≪最終一番勝負 第68譜 指始図≫ 7七同歩成まで
[わたしの願い]
まどか
「これがわたしの祈り! わたしの願い! さあ‼
叶えてよ‼ インキュベーター!!!」
(アニメ『魔法少女まどかマギカ』TVシリーズ版 より)
インキュベーター (incubator)
1. 孵卵 (ふらん) 器
2.(未熟児のための)保育器
3.新規産業の企業を育成し、誘致するために、公機関などが、低コストで提供する施設
技術・経営関係のインキュベーションもあわせて提供する
(デジタル大辞典 小学館)
<第68譜 吉祥B図の調査 完了!>
「吉祥B図」を徹底調査中。今回でその最終回になる。
吉祥B図
【00】7七歩 → 同歩成で「吉祥A図」に → 千日手ループ
【1】3三歩成 (後手良し) → 先手良し
【2】3三香 (後手良し) → 後手良し
【3】8九香 (先手良し) → 先手良し
【4】2五香 (形勢不明) → 先手良し
【5】5四歩 (先手良し) → 先手良し
【6】2六香 (先手良し) → 先手良し
【7】2六飛 (先手良し) → 先手良し
【8】2五飛 (先手良し) → 先手良し
【9】3七桂 (先手良し) → 先手良し
【10】3八香 (後手良し) → 先手良し
【11】8一飛 (形勢不明) → 互角(形勢不明)
【12】1五歩 (後手良し) → 先手良し
【13】9八金 (後手良し) → 先手良し
【14】6五歩 (後手良し)
【15】3七飛 (先手良し)
※ (灰色字) は「吉祥A図」の調査結果
[調査研究 【14】6五歩]
6五歩図
「7八歩、7六歩」の手交換のない形での(「吉祥A図」からの)【14】6五歩 は、第60譜 で結論が出ていて、「後手良し」である。手順は7五桂、9八金、7六桂、8九香、6六銀という手順。
ところがこの図の場合は、「7六桂」の手がない。これができないとなれば、図の【14】6五歩が「先手良し」の可能性もあるかもしれないわけで、正確な結果を知るためには調査の必要が出てくる。
候補手は、〔P〕5六桂、〔Q〕7八と、〔R〕7五桂、〔S〕6六銀。
後手は先手に無条件に6四歩と桂馬を取られてしまってはいけない。
研究6五歩図01
まず、〔P〕5六桂(図)と桂馬を逃げる手を考えよう。
この手には、7七歩、同歩成、3七飛と指すのが良い(次の図)
研究6五歩図02
このまま3三香と打ちこまれると後手はまずいので、7五桂と打つ。
以下7七飛(代えて9八金と受けるのは6六銀以下形勢不明)、6六銀、3七飛。次に3三香と打ちこむと後手陣は攻略できる。
なので後手は 4四銀 と受けるが、7六歩と打つ手がある。仕方のない6七桂成に、4五歩、同銀、3三香(次の図)
研究6五歩図03
3三同桂に、5二角成で先手勝ち。
研究6五歩図04
4四銀 に代えて、3一銀(図)にはどうするか。3三香なら4二金とがんばる意味だ。
3一銀 には2六香と打つのがわかりやすい攻めになる。2三香成、同玉、3三金、2四玉、8四馬が狙いの攻め。
それを受けて後手4二銀引とする。
そこで、ここでも7六歩が打てる。以下6七桂成には、なんと、同飛!
