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こんなシーンを想像してみました。
↓
Aという野球少年がいたとする。
少年には、どうしても勝ちたい相手チームがあって、ずっと勝てなかった。このチームに勝つことを夢見て、ずっと練習をしてきた…。そして今、ついに「勝てるかも」というところまできた! 1点差リードで9回の守備、2死を取り、走者は1塁2塁にいる…。次の打者をアウトにすれば勝ち、ヒットを打たれるとあぶなくなる。
A少年は外野、センターを守っている。「これを守れば、勝つ!」 少年の胸はどきどきしている。ゆっくり呼吸をして、「落ち着け…」と自分にささやく。
ピッチャーが投げて、相手打者が打った! 打球は鋭いライナーとなり、A少年の前に来た。 だれもが「ヒットだ!」と思ったが、A少年はダッシュ! 「これは、捕れる!」少年は確信して、走った。もし取れなくてそらしたら一気に逆転となる場面だ。しかしA少年に迷いはなかった。コンマ数秒後に、ボールをキャッチしている自分をくっきり描くことができたから。
ボールは、A少年のグラブに、すっぽりと入った。 「ゲームセット!!」
昨日の王位戦第7局をふりかえり、そんなことを思い浮かべました。
深浦康市八段が初タイトルを獲りました。すばらしい勝負でした。深浦さんの前に出る気持ちがあらわれた将棋だと思います。
この将棋は、「桂馬」が活躍しました。
〔1〕73手目▲5三桂成り
羽生さんは「千日手にしましょうよ」と誘ってきた。「やや不利」と思っていたようですね。僕は「千日手になるのかなあ」と思っていました。深浦さんがどうやって攻めるのかわからなかったからです。
ところが深浦さんはぐいっと「前に」出ました。▲5三桂成り…コマ損して攻めに出たのです。 男らしいぞ!
〔2〕91手目▲2一馬(と桂馬をとる)
86手目▲9一角成りに、羽生王位は△6七桂(金とり)と攻めました。▲7八香△6五竜の後、深浦▲6九金と手を渡します。羽生さんの手番です。「どう攻めるのか」と見ていると、羽生さんはなんと△3一金と打ちました。これは「受け」の手で、「桂馬がほしいんでしょ、でもダメ、取らせないよ」という手です。
そこで深浦八段はどうしたか? 「それでも桂馬をもらう!」と▲2一馬!! 羽生△同金、深浦▲5五桂。
〔3〕105手目▲7七桂
まさかこの手が羽生玉への「詰めろ」になっているとは!
この将棋は、序盤では深浦さんの右桂が飛び、最後は左の桂が飛んで仕上げました。タイトル奪取にふさわしい、気持ちのいい将棋でしたね!
深浦さん、おめでとうございます。
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Aという野球少年がいたとする。
少年には、どうしても勝ちたい相手チームがあって、ずっと勝てなかった。このチームに勝つことを夢見て、ずっと練習をしてきた…。そして今、ついに「勝てるかも」というところまできた! 1点差リードで9回の守備、2死を取り、走者は1塁2塁にいる…。次の打者をアウトにすれば勝ち、ヒットを打たれるとあぶなくなる。
A少年は外野、センターを守っている。「これを守れば、勝つ!」 少年の胸はどきどきしている。ゆっくり呼吸をして、「落ち着け…」と自分にささやく。
ピッチャーが投げて、相手打者が打った! 打球は鋭いライナーとなり、A少年の前に来た。 だれもが「ヒットだ!」と思ったが、A少年はダッシュ! 「これは、捕れる!」少年は確信して、走った。もし取れなくてそらしたら一気に逆転となる場面だ。しかしA少年に迷いはなかった。コンマ数秒後に、ボールをキャッチしている自分をくっきり描くことができたから。
ボールは、A少年のグラブに、すっぽりと入った。 「ゲームセット!!」
昨日の王位戦第7局をふりかえり、そんなことを思い浮かべました。
深浦康市八段が初タイトルを獲りました。すばらしい勝負でした。深浦さんの前に出る気持ちがあらわれた将棋だと思います。
この将棋は、「桂馬」が活躍しました。
〔1〕73手目▲5三桂成り
羽生さんは「千日手にしましょうよ」と誘ってきた。「やや不利」と思っていたようですね。僕は「千日手になるのかなあ」と思っていました。深浦さんがどうやって攻めるのかわからなかったからです。
ところが深浦さんはぐいっと「前に」出ました。▲5三桂成り…コマ損して攻めに出たのです。 男らしいぞ!
〔2〕91手目▲2一馬(と桂馬をとる)
86手目▲9一角成りに、羽生王位は△6七桂(金とり)と攻めました。▲7八香△6五竜の後、深浦▲6九金と手を渡します。羽生さんの手番です。「どう攻めるのか」と見ていると、羽生さんはなんと△3一金と打ちました。これは「受け」の手で、「桂馬がほしいんでしょ、でもダメ、取らせないよ」という手です。
そこで深浦八段はどうしたか? 「それでも桂馬をもらう!」と▲2一馬!! 羽生△同金、深浦▲5五桂。
〔3〕105手目▲7七桂
まさかこの手が羽生玉への「詰めろ」になっているとは!
この将棋は、序盤では深浦さんの右桂が飛び、最後は左の桂が飛んで仕上げました。タイトル奪取にふさわしい、気持ちのいい将棋でしたね!
深浦さん、おめでとうございます。
はんどろやさんは、羽生ー阿部の竜王戦第6局のとき陣屋にいらっしゃった由。その将棋は私が観戦記者でした。大盤解説は長谷部さんでしたよね。九段に上がりたてで、終始上機嫌だったのを思い出します。
そうですか! △7六桂って、わたしらでもすぐに思いつく手ですが、だからこそ盲点になるんでしょうね。
>、△7六桂が指摘されたとき、対局者2人は突然時が止まったかのように10分ほど無言モードに突入、周囲も静まり返って
10分の沈黙は長いですねえ(笑)!
>竜王戦第6局
>その将棋は私が観戦記者でした
そうでしたか! 廊下ですれちがっていたかも。