『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  945

2017-01-14 10:00:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 陽が昇る、日が変わる、パリヌルスは、朝イチに建造の場のオキテスのところに姿を見せた。ドックスが一足先にオキテスのところへ来て、打ち合わせに余念がない。
 『おう、オキテスにドックス!おはよう!君ら早いじゃないか。昨日は大変にご苦労であった。万事、当方の思うように事が運び何よりであった。重畳!』
 『おう、艇の底板の部材も積んで帰ったし、新しく採用する造作金具類についても決めて調達を終えた。うまく事が運んだ。安心の二文字だ』
 ドックスが朝の挨拶に加えて言葉をかけてくる。
 『おはようございます。パリヌルス隊長、昨日は、キドニアにおいて、オキテス隊長、オロンテス隊長に世話をかけました。そのかいあって万事うまく事が運びました。新艇の造作金具類を戦闘艇の建造に使用することが妥当ではないと判断し、新しい造作金具類を調達した次第です。戦闘艇の建造に使用する部材に対しての最適性を思考して造作金具類を決めました』
 ドックスは、造作金具類の決定に関する思考の経緯を述べて、書きあげ作成した2枚の木板をパリヌルスに手渡した。
 木板の1枚には建造の工程と日程を書き記し、もう1枚の木板には、新しく採用する造作金具類を使用しての構造工作図が描かれていた。
 ドックスが話を継いでいく。
 『建造の工程および日程は木板に書いてあります。もう1枚の木板は構造工作図であり、柱材の連結と柱材を艇体の根幹にして戦闘艇を建造するについて、底板との連関構造について描きました。目を通してください。もし、改変事項等がありましたら、指摘してください』
 『おう、解った。ようやってくれた』
 ドックスが描き、書いてくれた木板をパリヌルスとオキテスが注視する。二人の目のウロコがはがれて落ちる、感動せずにはいられない二枚の木板であった。
 『おう、これは解りやすいわ。ドックス、大変だったろう』
 『お二人の仕事ぶりに接していて、俺もという気持ちです』
 『パリヌルス、ドックスの考えをどのように考える?』
 『申し分がない!これなら、艇の根幹をなす柱材と艇の一体性が実現する。ようここまで構想してくれた。ドックス、礼を言う』
 パリヌルスが姿勢を改める。
 『これは、昨日、描きあげた柱材の全体像である。根幹柱体の全体像であり、柱体の断面図と艇首の突端の衝角形状だ。オキテスもドックスも見て考えてくれ。衝角については、実験試作艇では、柱体の削りだしにとどめ、特別構造を講ぜずに造りあげる。オキテスにドックス、検討を頼む。今日の午後に話し合いをしよう』
 『了解!承知した』
 『午後には、ここへ来る』
 『おう、解った!』
 パリヌルスは、建造の場をあとにした。