同銀成に、1五桂(次の図)
研究6五歩図05
先手勝勢になっている。
研究6五歩図06
〔Q〕7八と(図)は、やや遅いが着実な攻め。
これには2五香と打つ。7七歩成なら、2六飛、3一桂、2三香成、同桂、2四金で先手良し。6二金なら6四歩と桂馬を取って1五桂と3五桂を狙って、これも先手良し。
なので、後手は2五香に、1一桂と受け、2六飛に、6二金とする。次に3一玉が後手の狙い。それを許さないために、3三歩成(次の図)
研究6五歩図07
3三同桂なら2三香成、同桂、2一金、同玉、2三飛成、1一玉、3二角成で先手勝ちになる。
よって、3三同玉。
以下3六飛、4四玉、3七桂、3三桂、8五歩、7四金、6四歩、同銀左上、4六桂(次の図)
研究6五歩図08
先手勝勢になった。
研究6五歩図09
〔R〕7五桂(図)は当然考えなければいけない手。
これは9八金と受ける(次の図)
研究6五歩図10
「7八歩、7六歩」が入っているこの型では、ここで後手7六桂がないので、それでどうなるかが注目点である。
ここで考えられる後手の手は〈1〉7八と、〈2〉6六銀、〈3〉6六歩、〈4〉5六桂。
研究6五歩図11
〈1〉7八と(図)として、次に7七歩成~7六歩と2手入れば先手玉に詰めろが掛かる。
先手は2六香と打つのが早い攻めになる。次に無条件で2五飛が打てれば先手勝ちになる。
したがって後手は6二金と受ける。2五飛なら3一玉で後手が勝ち。
ここで3三歩成が正着(次の図)
研究6五歩図12
3三同銀は5一竜だし、3三同桂は6四歩と桂を取って3四桂を狙えば先手良し(3一玉には1一飛がある)
3三同玉には、8四馬、同銀、3五飛で、やはり先手勝ち。
研究6五歩図13
〈2〉6六銀(図)にも、2六香と打つ。
以下6二金、3三歩成に、同桂と応じる。
そこから、6四歩に、3一玉と進む(次の図)
研究6五歩図14
そこで先ほどと同じように1一飛は2二玉、8四馬に、8七桂成、同金、同と、同玉、7七金以下、後手良しになってしまう。
ここは、6三歩成とする。以下4一玉、1一飛、3一銀、5三と(次の図)
研究6五歩図15
先手勝ち。5三同金は、3一飛成、同玉、5一竜以下、“詰み”
研究6五歩図10(再掲)
〈3〉6六歩 も同じように進めて先手良しになる。
〈4〉5六桂と桂を逃げておくのはどうだろう。2六香、6二金、3三歩成、同桂に、8五歩(次の図)
研究6五歩図16
7四金に、7五馬がある。
同金に、3四桂、1一玉(3一玉は1一飛、2一角、2三香成で先手勝勢)
そこで、8九飛と受ける(次の図)
研究6五歩図17
後手8六角と7九角の手を両方受けて、次の3二角成または2三香に期待する。3一銀には5一竜があるので受けがなく、先手勝勢である。6六金も、3二角成、7五角、8六飛で受かっている。
研究6五歩図18
【14】6五歩に、〔S〕6六銀(図)の場合。
やはり2六香と打つのが良い。以下6二金には、3三歩成、同桂、6四歩で、先手良し。
2六香に、7五桂、9八金と進めば、先ほどの変化に合流して先手良しが確定している。
したがって、2六香に、5六桂としてみる(次の図)
研究6五歩図19
ここは、2三香成と行く手がある。同玉に、1一飛(次の図)
研究6五歩図20
「7五桂、9八金」で、金を受けに使ってしまっている場合には、この攻めは2二玉で無効になっていた。しかしこの場合は、2二玉には、3二角成、同玉、1二飛成、2二歩に、2三金から後手玉“詰み”――という寄せがある。
図以下、変化の例は、3四玉、2一飛成、9五歩(代えて7五桂は7九桂の受けで後手の攻めが止まる)、同歩、9六歩、同玉、9四歩、8五金(次の図)
研究6五歩図21
「桂香」を持っている後手の9筋の攻めは厳しい攻め。しかし、8五金(図)で受かっている。
ここで8二桂なら、9四金として、同桂に、3七桂で先手勝勢だ。
4五玉としても、2六竜で後手玉は安全にならない。
