A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【ライヴレポ】EXPLOSION GIG Vol.2~CANNONBALL EXPLOSION ENSEMBLE/グンジョーガクレヨン/森田潤@高円寺ShowBoat 24.2.9fri

2024年02月13日 00時31分55秒 | 素晴らしき変態音楽


写真撮影:秋山典子
動画撮影:福岡林嗣

2024年2月9日(金) 東京 高円寺ShowBoat
砲弾爆発合奏団 presents EXPLOSION GIG vol.2

【出演】
森田潤
グンジョーガクレヨン
CANNONBALL EXPLOSION ENSEMBLE

「EXPLOSION=爆発」とは衝突を意味してはいない。「芸術は爆発だ」と岡本太郎は言ったが、「(地下)音楽は爆発だ」と言いたいわけでもない。誰とも異なる自分だけの表現を生み出そうとする内なる衝動が外へ向かったとき解き放たれる動き movement - 律動 rhythm - 音 sound - 波動 pulseが、他の表現者の衝動と出会ったときに生まれる驚きと感動が、Big Bang Theory (爆発宇宙論)のように新たな音楽表現の宇宙を生み出す原動力となるに違いない、という仮説に基づいた、いわば<Explosion Theory(爆発音楽論)>と呼べばわかりやすいかもしれない。

そして「理論よりも実践」を座右の銘とする砲弾爆発合奏団が主催した第2回目のEXPLOSION GIG(爆発ギグ)は、音と音が衝突するような演奏の核心にある心の調和と慈しみを詳らかにしてExplosion Theoryの有効性を証明する貴重な機会となった。つまりわかりやすく言えば、出演者もスタッフも観客もみな笑顔で帰途に就くことができる楽しいイベントとなったというわけである。



●森田潤


モジュラーシンセの魔術師と呼ばれる森田潤が紡ぎ出すエレクトロニクスとサンプル音の奔流は、情報量の多さで聴き手を圧倒するのではなく、一音一音が無数の鍼(ハリ)のように聴く者の知覚を治癒する音響療法と呼びたくなる。芳醇な音楽や芸術の知識を惜しげもなく分け与える慈愛が会場をポジティヴなパワーで満たした。

●グンジョーガクレヨン


2020年からのコロナ禍で3年以上人前に姿を現さなかったグンジョーガクレヨンが、昨年8月の蔦木栄一 (突然段ボール) 没後20年追悼ライヴ以来、コロナ後2回目のライヴ出演。4年ぶりに会った組原正がとても元気そうで安心した。組原、前田隆、宮川篤志、中尾勘二の4人が揃ったグンジョーガクレヨンを観るのは何年ぶりだろうか。最初から最後まで楽器演奏の常識を覆す異様なプレイを繰り広げる緊張感に満ちた演奏は、デビュー45周年を迎えたポストパンクの雄の面目躍如だった。かつてはアウトサイダー的に捉えられた即興演奏オンリーのスタイルは、ポストロックや音響系を通過した現在のシーンとの親和性が高いに違いない。もっと多くの若い音楽ファンに聴いてほしい。

●CANNONBALL EXPLOSION ENSEMBLE


2023年4月23日にMachine Gun Explosion Ensembleとして初ライヴをした後にCannonball Explosion Ensemble(CBEE)と改名してからのライヴは9月14日のEXPLOSION GIG、11月25日悠雅彦さん追悼ライヴの2回。今回のイベントが4回目となる。10カ月に4回というペースは多くはない。メンバーそれぞれ別のバンドやソロで活動しているのでスケジュールが合いにくいことも理由のひとつだが、即興演奏/フリー・インプロヴィゼーションを同じメンバーで何度もやるとマンネリに陥る恐れがあることも理由のひとつかもしれない。その意味で今回の演奏は、各メンバーの持ち味が今まで以上に発揮されバンドとしての自由度が増す一方で、グルーヴ感のあるビートやメンバー同士の自然な掛け合いが生まれるなど、フリージャズの伝統への精神的シンパシーを強く感じさせるものになったと思う。これからはもうマンネリに陥ることなくいつでも演奏できる、という手ごたえを感じるステージだった。



●EXPLOSION SESSION


EXPLOSION GIG恒例の爆発セッションは、CBEEの4人と森田潤(electronics)、組原正(g)、中尾勘二(sopranino sax)の総勢7名が15分にわたる即興演奏を繰り広げた。組原の感想が素晴らしいので引用したい。「音というより、それぞれ7人のそれぞれの問題を各自誰に相談することもなく解決してる様が面白かった」。まさにその通り。誰かに合わせたり、共感性を生んだりすることが「集団即興」の本質ではないことを明らかにする演奏ではなかったか。これこそ<Explosion Theory(爆発音楽論)>の証明といえるだろう。



予想以上に多くの方に来場いただき嬉しい限りであった。また、前回同様にShowBoatのPAのすばらしさを実感するとともに、会場スタッフのご協力にも心から感謝したい。
年内にもう1回は開催してほしい、というリクエストもいただいたので、次回開催を楽しみにしていてください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【明日緊急開催】地下音楽最... | トップ | 【剛田武&MOGRE MOGRUスケジ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

素晴らしき変態音楽」カテゴリの最新記事