A Challenge To Fate

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まさかの惑星直列的チャンス・オペレーション~マサカー初来日決定!

2012年12月12日 01時20分39秒 | 素晴らしき変態音楽


昨日のブログで上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクトの演奏を”殺戮行為”と書いたら、翌日その名も「殺戮」トリオの来日が発表になり不思議なシンクロニシティに驚いた。元ヘンリー・カウのメンバーによるアルトー・ビーツ(ユミ・ハラ・コークウェル+クリス・カトラー+ジェフ・レイ+ジョン・グリーヴス)、チャールズ・ヘイワードV4VICTORYの来日に続いてコアなプログレ/アヴァン・ロック・ファンが待ち望んだのがフレッド・フリスの来日だった。それがマサカー(Massacre)=フレッド・フリス(g)+ビル・ラズウェル(b)+チャールズ・ヘイワード(ds)という最高のトリオでの来日。まさに狂喜乱舞である。

1981年フレッド・フリスの初来日公演を観た。以前も書いたように1980年代初頭「Fool’s Mate」愛読者にとってヘンリー・カウ及びフレッド・フリス&クリス・カトラーはまさに神だった。初期の「靴下」シリーズを始めとする諸作が「ヴァージン・オリジナル・シリーズ」として廉価盤で再発され入手しやすくなったこともあり、マニアックなロック・ファンの間ではイエスやフロイド、クリムゾン以上にシンパシーとリスペクトを集めたバンドがヘンリー・カウだったのである。そのシリーズの中にフリスの「ギター・ソロズ」というアルバムもあった。芝生に立ってギターを構えるフリスの英国の香り漂うポートレイトが印象的だったが高校生の限られた小遣いではソロまでは買えなかった。だからフリスのギタープレイといえばヘンリー・カウの2nd「不安(Unrest)」の一曲目「Bittern Storm Over Ulm」の室内楽の中をのたうつ粘っこいソロやレジデンツのラルフ・レコードからリリースされた「グラヴィティ」「スピーチレス」でのレコメン系アーティストとの遊び感覚に溢れたユーモラスな共演が心に刻まれていた。

▼必殺ギタープレイ



神様=フレッド・フリス初来日のニュースはロック/サブカル系を超えて朝日新聞等一般メディアでも紹介されるほどの話題になった。その割には会場は数百人キャパの日仏会館だったので超満員で窒息気味だった覚えがある。で、肝心のフリスの演奏はというと・・・ギター2台をテーブルに並べそれに向けて豆を投げたり麺をぶちまけたりして一向にギターを弾く気配がない。受験勉強で疲れていた私は不覚にも居眠りしてしまい後半は覚えていない。後日雑誌でのライヴレポを読むと”豆撒き”への戸惑いと共にプリペアード・ギターの即興がデレク・ベイリーに通じると称賛していた。肝心な”演奏”を見逃した訳である。当時来日ライヴLPが発売されたが購入せず。昨年28年ぶりにCD化されたが完全な即興音響なので音だけ聴いても如何なものか、という気がする。

▼お暇だったら聴いてみれば?



同じ1981年にフリスがNYの実験派ファンク・バンド、マテリアルのビル・ラズウェル(b)とフレッド・マー(ds/当時はマーと呼んでいたが後にマハーやメイハー、メイヤーと呼ばれる。誰か本当の読み方を確認して欲しい)と結成したのがマサカーだった。Fool’s Mate主宰のレコメンデッド・レコード・ジャパンからリリースされたデビュー作「キリング・タイム」は一聴してぶっ飛んだ。のんきに豆撒きしていたフリスが鬼の形相(想像)でギターを掻きむしっている。ラズウェルとマーのリズム隊もマテリアルのファンクとは全く違う偏執的変拍子ビートで突っ走る。正に「アヴァンギャルド(プログレ)meets ポップ(パンク)」なサウンドは同年リリースされたディス・ヒートの2nd「偽り(Deceit)」と並んで前衛とポップの両方を愛する者が探し求めた答えでもあった。この2作は今でもiPodに収められことある毎に聴き返すが飽きることはない。

▼殺戮的前衛ポップ必殺ナンバー



その異常なまでのテンション故に崩壊も早くこの1作で解散。フリスはスケルトン・クルーやジョン・ゾーンのネイキッド・シティ、ビルはソロ、ラスト・イグジット、ペインキラー等様々なバンドのメンバーそして売れっ子プロデューサーとして、マーはスクリッティ・ポリティやルー・リード・バンドのメンバー兼プロデューサーとして別々の道を歩む。日本贔屓のフリスは1981年以来何度か来日、1990年に映画「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」が話題になりテレビにも出たが、当時は興味は薄れていた。

▼越境セヨ、とフリスは言った



1998年にディス・ヒートのチャールズ・ヘイワードをドラムにマサカー再結成。現在までに3枚のアルバムをリリース、地元NYを中心にアメリカやヨーロッパをツアー。再結成後のマサカーはちゃんと聴いたことがない。ラズウェルはTokyo Rotation(東京回転)として近年毎年のように来日し日本のミュージシャンと共演、ヘイワードも新バンドV4VICTORYで来日を観た。フリスは直近では2009年に来日したが見逃した。YouTubeで観るフリスはだいぶ肥ってしまい昔の面影は薄いが相変わらず変態的な演奏をしている。

▼変態ソロ2006



オリジナルと再結成では別バンドと捉えた方がいいとの声もあるが、マサカーとしての遅すぎた初来日ツアーを見逃すわけにはいかないだろう。

殺戮を
続けておくれ
地獄まで

現在アルトー・ビーツのユミ・ハラ・コークウェルが来日ツアー中で、偶然にもマサカー来日発表のその日に日本のプログレ王=吉田達也+鬼怒無月との共演ライヴを観に行った→明日のブログでレポ予定。

さらに前日"この曲"のPVがYouTubeで公開されたのも惑星直列以上に奇妙な偶然である。来日時はぜひコラボをお願いしたい。

▼コラボよろ


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