他に考えられる後手の手は、7五銀だ。以下3七桂、9五歩、同金、同金、同玉、8四金、同馬、同銀引、9四玉(次の図)
研究6五歩図22
先手玉は捕まらない。先手勝勢になっている。
6五歩図(再掲)
これで、【14】6五歩 は 先手良し、と確定した。
[調査研究 【15】3七飛]
3七飛図
3七飛を打つのなら、「7七歩、同歩成」としてからの3七飛と打つ方がスッキリする。それで「先手良し」になることは、すでに 第61譜 で証明済みだ。
この場合の【15】3七飛(図)はどうなるか、が以下の調査テーマである。
研究3七飛図01
〔は〕7五桂(図)と打つのは、7七歩として―――(次の図)
研究3七飛図02
7七同歩成なら、すでに研究調査済みの図になり、先手良しが確定している。
6六銀は、7六歩、同桂、7九香で先手良し(6八桂成には7五香)
9五歩も、7六歩、9六歩、9八玉、7六桂、7九香で、先手良し。
ここで4六銀は、3三香で、先手良しになる。3三同桂、同歩成、同銀、3四桂、同銀、同飛、3三香と進めば、そこで1一銀があって寄せが決まる(次の図)
研究3七飛図03
これで先手勝勢。1一同銀なら3二角成、3一玉なら5二角成である。
〔は〕7五桂 は先手良し。
研究3七飛図04
すぐに、〔ひ〕4六銀(図)と飛車取りに銀を出る手。この手が、最も気になる手である。
ここで 〈ア〉3三香 で勝てればよいが、同桂、同歩成、同銀、3四桂、同銀、同飛、3三香と進み、そこで 1一銀 は、同玉で、今度は後手が勝ちになる。3二角成に―――(次の図)
研究3七飛図05
8五桂(図)で先手玉が詰んでしまう。8五同歩に、8八銀、9八玉、8六桂まで。
ということであれば、1一銀 に代えて、8四馬 はどうだろうか。同銀なら3二角成、同玉、3一金で後手玉が詰むので、後手は3四香と飛車を取る。以下6六馬、5五銀、同馬、4四銀(次の図)
研究3七飛図06
以下4四馬、同歩は、先手玉の詰めろを受ける必要があるし、後手玉が捕まらない形。
これは、先手負けの図。
研究3七飛図07(3六飛図)
ということで、〔ひ〕4六銀 には、〈イ〉3六飛(図)とすることになる。
以下、[u]7五桂に、9八金。
そこで 7八と なら、4六飛、7七歩成、3三香(次の図)
研究3七飛図08
3三香で、先手勝ちになる。同歩なら8四馬。同桂、同歩成、同銀は、5二角成。
そして3一銀は、5二角成、同歩に、3二香成、同玉、3三銀以下、後手玉“詰み”
研究3七飛図09
7八と に代えて、5五銀(図)の変化。
ここで3三香は同歩で後手良しだ。この場合は先手に駒がなくなり、角を渡すと7九角で受け駒がないため、角切りの攻めができないのだ。
ここでは、3三歩成、同銀、3五香とする手段がある(次の図)
研究3七飛図10
4二金なら、5一竜で良い。以下4一金に、3三香成、同歩、4一竜。7九角には8八銀で受けがあるので先手が勝ちだ(後手玉は3二金で詰む)
4二銀右や4四銀引としても、3三香成、同銀に、5二角成、同歩、4一飛で寄っている(ここでも7九角に8八銀がある)
残る手段は、8七と、同金、同桂成、同玉、4二金打である。これには、5二角成、同金に、3四桂という手がある。同銀、同香、3三桂打に、4一銀(次の図)
研究3七飛図11
次に3三香成、同桂、3四桂がある。適当な受けがなく、どうやら先手良しである。
4二銀引なら、5二銀成、同歩、3三香成、同歩、4一竜、3一銀打、3二歩。
研究3七飛図07(再掲 3六飛図)
4六銀に3六飛としたこの図まで戻って、ここで([u]7五桂以外の)他の手を考える。
[v]4七銀不成と、[w]6一歩が有力手である。
([x]6二金は5二歩、[y]3一銀は2五香で、先手良し)
研究3七飛図12
[v]4七銀不成(図)、2六飛、6二金、3三香、同桂、同歩成、同玉、3七桂(次の図)
研究3七飛図13
7五桂、7九桂、5六銀(5四銀は4六飛がある)、8五歩、7四金、8三馬、6三歩、3四歩(次の図)
