『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  950

2017-01-21 16:32:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 今日のヘルメスの走りは、追い風に押されて、キドニアに向けて海上を駆けたといった航走であった。
 『ギアス、今日の船足は速かったな。時間をかけずにキドニアに着いた。快挙重畳!ご苦労!』
 オロンテスは、両手ばなしで快哉を叫んだ。

 小島では、陽差しをさえぎっている空模様が釣果に幸いした。魚が釣れに釣れまくった。久々の大漁である小島全体が湧きに湧いている。ジッタがアレテスに声をかける。
 『隊長、これはどういうことですかね?海に魚がいなくなるのでは!大変な大漁です』
 『おう、何でもいい!釣果が良ければ、これ幸いなり。ジッタ!どうだ!昼に久しぶりの祝い酒でもみんなと飲むか!』
 『いいですね!頑張ります!』

 『委員長、お待たせしました』
 よくとおる声がリナウスの耳を打つ。
 『おう、マッチスか、おはよう!来たか、行くぞ。木板、持ってきたな』
 『はい!朝、早起きして競技施行要領図ですが三組仕上げました』
 『ほう、そうか。それはご苦労であったな』
 二人は競技大会のあれこれを話しながら、軍団帳の宿舎へと足を運んでいく。
 『委員長、今日は曇り日ですが、明日は、晴れわたってくれるといいですね』
 『マッチス、それは心配せずといい、俺は必ず晴れると信じている。『信ずるは必ず実現する』それが俺の信条だ』
 二人は軍団長の宿舎に着く、リナウスが戸口に立って声をかける、中から声が返る。
 『その声は、リナウスだな。おう、はいれ!』
 『軍団長、おはようございます』マッチスが唱和する。
 『おう、おはよう』
 リナウスが口を開く。
 『報告します。体技競技大会の大会施行次第および競技施行要領ができました。目通しください』
 リナウスは木板をマッチスから受け取って軍団帳に手渡した。
 『おう、ご苦労!立っての話もなんだ、二人ともそこに腰掛けろ』
 『はい、ありがとうございます。この木板に書き記したのが体技競技大会の施行次第です。こちらが競技施行要領の図面です、各種目別に書いております。目通しください』
 『お~お、これは解りやすい』
 イリオネスは木板に書かれた競技大会の資料に目を通した。
 リナウスがおもむろに口を開いて告げた。
 『今日これからの予定ですが、午前中は競技施行要領の図の必要不足分の木板をつくり、午後は委員連中総がかりで競技大会の会場づくりを行います』
 『解った。午後遅くになると思うが、統領と一緒に大会予定会場に足を運ぶ』
 『お待ちしています。木板に書いた分に書き加えるところがあれば言っていただければ書き加えます』
 『見たところ不足がない、気が付いたら、それについて指摘する』
 『作業予定がありますので、これにてそちらに向かいます』
 リナウスとマッチスは、軍団長の宿舎をあとにして競技大会の会場予定地へと向かった。