A Challenge To Fate

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【即興演奏家に脅威】ついに登場!完全自動即興演奏ロボット『io 0.0.1 beta++』の驚異の世界

2015年05月18日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


アイルランド在住の韓国系ギタリスト、パク・ハンアルは、ワダダ・レオ・スミス、チャールズ・ヘイワード、ロル・コクスヒル、ポール・ダンモール、エヴァン・パーカーをはじめ欧米の即興演奏家と数多く共演する注目の演奏家である。NY即興シーンとの関わりも深く、最新作『アノミック・アフェイジア』は、キャサリン・シコラ(sax)、ニック・ディドゥコフスキー(g)、ジョシュ・シントン(sax)と共にNYで結成したふたつのグループEris 136199とMetis 9の演奏を収めたアルバム。「失名詞症(ものの名称を認識できない失語症)」を意味するタイトル通り、命名不可能な即興物音セッションを展開している。



友人たちに「ハン」(ハン・ベニンクと同じ発音)と呼ばれているというパクの在籍するグループには数字絡みの名前が多い。上記の他にチャールズ・ヘイワード(ds)、イアン・スミス(tp)とのMathulde 253、リチャード・バレット(electro)とのデュオは単純に Numbersという。数学を突き詰めると具体的な数値の存在しない哲学思想に近づくというから、即興の極致の不可知を追求する活動理念の表出かもしれない。その中でも目を惹くのがio 0.0.1 beta++というユニットである。



スリムにしたJOJO広重からファズを取り上げたような鋭角的なプレイのギタリストの公式サイトの表題には「Han-earl Park:guitarist, improviser, constructor」とある。ギタリストと即興演奏家は良いとして、constructor(建設者、構築者)とは? その答えがio 0.0.1 beta++である。



io 0.0.1 beta++とはユニット名であると共に、基本的に4ピースでのこのユニットのリーダーの名前でもある。しかし彼(便宜上)は生き物ではない。2008年にハンが建設した即興演奏ロボットなのである。開発の経緯と仕組みについては公式サイトに概要が書いてあるので詳述はしないが、材料は配管、台所用品、スピーカー、ミサイルスイッチなどで、手作りのチープ感がほのぼのした風情を醸し出している。



即興演奏ロボットの演奏は2010年5月にレコーディングされたアルバム『io 0.0.1 beta++』で聴ける。パク(g)、ブルース・コーツ(as, ss)、フランジスカ・シュレーダー(ss)とio 0.0.1 beta++の共演による男二人女ひとりロボット1体のセッションは、絶妙のタイミングでピロロロと鳴く電子音が不思議な浮遊間を持った第4次元音響。3人と1体は2015年ヨーロッパ・ツアーを計画し、現在オファーを募集中。



人工知能の発達で、チェスや将棋をするコンピューターや、サッカーロボットや掃除ロボットなど、人間が操作しなくても自分で考え行動する機械が登場し、人間以上の実力を発揮しているが、いつかは即興音楽の分野でも、人工知能が人間以上に豊かな感性を持つ時代が来るのかもしれない。でもこんな可愛いハンドメイドロボなら許しちゃう?



公式サイト

ロボットに
インプロさせて
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