研究3七飛図14
先手良し。3四同玉は3二角成。4四玉は、5六飛で先手勝ち。
2二玉に、7三馬(2一金以下の詰めろ)、3一玉、7四馬、4一玉、2三飛成で、先手勝勢。
研究3七飛図15
[w]6一歩(図)は気づきにくいが、好手である。これを[6一同竜]だと、7五桂、9八金、6二金、7一竜、3一玉で、これは後手良し。
[4六飛]は、3一玉、5二角成、同歩、6一竜、5一桂、8九金、9五歩が想定されるが、形勢不明。
ここは、[8四馬]で先手が勝てる(次の図)
研究3七飛図16
金を取って、3二角成、同玉、3三香以下の“詰めろ”になっている。
ただし、ここで3五銀と粘る手がある。同飛に、4四銀、6六馬、7四桂(次の図)
研究3七飛図17
ここで3三香と打つ。同桂、同歩成、同銀上に、同飛成で決めにいく。同玉に、3四歩(次の図)
研究3七飛図18
これで後手玉は詰んでいる。3四同玉は4六桂以下。
2四玉は、2五銀、同玉、3七桂打、3四玉、2五銀、3三玉、4五桂以下。
そして4二玉は、3二角成、5三玉、5四銀、同玉、4六桂以下の “詰み” である。
3七飛図(再掲)
〔は〕7五桂、そして、〔ひ〕4六銀 は先手良しがはっきりした。
他に後手良しの可能性が考えられるとしたら、〔ふ〕4四銀上 と、〔へ〕3一銀 だろう。
研究3七飛図19
〔ふ〕4四銀上(図)に、7七歩。
7七同歩成だと、すでに 第61譜 で調べた図になる。先手良しである。
ということなら、4六銀しかないだろう。そこで3三香は3一銀で攻め切れない。
ここは5二角成が正解である。同歩に、4一竜(次の図)
研究3七飛図20
7九角なら、8八香、3七銀不成、4二竜で先手勝勢。
受けるなら3一角だが、3三香と打ちこんで、同桂、同歩成、同銀引、3四桂、同銀、同飛、3三香、5四飛で、この変化も先手勝勢である。
研究3七飛図21
〔へ〕3一銀(図)は、先手の狙いの3三香を先受けした手で、ここで3三香なら4二金で後手良しだ。
ここは7七歩とする(同歩成なら同飛以下先手良し)
以下、4六銀、3六飛、7七歩成、4六飛と進む(次の図)
研究3七飛図22
以下 7五桂 、9八金、9五歩(図)と進み、9五同歩、9六歩、同玉、9四歩、9七玉、9五歩、7八歩、7六歩、2六飛 が想定される手順(次の図)
研究3七飛図23
2六飛(図)として、先手良し。
次に2五香と打てば先手勝ちが確定するので、後手は4四銀と出て、2五香には1一玉を用意する。この時に3三歩成(同桂なら5二角成がある)を受けたのが4四銀の意味。
4四銀には、5三歩が着実な勝ち方。以下3五銀に、2五飛、2四銀。
そのタイミングで、3三歩成(次の図)
研究3七飛図24
3三同歩は、2四飛、同銀、2三香。
3三同桂は、7五飛がある。同金に、3四桂、1一玉、5二角成で、先手勝勢(5二にできた馬が9六に利いている)
3三同玉には、3八香がある。
3三同銀には、5二歩成だ。
いずれも先手がはっきり良い。
研究3七飛図25
7五桂 に代えて、4二金(図)の変化。
6三角成、7四銀、4五馬、4四銀(先手の4五馬が好位置なので追う)、5四馬、7五銀、8九香と進むのが一例(次の図)
研究3七飛図26
手堅く8九香と受けた。これにはしかし7八歩が気になるところ。
しかし、以下5一竜、7九歩成に、4四飛が決め手(次の図)
研究3七飛図27
4四同歩は、3三銀以下、後手玉“詰み”
したがって、後手は8九ととするが―――3三歩成、同歩、4二竜、同銀、3二金、同玉、4一銀、5二銀(次の図)
研究3七飛図28
結局、これも “詰み” となる。5二同玉に、5三歩、4一玉、5二金、3一玉、4二金以下 の詰み。
3一玉としても、3二金、同玉、4三銀成から詰む。
〔へ〕3一銀 も 先手良しが確定した。
3七飛図(再掲)
これで、【15】3七飛 は 先手良し、とはっきりした。
ついに「吉祥B図」の調査が終了した。結果は下の通り。
吉祥B図(再掲)
