A Challenge To Fate

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ギャスパー・クラウス「序破急」リリース・パーティー@六本木 Super Deluxe 2013.2.23 (sat)

2013年02月25日 00時18分34秒 | 素晴らしき変態音楽


ギャスパー・クラウス
『序破急』リリース・パーティー

鬼才チェリスト、ギャスパー・クラウス最新アルバム『序破急』のリリースパーティー開催決定!!
序破急 ― Jo Ha Kyu 静謐から混沌へ。破綻から生成へ。有為と無為のあわいで異能たちの営為が交差する―。鬼才チェリストによる音的宇宙の探求譚、その全貌!灰野敬二、友川カズキ、レナード衛藤など、ギャスパー・クラウスの最新アルバム「序破急」に参加した強者たちが奇跡的にここに集結。“音”の即興詩人たちが織り成すサーガ。才気煥発の若きチェリストが猛者達を召還し音的宇宙のさいはてへと導き出す―。あり得ないラインナップ、滅多とないこの機会を是非お見逃しなく!

出演:
ギャスパー・クラウス (cello)/石橋英子 (vo,pf)/西原鶴真 (薩摩琵琶)/SachikoM (sinewaves)/ジム・オルーク/友川カズキ (vo,gt)/灰野敬二 (gt,vo)/レナード衛藤 (和太鼓)/梅津和時
Super Deluxe HPより)

不勉強ながらギャスパー・クラウスというチェロ奏者のことはまったく知らなかった。灰野関連のリリースは割と早めの時期に本人および関係者から情報をもらうことが多いのだが、このCD情報は音楽サイトのニュースで知った。灰野の参加に興味を持ったのは勿論だが驚いたのは他の参加者である。

ギャスパー・クラウス『序破急』
2013年2月22日発売


"序破急 ― Jo Ha Kyu 静謐から混沌へ。破綻から生成へ。有為と無為のあわいで異能たちの営為が交差する―。鬼才チェリストによる音的宇宙の探求譚、その全貌!"
参加ミュージシャン:石橋英子(voice,piano,drums)/ギャスパー・クラウス(cello)/梅津和時(soprano sax)/大友良英(turn table)/坂本龍一(prepared piano)/SachikoM (sainewaves)/坂本弘道(prepared cello)/友川カズキ(voice,guitar)/灰野敬二(voice)/西原鶴真(薩摩琵琶)/レナード衛藤(太鼓)
ジャケット・アート:諸星大二郎

豪華といえば豪華だが漫画家まで参加した大プロジェクトの事前情報がリリース直前まで一切なかったのが不思議。1980年頃にゲイリー・ムーア、ブライアン・イーノ、ビル・ブラフォード、コージー・パウエル、フィル・コリンズ、マンフレッド・マン、ゲイリー・ブルッカー、クリス・スペディング、キース・ティペット、アルヴィン・リー等錚々たる面子が参加したブリティッシュ・ロック版「ピーターと狼」というレコードがあり「すげぇ!」と聴いてみたらプロコフィエフ作曲のクラシック曲をそのまま演奏しただけでガッカリしたことがあったがこれは一体どうだろう???



予告編ビデオを観るとコンセプトはしっかりしているようだし灰野が寄せ集め企画の尻馬に乗ることはあり得ないので期待できると判断。リリース翌日のレコ発イベントで正体を見極めようと思った。Unofficial Keiji Haino WebsiteのDavidからアメリカでもImportant Recordsからこのアルバムがリリースされるとの情報も寄せられた。

ギャスパーは2月半ばから来日し友川かずきのライヴに出演した。作品の全貌は直前まで分からないにも関わらずギャスパー人気なのか面子の豪華さなのかコンセプトの面白さなのか分からないがスーデラは今まで見た中では最大動員の大盛況。出演者は下手したらギャスパー(30歳)が最年少かも知れぬ高年齢だが客層は若者が目立つ。正直最近のスーデラのイベントにはイマイチ興味が惹かれず足が遠のいていたのでその間に客筋が変わったのか?多少の???が浮かぶが勿論嬉しい悲鳴であることは確か。

