『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  951

2017-01-23 15:00:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は、競技大会の会場予定地である撃剣訓練の場の小屋へ帰ってきた。
 リナウスは、競技大会の会場をどのように設営しようかと頭が割れるような思いで考えている。彼自身は競技施行要領の木板づくりどころではなかった。彼は意図をもってマッチスをもめ上げた。
 『マッチス、今朝、仕上げた競技施行要領の木板だが美しく仕上がっていたな、大したもんだ。お前が引く線はキリットしていて、なかなかいい!ところであと何組作れば、事足りる勘定になる?』
 『そうですね、入用とするのは、統領と軍団帳に一組、委員長と私分に一組、委員たちの分が6組、予備に一組として、合計9組です。それに対して、昨日作ったのが三組、今朝、造ったのが三組、あと三組作れば十分です』
 『あと三組か。木板はあるかな?』
 『はい、木板は13枚ありますが』
 『よし!お前ひとりで木板作りやれそうか?』
 『午前中いっぱいで作れると思います』
 『よし!マッチス、木板作りに取りかかってくれ。今の俺は、会場のことで頭がいっぱいなのだ、木板作りに手を付けられない。マッチス、木板作り引き受けてくれ、お前に任せる。俺は現場を見て、会場のことに集中する』
 『解りました。あと三組を仕上げればよろしいのですね』
 『おう、そうだ!頼んだぞ!俺は会場予定地にいる』
 リナウスは言い残して、草刈鎌とハンマー、そして、目印に建てる棒杭数本を小脇に抱えて小屋を出た。マッチスは、木炭を手にして木板にむかいあった。
 会場予定地に立ったリナウスは、基本となる地点を決めて、棒杭を地面に打ち込んで立てる。立てた棒杭に準備してきたロープの一端を結ぶ。ロープの長さは、1スタジオンの長さである。
 彼は、このロープ一本を物差しに使用して、数本の棒杭を地面に立てて、競技大会の競技区画の設定を終えた。
 リナウスが会場予定地の設定を終えて小屋に帰ってきた。
 『おう、マッチス、木板の仕上がり具合はどうだな?』
 『はい、うまくいっています。あと一組を仕上げれば終わりです』
 『おう、そうか。それは重畳!言うことなしだな』
 リナウスは、大きく息をついて話をつづけた。
 『これであとは、草の刈りとり、そして、ロープをを張って線引きをやる、そして、会場の設営だ!それで決まりだ』と言いながら、マッチスが仕上げた木板を手に取り見つめた。
 『おう、上等じゃないか!いい仕上がりだ。俺が引く線より、お前が引いた線のほうが美しい。図面としてのまとまりもよくできている。上出来だ』
 『委員長、ほめていただいても何も出ませんよ』