【00】7七歩 → 同歩成で「吉祥A図」に → 千日手ループ
【1】3三歩成 (後手良し) → 先手良し
【2】3三香 (後手良し) → 後手良し
【3】8九香 (先手良し) → 先手良し
【4】2五香 (形勢不明) → 先手良し
【5】5四歩 (先手良し) → 先手良し
【6】2六香 (先手良し) → 先手良し
【7】2六飛 (先手良し) → 先手良し
【8】2五飛 (先手良し) → 先手良し
【9】3七桂 (先手良し) → 先手良し
【10】3八香 (後手良し) → 先手良し
【11】8一飛 (形勢不明) → 互角(形勢不明)
【12】1五歩 (後手良し) → 先手良し
【13】9八金 (後手良し) → 先手良し
【14】6五歩 (後手良し) → 先手良し
【15】3七飛 (先手良し) → 先手良し
※ (灰色字) は「吉祥A図」の調査結果
[わたしの願い]
まどか
「これがわたしの祈り! わたしの願い! さあ‼
叶えてよ‼ インキュベーター!!!」
(アニメ『魔法少女まどかマギカ』TVシリーズ版 より)
インキュベーター (incubator)
1. 孵卵 (ふらん) 器
2.(未熟児のための)保育器
3.新規産業の企業を育成し、誘致するために、公機関などが、低コストで提供する施設
技術・経営関係のインキュベーションもあわせて提供する
(デジタル大辞典 小学館)
<第68譜 吉祥B図の調査 完了!>
「吉祥B図」を徹底調査中。今回でその最終回になる。
吉祥B図
【00】7七歩 → 同歩成で「吉祥A図」に → 千日手ループ
【1】3三歩成 (後手良し) → 先手良し
【2】3三香 (後手良し) → 後手良し
【3】8九香 (先手良し) → 先手良し
【4】2五香 (形勢不明) → 先手良し
【5】5四歩 (先手良し) → 先手良し
【6】2六香 (先手良し) → 先手良し
【7】2六飛 (先手良し) → 先手良し
【8】2五飛 (先手良し) → 先手良し
【9】3七桂 (先手良し) → 先手良し
【10】3八香 (後手良し) → 先手良し
【11】8一飛 (形勢不明) → 互角(形勢不明)
【12】1五歩 (後手良し) → 先手良し
【13】9八金 (後手良し) → 先手良し
【14】6五歩 (後手良し)
【15】3七飛 (先手良し)
※ (灰色字) は「吉祥A図」の調査結果
[調査研究 【14】6五歩]
6五歩図
「7八歩、7六歩」の手交換のない形での(「吉祥A図」からの)【14】6五歩 は、第60譜 で結論が出ていて、「後手良し」である。手順は7五桂、9八金、7六桂、8九香、6六銀という手順。
ところがこの図の場合は、「7六桂」の手がない。これができないとなれば、図の【14】6五歩が「先手良し」の可能性もあるかもしれないわけで、正確な結果を知るためには調査の必要が出てくる。
候補手は、〔P〕5六桂、〔Q〕7八と、〔R〕7五桂、〔S〕6六銀。
後手は先手に無条件に6四歩と桂馬を取られてしまってはいけない。
研究6五歩図01
まず、〔P〕5六桂(図)と桂馬を逃げる手を考えよう。
この手には、7七歩、同歩成、3七飛と指すのが良い(次の図)
研究6五歩図02
このまま3三香と打ちこまれると後手はまずいので、7五桂と打つ。
以下7七飛(代えて9八金と受けるのは6六銀以下形勢不明)、6六銀、3七飛。次に3三香と打ちこむと後手陣は攻略できる。
なので後手は 4四銀 と受けるが、7六歩と打つ手がある。仕方のない6七桂成に、4五歩、同銀、3三香(次の図)
研究6五歩図03
3三同桂に、5二角成で先手勝ち。
研究6五歩図04
4四銀 に代えて、3一銀(図)にはどうするか。3三香なら4二金とがんばる意味だ。
3一銀 には2六香と打つのがわかりやすい攻めになる。2三香成、同玉、3三金、2四玉、8四馬が狙いの攻め。
それを受けて後手4二銀引とする。
そこで、ここでも7六歩が打てる。以下6七桂成には、なんと、同飛!
