A Challenge To Fate

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セルゲイ・レートフ+坂田明+梅津和時@渋谷Bar Isshee 2011.12.8 (thu)

2011年12月10日 00時32分21秒 | 素晴らしき変態音楽


旧ソ連出身、ペレストロイカ以前から前衛的な演奏活動/芸術運動を行ってきたマルチ・リード奏者セルゲイ・レートフ(Sergey Letov)氏が12月初めから1週間余り滞日し「セルゲイ・レートフ週間」と銘打って各地の大学やイベント・ホールで講演/トークを開催すると共に様々な日本のミュージシャンとのセッションを繰り広げている。

その中でも一番濃いメンツと言える坂田明さん、梅津和時さんとのリード楽器三つ巴ライヴを観に久々にBar Issheeへ行ってきた。このトリオであれば黙っていても満席は間違いないと思うのだが、雑誌「男の隠れ家」の最新号「ニッポン、ライヴハウス伝説」特集で紹介されたせいか、今までになくお客さんが多い。しかし途中で席を立つお客もいたので、雑誌の記事につられた異質な客も増えているようだ。このブログの読者ならお気づきのようにBar Issheeは尋常なライヴハウスじゃありません(イッシーさん御免なさい)。

レートフ氏とは坂田さんは3回、梅津さんは2回共演経験があるそうだ。3人並んで椅子に座っての演奏。さすが年季の入った即興演奏のベテランだけあり、音のデカさのバトルにはならず、あくまでアンサンブルを重視した室内楽的インプロを展開した。坂田さんはアルトとクラリネットと鳴りモノ、梅津さんはアルトとクラリネットとバスクラ、レートフ氏は一貫してテナーを演奏。まるで楽譜に書かれているかのような絶妙なアンサンブルから次第に激しいカオス展開へ流れていく様が実にエキサイティング。坂田さんの透明できらきら光る音色と梅津さんの身体から絞り出すようなブルージーな音色の対比が面白い。ルックスに比べて一番年下(55歳新婚)のレートフ氏は目立つソロは余りなかったが、テナーサックスのあらゆる可能性を表現した多彩な演奏でトリオの屋台骨を支える。

休憩中にレートフ氏が12/4に行われたロシア下院選挙に触れ、与党統一ロシアが不正をしたことは明らかだと断言し、ロシア当局による言論統制、特にインターネットへの検閲について語ってくれた。政治的弾圧を目の当たりに活動してきた戦士であるレートフ氏のトークは迫真性があって興味深い。

途中で3人ともメガネをかけたナチュラル・スキンヘッド(ひらたくいえば"HAGE")でよく似ていることに気がついて失礼ながら笑いがこみ上げてきた。ロシアにおける政治的問題はともかく、演奏行為とは人々を元気づけ楽しませるものだ、ということが実感として伝わってきた。アンコールでは梅津さんとレートフ氏が立ち上がり坂田さんを囲み激しいブローが唸りを上げた。

Sergey Letov, Chris Corsano, Akira Sakata & Darin Gray, Moscow, 25-10-11


3人の
頭皮が光る
絶倫だ

レートフ週間は12/11(日)まで。
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