A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

JOJO広重+日野日出志@渋谷 UPLINK FACTORY 2012.11.2 (fri)

2012年11月04日 00時26分45秒 | 素晴らしき変態音楽


JOJO広重の「ノイズ大学」Vol.8(ゲスト:日野日出志)

新宿PITINNで行われたJAZZ非常階段での演奏が収録されたライブ盤『メイド・イン・ジャパン』と、サックス奏者・坂田明とゲストに迎えスタジオ録音に挑んだ、非常階段としては8年ぶりの新譜となる『メイド・イン・スタジオ』が、今年9月にダウトミュージックより二枚同時リリースされた。また、10 月には非常階段のファーストアルバムである『蔵六の奇病』が幻のカセット音源『極悪の教典』との二枚組SHM-CDという仕様で、30周年記念盤としてテイチクエンタテインメントよりリリースされる。

リリースラッシュの続く非常階段ですが、今回のノイズ大学ではこの『蔵六の奇病』の再発を記念して、なんと、伝説の漫画『蔵六の奇病』の作者である日野日 出志さんにゲストとしてご登場頂きます。『蔵六の奇病』のみならず、『地獄の子守唄』『地獄変』『毒虫小僧』等々、日本の怪奇/恐怖漫画史に数々の名作を 残す日野日出志さんと非常階段リーダーのJOJO広重さんの初となる対談にご期待下さい。(UPLINK FACTRY HPより)
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実はノイズ大学のゲストで一番楽しみだったのが今回だった。非常階段の1982年のデビューLPのジャケットを飾り、禍々しいノイズのシンボルとなった「蔵六の奇病」の作者日野日出志さん。もしこのLPが違うジャケだったら果たして30年後に再発されるほどの"名盤"と呼ばれただろうか?非常階段のみならず所謂"ノイズ"のレコードではホワイトハウスのペーター・キュルテンと並ぶ世界的な有名ジャケに違いない。このLPで日野さんのことを知り単行本を読み怪奇と抒情の世界に惚れ込んだ人も多いだろう。

その作品の凄まじさからアングラ風の奇人変人っぽい人物を想像していたので、宇宙船ヤマトの沖田船長を想わせるダンディーな風貌に驚いた。現在66歳だがずっと若く見える。会場に早く着いたので既にビールを引っ掛けてほろ酔い状態で素面の時よりも本音が出るかも、とおっしゃる。


30年前1st LPリリースに際して非常階段のメンバー全員が共通して好きな漫画家が日野さんだったので、広重さんが単行本に載っていた日野さんの自宅へ「蔵六の奇病」をジャケットに使いたいとの手紙とオムニバスLP「終末処理場」を送ったところすぐに「どうぞ自由にお使いください」と原画が送られて来たという。日野さんが非常階段を気に入ってくれたとメンバーは喜んだそうだが、日野さんは美空ひばりや村田英雄などが好きだったので、音を聴いてもさっぱり理解できず「俺の絵とどういう関係があるのか」と訝っていたらしい。

日野さんが30代の頃、漫画家を辞めるか続けるかの瀬戸際で「コレが駄目なら漫画を辞めよう」という覚悟で1年がかりで描いたのが「蔵六の奇病」だった。漫画の中で蔵六が自分の身体を切り裂いて血で絵を描いたように、日野さん自身もまさに身を削る想いで描き上げた。執筆中に怪奇現象も経験したそうだ。これが色んな偶然で「少年画報」のグラビアページに掲載され大反響を呼び、他の大手出版社から執筆依頼が殺到、「赤い蛇」「地獄変」といった傑作を発表し、折からのホラー・ブームも追い風になり海外でも高く評価される人気漫画家になった。




★日野日出志作品をコミックパークで立ち読みするならコチラ

レイ・ブラッドベリの「刺青の男」を読んで堰を切るようにアイデアが溢れ出た話、当初目指していたギャグ漫画家を諦めるきっかけになった赤塚不二夫さんが実は日野さんのファンだったこと、東大法医学研究所でひとつ目の標本に足首を掴まれ「逃がさないよ」と言われたことなど、様々な想い出やエピソードを気さくに話し、満員の会場に何度も笑いの渦が起った。現在は大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科と日本大学芸術学部で教鞭を取っている。

1982年4月新宿ロフトでの非常階段「蔵六の奇病」発売記念ライヴでは楽屋で汚物を混ぜるのを手伝ったという。メンバーがゴム手袋をしているのを見て「それじゃ甘い」と素手で作業したというから恐れ入る。数日間臭いが消えなくて困ったらしいが。演奏は楽屋から覗いて客が全員後ろへどん引きしたのを覚えているという。ここでそのライヴのビデオを上映。汚物を頭から被ってドロドロになってのたうち回る過激パフォーマンスは広重さんによれば「蔵六になりたかった」とのことだが、観終わっての日野さんの感想は「やっぱり俺の漫画と関係ない」と身も蓋もないもの。とは言うものの当時の心境を考えると非常階段の激烈な演奏を聴いて、自分も本気で漫画に挑戦しなきゃと感化されたのも事実。「地獄変」が生まれたのは非常階段の影響だと思い込んでいたと広重さんが言うと「それは思い上がりだ」と返す日野さんに爆笑が起る。



30年ぶりの再会だというが、長年の旧友と話すような二人のやり取りは同じ真剣勝負の表現者ならではの含蓄に溢れていた。ここには書き切れない面白エピソード満載だが、トークの模様を宣伝用にビデオ撮影していたのでそのうちに公開されるだろう。

トーク終了後サイン会。30年前に買ったLP盤を持参しサインしてもらった。広重さんはともかく日野日出志先生のサインがもらえるなんてレコードも喜んでいるに違いない。

30年
生き長らえて
再会す

40周年記念イベントもやろうと言っていたので、みなさん健康に気をつけて長生きしましょう。

テイチクエンタテインメントからアルケミー・レコード作品が続々リリースされる。
<ALCHEMY RECORDS SPECIAL EDITION SERIES>
10/24 非常階段「蔵六の奇病-30thアニバーサリー・エディション」
10/24 原爆オナニーズ「Nuclear Cowboy+O'dd On Liveitself+PUNK ROCK MONSTER」
11/21 JOJO広重「死神に出会う時のように ~JOJO'S WORLD~」
11/21 GARLICBOYS「YOKOZUNA ~ALCHEMY YEARS COMPLETE TRACKS~」
11/21 赤痢「仏滅ラプソディ ~THE BEST OF SEKIRI~」






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2 コメント

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非常ハナタラシ (下衆野郎ゲスマリオ)
2012-11-05 23:23:35
いやぁ、面白い!
かつてフールズメイトで「ハナタラシ」の山塚アイちゃんのインタビューを読んで面食らったのを思い出しました!
雑誌のフールズメイトはなくなったけど、その精神は今もここに生きていると思いますでゲス!
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非常日出志 (miro)
2012-11-06 01:10:59
マリオさん
日野先生は作品から想像したのとは違うベクトルでエキセントリックな方でした。その意味では広重さんも過激なステージの姿とは違って物腰の柔らかい紳士です。
両者に共通したものを感じます。
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