同銀成に、1五桂(次の図)
研究6五歩図05
先手勝勢になっている。
研究6五歩図06
〔Q〕7八と(図)は、やや遅いが着実な攻め。
これには2五香と打つ。7七歩成なら、2六飛、3一桂、2三香成、同桂、2四金で先手良し。6二金なら6四歩と桂馬を取って1五桂と3五桂を狙って、これも先手良し。
なので、後手は2五香に、1一桂と受け、2六飛に、6二金とする。次に3一玉が後手の狙い。それを許さないために、3三歩成(次の図)
研究6五歩図07
3三同桂なら2三香成、同桂、2一金、同玉、2三飛成、1一玉、3二角成で先手勝ちになる。
よって、3三同玉。
以下3六飛、4四玉、3七桂、3三桂、8五歩、7四金、6四歩、同銀左上、4六桂(次の図)
研究6五歩図08
先手勝勢になった。
研究6五歩図09
〔R〕7五桂(図)は当然考えなければいけない手。
これは9八金と受ける(次の図)
研究6五歩図10
「7八歩、7六歩」が入っているこの型では、ここで後手7六桂がないので、それでどうなるかが注目点である。
ここで考えられる後手の手は〈1〉7八と、〈2〉6六銀、〈3〉6六歩、〈4〉5六桂。
研究6五歩図11
〈1〉7八と(図)として、次に7七歩成~7六歩と2手入れば先手玉に詰めろが掛かる。
先手は2六香と打つのが早い攻めになる。次に無条件で2五飛が打てれば先手勝ちになる。
したがって後手は6二金と受ける。2五飛なら3一玉で後手が勝ち。
ここで3三歩成が正着(次の図)
研究6五歩図12
3三同銀は5一竜だし、3三同桂は6四歩と桂を取って3四桂を狙えば先手良し(3一玉には1一飛がある)
3三同玉には、8四馬、同銀、3五飛で、やはり先手勝ち。
研究6五歩図13
〈2〉6六銀(図)にも、2六香と打つ。
以下6二金、3三歩成に、同桂と応じる。
そこから、6四歩に、3一玉と進む(次の図)
研究6五歩図14
そこで先ほどと同じように1一飛は2二玉、8四馬に、8七桂成、同金、同と、同玉、7七金以下、後手良しになってしまう。
ここは、6三歩成とする。以下4一玉、1一飛、3一銀、5三と(次の図)
研究6五歩図15
先手勝ち。5三同金は、3一飛成、同玉、5一竜以下、“詰み”
研究6五歩図10(再掲)
〈3〉6六歩 も同じように進めて先手良しになる。
〈4〉5六桂と桂を逃げておくのはどうだろう。2六香、6二金、3三歩成、同桂に、8五歩(次の図)
研究6五歩図16
7四金に、7五馬がある。
同金に、3四桂、1一玉(3一玉は1一飛、2一角、2三香成で先手勝勢)
そこで、8九飛と受ける(次の図)
研究6五歩図17
後手8六角と7九角の手を両方受けて、次の3二角成または2三香に期待する。3一銀には5一竜があるので受けがなく、先手勝勢である。6六金も、3二角成、7五角、8六飛で受かっている。
研究6五歩図18
【14】6五歩に、〔S〕6六銀(図)の場合。
やはり2六香と打つのが良い。以下6二金には、3三歩成、同桂、6四歩で、先手良し。
2六香に、7五桂、9八金と進めば、先ほどの変化に合流して先手良しが確定している。
したがって、2六香に、5六桂としてみる(次の図)
研究6五歩図19
ここは、2三香成と行く手がある。同玉に、1一飛(次の図)
研究6五歩図20
「7五桂、9八金」で、金を受けに使ってしまっている場合には、この攻めは2二玉で無効になっていた。しかしこの場合は、2二玉には、3二角成、同玉、1二飛成、2二歩に、2三金から後手玉“詰み”――という寄せがある。
図以下、変化の例は、3四玉、2一飛成、9五歩(代えて7五桂は7九桂の受けで後手の攻めが止まる)、同歩、9六歩、同玉、9四歩、8五金(次の図)
研究6五歩図21
「桂香」を持っている後手の9筋の攻めは厳しい攻め。しかし、8五金(図)で受かっている。
ここで8二桂なら、9四金として、同桂に、3七桂で先手勝勢だ。
4五玉としても、2六竜で後手玉は安全にならない。
他に考えられる後手の手は、7五銀だ。以下3七桂、9五歩、同金、同金、同玉、8四金、同馬、同銀引、9四玉(次の図)
研究6五歩図22
先手玉は捕まらない。先手勝勢になっている。
6五歩図(再掲)
これで、【14】6五歩 は 先手良し、と確定した。
[調査研究 【15】3七飛]
3七飛図