第1部はギャスパーとジム・オルークのデュオ。ギャスパーは小柄でスリムな美青年。ジムはSGを寝かして置いたエフェクター・テーブルの前に座る。ギャスパーのチェロ裏面演奏とジムの弱音電子音で静かにスタート。ジムはシカゴ時代に音響/ノイズ系の活動をしており、その頃物音ノイズの権化オルガナムのアルバム「Sphyx」にゲスト参加したので彼を最初に聴いたのだが、そこでの裏方的な希薄な存在感に通じる演奏だった。両者共にヴォリュームを抑えた演奏で虫の声やテーブル・ギターを擦ったり叩いたりする物音ノイズが猛獏としたチェロ演奏と溶け合うアンビエントサウンドを30分に亘り展開。超満員の観客の息を詰める音が聴こえるような静謐且つ緊張感のある音世界だった。




(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

20分の休憩後全員で「序破急」世界初演。真ん中に鎮座し圧倒的な存在感を放つ大太鼓の左右一列に演奏者が並ぶ。ギャスパーは指揮者のように演奏者の方をに向いて座る。太鼓の連打からスタート。SachikoMのサインウェーヴ(微弱電子音)と西原の琵琶と灰野のルドラヴィーナがアクセントをつける中パスクラ・チェロ・ピアノ・電子音が音を重ねる。アブストラクトな演奏が10分程続いたところに友川登場。アコギを手に津軽弁の絶唱を聴かせる。「無残の美」というアルバムが好きで愛聴していたが生演奏は多分初めて。その迫力とオーラにたじろぐ程の衝撃を受けた。ソロライヴを観なければいけない。友川がひとしきり歌うと灰野が立ち上がりマイクの前へ。喉から絞り出す「音」としてのヴォイス・パフォーマンスに観客の視線が集中する。途中パーカッション演奏を挿んでコンタクトマイクを喉に直接当てて口腔音を拾う。梅図の循環奏法ソプラノサックスと大太鼓の乱打が演奏を最高潮に導いたところであっさりと潮が引くように無に戻り40分弱の演奏終了。ギャスパーが感謝の挨拶とメンバー紹介。それによるとこの作品のアイデアはリリース元のModest Launch代表小池直人の発案らしい。物販で購入したアルバムのクレジットには録音は2009年12月とあるから3年越の企画である。アンコールの拍手に対してギャスパーは全員演奏のあとにチェロ独奏をする気にはならないと辞退。10時前に終演だったがひとつの作品としての「序破急」を堪能した一夜だった。





アルバムは曲構成は同じだが録音が凝っていて電子音や友川と灰野の声がくっきり浮き上がる異次元音響が体験出来る。ボーナストラックの3つのデュオ演奏も素晴らしい。坂田明「平家物語」とテーマは共通するがギャスパー・クラウスという異邦人の手で再構成されることで日本伝統文化がより普遍的なものに生まれ変わった。

Opening
Middle &
Climax

洋邦の出会いが生んだ「にんじゃりばんばん」。East meets West brings "Ninjari Bang Bang".

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2 コメント

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Unknown (名無しの権兵衛)
2013-02-25 13:23:13
私も見に行きました、ギャスパー・クラウス。スーパーデラックスの方針はよくわからないですね。しかし実は日本では知名度がなさすぎるだけで、ヨーロッパ等では人気のある若手即興ミュージシャンがけっこう出演していいるのをみたりすると、さすがだなーと思います。しかし客足が伸びるのは残念ながら灰野さんやジム・オルークといったビッグネームの時だけみたいですね。個人的には凄く悲惨な現実だと思います。実際あのメンバーじゃなければ、あの動員はあり得なかっただろうし、そもそもギャスパー・クラウスの演奏を聴きに行った人がどれだけいたのでしょうか?私はあの動員を見て逆に凄く悲しい気分になってしまいました。
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動員 (miro)
2013-02-26 00:55:37
最近余りスーデラには行っていないのですが、大物(?)以外の動員ってそんなに悲惨なんですか?坂田明さんや梅津さんでも会場によっては一桁の動員だったりするし、知名度だけでは動員出来ない時代のような気がします。メディアに載らない若手ロックバンドが200人キャパを満員にすることもありますからね。考察の余地ありですね。
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