそ!来てくれました、ありがとう!今、オキテスが不在です。今日はドックスと私が船の建造用材について話し合います』
 『おう!パリヌルス隊長、お手やわらかく頼みます。ドックス殿にせがんで朝食を馳走になっています。こうして、ここで食べる朝めしは旨い!毎日こうやって朝めしにありつきたい気持ちになりますな』
 『どうぞどうぞ、私ら、もろ手を上げて、ガリダ頭領どの、大歓迎です』
 『パリヌルス隊長、言ってくれるね!そんなに言ってくれるなら、甘えるぞ!おい!タブタ、明日から、毎日、ここで朝食といくぞ!まあ~、それは冗談として、うまい朝食の褒め言葉だ』
 これを聞いているアエネアスら、ガリダら一行が拍手をする、感動する、一時に一同が打ち解けた。