3七飛を打つのなら、「7七歩、同歩成」としてからの3七飛と打つ方がスッキリする。それで「先手良し」になることは、すでに 第61譜 で証明済みだ。
この場合の【15】3七飛(図)はどうなるか、が以下の調査テーマである。
研究3七飛図01
〔は〕7五桂(図)と打つのは、7七歩として―――(次の図)
研究3七飛図02
7七同歩成なら、すでに研究調査済みの図になり、先手良しが確定している。
6六銀は、7六歩、同桂、7九香で先手良し(6八桂成には7五香)
9五歩も、7六歩、9六歩、9八玉、7六桂、7九香で、先手良し。
ここで4六銀は、3三香で、先手良しになる。3三同桂、同歩成、同銀、3四桂、同銀、同飛、3三香と進めば、そこで1一銀があって寄せが決まる(次の図)
研究3七飛図03
これで先手勝勢。1一同銀なら3二角成、3一玉なら5二角成である。
〔は〕7五桂 は先手良し。
研究3七飛図04
すぐに、〔ひ〕4六銀(図)と飛車取りに銀を出る手。この手が、最も気になる手である。
ここで 〈ア〉3三香 で勝てればよいが、同桂、同歩成、同銀、3四桂、同銀、同飛、3三香と進み、そこで 1一銀 は、同玉で、今度は後手が勝ちになる。3二角成に―――(次の図)
研究3七飛図05
8五桂(図)で先手玉が詰んでしまう。8五同歩に、8八銀、9八玉、8六桂まで。
ということであれば、1一銀 に代えて、8四馬 はどうだろうか。同銀なら3二角成、同玉、3一金で後手玉が詰むので、後手は3四香と飛車を取る。以下6六馬、5五銀、同馬、4四銀(次の図)
研究3七飛図06
以下4四馬、同歩は、先手玉の詰めろを受ける必要があるし、後手玉が捕まらない形。
これは、先手負けの図。
研究3七飛図07(3六飛図)
ということで、〔ひ〕4六銀 には、〈イ〉3六飛(図)とすることになる。
以下、[u]7五桂に、9八金。
そこで 7八と なら、4六飛、7七歩成、3三香(次の図)
研究3七飛図08
3三香で、先手勝ちになる。同歩なら8四馬。同桂、同歩成、同銀は、5二角成。
そして3一銀は、5二角成、同歩に、3二香成、同玉、3三銀以下、後手玉“詰み”
研究3七飛図09
7八と に代えて、5五銀(図)の変化。
ここで3三香は同歩で後手良しだ。この場合は先手に駒がなくなり、角を渡すと7九角で受け駒がないため、角切りの攻めができないのだ。
ここでは、3三歩成、同銀、3五香とする手段がある(次の図)
研究3七飛図10
4二金なら、5一竜で良い。以下4一金に、3三香成、同歩、4一竜。7九角には8八銀で受けがあるので先手が勝ちだ(後手玉は3二金で詰む)
4二銀右や4四銀引としても、3三香成、同銀に、5二角成、同歩、4一飛で寄っている(ここでも7九角に8八銀がある)
残る手段は、8七と、同金、同桂成、同玉、4二金打である。これには、5二角成、同金に、3四桂という手がある。同銀、同香、3三桂打に、4一銀(次の図)
研究3七飛図11
次に3三香成、同桂、3四桂がある。適当な受けがなく、どうやら先手良しである。
4二銀引なら、5二銀成、同歩、3三香成、同歩、4一竜、3一銀打、3二歩。
研究3七飛図07(再掲 3六飛図)
4六銀に3六飛としたこの図まで戻って、ここで([u]7五桂以外の)他の手を考える。
[v]4七銀不成と、[w]6一歩が有力手である。
([x]6二金は5二歩、[y]3一銀は2五香で、先手良し)
研究3七飛図12
[v]4七銀不成(図)、2六飛、6二金、3三香、同桂、同歩成、同玉、3七桂(次の図)
研究3七飛図13
7五桂、7九桂、5六銀(5四銀は4六飛がある)、8五歩、7四金、8三馬、6三歩、3四歩(次の図)
研究3七飛図14
先手良し。3四同玉は3二角成。4四玉は、5六飛で先手勝ち。
2二玉に、7三馬(2一金以下の詰めろ)、3一玉、7四馬、4一玉、2三飛成で、先手勝勢。
研究3七飛図15
[w]6一歩(図)は気づきにくいが、好手である。これを[6一同竜]だと、7五桂、9八金、6二金、7一竜、3一玉で、これは後手良し。
[4六飛]は、3一玉、5二角成、同歩、6一竜、5一桂、8九金、9五歩が想定されるが、形勢不明。
ここは、[8四馬]で先手が勝てる(次の図)
研究3七飛図16
