A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

アート・リンゼイ+大友良英@渋谷duo music exchange 2011.6.8(wed)

2011年06月10日 00時27分13秒 | 素晴らしき変態音楽

この3ヶ月間ぐらいジェームス・チャンスやDNA、リディア・ランチなどNo New York系の作品にどっぷりハマっていた私にとって、今回のアート・リンゼイの来日は全く偶然ながらもある意味必然的な出会いだったの様な気がする。

アート・リンゼイといえばラウンジ・リザーズの印象が強い。スタイリッシュなジョン・ルーリーのフェイク・ジャズをガギグゲゴとギターで撹乱していたのがアート。チューニング無視の12弦ギターを掻き毟る破壊力には同時期に聴いたジェームス・ブラッド・ウルマーやソニー・シャーロックと並ぶ異能ギタリストの真髄を見た。その後結成したアンビシャス・ラヴァーズまでは追っていたのだが、それ以降彼の活動から目を離していた間にボサノヴァ系ブラジル音楽の世界でお洒落ミュージシャンとして人気アーティストの仲間入りを果たした。日本でも坂本龍一やコーネリアスと共演し広く知られる存在となった。日本のレコード会社は何とエイベックスである。

今回の来日の経緯は分からないが、相対性理論のライヴにゲスト参加したらしいので、そっちがメインだったのかもしれない。しかしファンにとってはソロ公演こそ待ち望まれたものである。しかも共演者が大友良英となると、ジャズ/ノイズ/インプロ系の演奏が大いに期待できる。会場には珍しく椅子が並べられているが立ち見も出る超満員。そのうちどのくらいの人がDNAのアート・リンゼイを知っているか分からないが。

まずはアートのソロ。何処のメーカーなのか青い独特の形をした12弦ギターをスーツを着て構える長身の立ち姿は昔のイメージそのまま。例によってチューニングされていない「ガ行」のギターをときに激しく掻き毟り、時にピッチシフターでギュイーンと喚かせながらも、きちんとしたメロディーのある曲を飄々とした声で歌う。醸し出す狂気はDNA時代と全く変わっておらず嬉しくなってしまう。「オハヨー」「アンプの近くの人うるさくてゴメンナサイ」と日本語交じりでMCし会場を和ませる。アートのユーモラスで暖かい人柄の滲み出る演奏だった。


休憩の後、大友さんとのデュオ。大友さんは椅子に座ってSGを弾く。ジャズのコード・ブログレッションを活かしたプレイの美しいボサノヴァ・チューンで油断させておいて、間奏では激烈なノイズ・ギターが鬩ぎ合うインプロが全開。かと思うと再びボサノヴァへと戻る。その流れがスリリングで目を離せない。初共演だというがとてもそうは思えない阿吽の呼吸。「アートが歌うからお前も歌えと楽屋で言われたから」と大友さんが照れながら40年前のフォークソング、加川良の「教訓1」を歌う一幕も。なかなか歌もいけますね。ジャズ~ロック~ノイズと技を使い分ける器用な大友さんと「ガ行」痙攣ギター・ワンパターンのアートの対比が鮮やかで、ギター2本でも素晴らしいダイナミズムを味わえた。アンコールに2度も応えてくれ、アートも相当嬉しかったに違いない。

No New York魂
未だに生きてる
リンゼイさん

同じ狂気のノン・チューニング・ギタリスト、ジャド・フェア(ハーフ・ジャパニーズ)との共演を観てみたいものだ。

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