『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  86

2019-08-12 04:30:26 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 昼食後に交わしている歓談も話題が尽きてくる、終わりを迎える、ガリダ頭領から声がかかる。
 『統領殿、軍団長殿、大変馳走になりました』
 二人と目を合わせる。
 『ありがとうございました。当月の船の建造用材並びに軍船の改造用材等の納入に関する話し合い打ち合わせを終えました。私どもは力を尽くして、満足していただけるように計らいます。よろしく願います』
 ガリダの目に誠意があふれている。
 『また、当方からの製材担当の派遣についても打ち合わせを終えました。今後ともよろしく願います。今日はこれにて失礼します』
 『おう、ガリダ頭領殿、万事よろしく願います。同道の一同ご苦労でした』
 ガリダ頭領一行が船舶建造の場から帰途に就く、馬上の一同をパリヌルスとドックスら三人が見送る。
 ドックスら二人は、建造の場へ、パリヌルスは会所へと歩を向ける。
 パリヌルスは、ガリダらとの交渉結果をアエネアスとイリオネスに報告する。
 『以上です。軍船の改造は予定通りに完了できると考えています』
 『おう、そうか。安堵してもいいな』
 『はい、安堵してください。改造の完了予定は17日に予定しています。以上です』
 『おう、ごくろうであった』
 イリオネスが念を押す。
 『パリヌルス、安心航海は、船の構造に頼ること大なりと心得てくれ』
 『そのように心得て、業務に取り組んでまいります』
 『おう、頼むぞ』
 パリヌルスは、会所をあとにする。会所の二人は話し合う。
 『統領、事は着実に進んでいます。統領と私の航海の安心についての考え方に少々の相違があります。それを払拭しておかねばなりません』
 『おう、そうだな。それについては、明日の午後にでも話し合おうではないか』
 『解りました。話し合って、意思を統一しておくことが肝要です』
 『心得た!』
 『今日、このあとは、どのようなスケジュールで?』
 『今日のこのあとか、二人で建造の場を見まわるだ』
 『解りました。その予定で対処します』
 『ところで、軍団長、オキテスの今日はどのあたりだ?』
 『オキテスですか、今日はレテムノンでの展示試乗会を終えます。明日は、航海日です、確かマリアまで行く予定のはずです』
 『おう、そうか!』
 『船の預託話がエドモン浜頭と整えば、マリア、レテムノン、イラクリオンの今後における展示試乗会の催行は、エドモン浜頭の配慮にゆだねることになります』
 『そうだな。いいかもだな、軍団長、いいかもだぞ、それがいいという結論ではない』
 『そうですね』
 二人は、そのような懸念を持ちながらもそのように決断している。二人はその計画実行に不安感を持ちながら、エドモン浜頭を信頼するスタンスに立脚して実行に踏み切ったのであった。