金を取って、3二角成、同玉、3三香以下の“詰めろ”になっている。
ただし、ここで3五銀と粘る手がある。同飛に、4四銀、6六馬、7四桂(次の図)
研究3七飛図17
ここで3三香と打つ。同桂、同歩成、同銀上に、同飛成で決めにいく。同玉に、3四歩(次の図)
研究3七飛図18
これで後手玉は詰んでいる。3四同玉は4六桂以下。
2四玉は、2五銀、同玉、3七桂打、3四玉、2五銀、3三玉、4五桂以下。
そして4二玉は、3二角成、5三玉、5四銀、同玉、4六桂以下の “詰み” である。
3七飛図(再掲)
〔は〕7五桂、そして、〔ひ〕4六銀 は先手良しがはっきりした。
他に後手良しの可能性が考えられるとしたら、〔ふ〕4四銀上 と、〔へ〕3一銀 だろう。
研究3七飛図19
〔ふ〕4四銀上(図)に、7七歩。
7七同歩成だと、すでに 第61譜 で調べた図になる。先手良しである。
ということなら、4六銀しかないだろう。そこで3三香は3一銀で攻め切れない。
ここは5二角成が正解である。同歩に、4一竜(次の図)
研究3七飛図20
7九角なら、8八香、3七銀不成、4二竜で先手勝勢。
受けるなら3一角だが、3三香と打ちこんで、同桂、同歩成、同銀引、3四桂、同銀、同飛、3三香、5四飛で、この変化も先手勝勢である。
研究3七飛図21
〔へ〕3一銀(図)は、先手の狙いの3三香を先受けした手で、ここで3三香なら4二金で後手良しだ。
ここは7七歩とする(同歩成なら同飛以下先手良し)
以下、4六銀、3六飛、7七歩成、4六飛と進む(次の図)
研究3七飛図22
以下 7五桂 、9八金、9五歩(図)と進み、9五同歩、9六歩、同玉、9四歩、9七玉、9五歩、7八歩、7六歩、2六飛 が想定される手順(次の図)
研究3七飛図23
2六飛(図)として、先手良し。
次に2五香と打てば先手勝ちが確定するので、後手は4四銀と出て、2五香には1一玉を用意する。この時に3三歩成(同桂なら5二角成がある)を受けたのが4四銀の意味。
4四銀には、5三歩が着実な勝ち方。以下3五銀に、2五飛、2四銀。
そのタイミングで、3三歩成(次の図)
研究3七飛図24
3三同歩は、2四飛、同銀、2三香。
3三同桂は、7五飛がある。同金に、3四桂、1一玉、5二角成で、先手勝勢(5二にできた馬が9六に利いている)
3三同玉には、3八香がある。
3三同銀には、5二歩成だ。
いずれも先手がはっきり良い。
研究3七飛図25
7五桂 に代えて、4二金(図)の変化。
6三角成、7四銀、4五馬、4四銀(先手の4五馬が好位置なので追う)、5四馬、7五銀、8九香と進むのが一例(次の図)
研究3七飛図26
手堅く8九香と受けた。これにはしかし7八歩が気になるところ。
しかし、以下5一竜、7九歩成に、4四飛が決め手(次の図)
研究3七飛図27
4四同歩は、3三銀以下、後手玉“詰み”
したがって、後手は8九ととするが―――3三歩成、同歩、4二竜、同銀、3二金、同玉、4一銀、5二銀(次の図)
研究3七飛図28
結局、これも “詰み” となる。5二同玉に、5三歩、4一玉、5二金、3一玉、4二金以下 の詰み。
3一玉としても、3二金、同玉、4三銀成から詰む。
〔へ〕3一銀 も 先手良しが確定した。
3七飛図(再掲)
これで、【15】3七飛 は 先手良し、とはっきりした。
ついに「吉祥B図」の調査が終了した。結果は下の通り。
吉祥B図(再掲)
【00】7七歩 → 同歩成で「吉祥A図」に → 千日手ループ
【1】3三歩成 (後手良し) → 先手良し
【2】3三香 (後手良し) → 後手良し
【3】8九香 (先手良し) → 先手良し
【4】2五香 (形勢不明) → 先手良し
【5】5四歩 (先手良し) → 先手良し
【6】2六香 (先手良し) → 先手良し
【7】2六飛 (先手良し) → 先手良し
【8】2五飛 (先手良し) → 先手良し
【9】3七桂 (先手良し) → 先手良し
【10】3八香 (後手良し) → 先手良し
【11】8一飛 (形勢不明) → 互角(形勢不明)
【12】1五歩 (後手良し) → 先手良し
【13】9八金 (後手良し) → 先手良し
【14】6五歩 (後手良し) → 先手良し
【15】3七飛 (先手良し) → 先手良し
※ (灰色字) は「吉祥A図」の調査結果