80年代終わりにChina Recordsというインディ・レーベルの紹介ビデオをみる機会があった。アート・オブ・ノイズを擁するレーベルだったがそのビデオに収録されていたハノイ・ロックスのような格好のいかにも悪たれ小僧然とした4人組がドッグス・ダムールだった。ストーンズ直系のルーズなサウンド、酒焼けした嗄れ声のヴォーカル、英国らしい哀愁のメロディー。私は一目見て恋に落ちた。
当時日本ではZiggyやJackson Jokerなどの悪ガキ・ロック・バンドが"バッド・ボーイズ・ロック"とか"スリージー・ロック"としてRockin'Fや宝島といった雑誌で注目されていた。ドッグス・ダムールはその英国版として売り出された。私はメジャー・デビュー・アルバム「ダイナマイト・ジェット・サルーン」リリース前に渡英して彼らの全英ツアーを観た。大学のホールを中心としたカレッジ・ツアーで丁度同じ頃デビューしたトランスヴィジョン・ヴァンプと同じルートを辿ったのか、どこへ行っても両バンドのポスターが並んで貼ってあるのが面白かった。
1989年夏にアメリカの入れ墨ハードロッカー、サーカス・オブ・パワーとダブル・ヘッドライナーで初来日。日比谷野音でジリジリ暑い中黒い皮のコートを着て演奏する彼らの姿には本当のロックンローラーとしての気概を感じた。そこそこの人気を得てアルバムを毎年リリース、来日公演も中野サンプラザや川崎クラブチッタで行った。ヴォーカルのタイラは絵の才能もあり、ジャケットは全て彼のイラスト。来日時に今は亡き池袋WAVEなどで原画展が開かれた。無理して頼んで私のバンドFlower Tripのポスターをタイラ画伯に描いてもらったこともある。
しかしイギリスではマンチェ系を始めとするプレ・ブリット・ポップが、アメリカではLAメタルやスラッシュ・メタルが注目を浴びる中、ドッグスのようなオーソドックスなロックンロール・バンドは時代錯誤として次第に行き場をなくし、1991年に解散。その頃にはメンバーはアメリカへ移住。私は1992年1ヶ月間ロサンゼルスに研修で滞在した時にタイラやギターのジョー"ドッグ"とつるんでライヴハウスや飲み屋をハシゴしたものだ。
タイラはソロ活動に入り、大好きな酔いどれ詩人チャールズ・ブコウスキーに捧げる作品をリリースしたりした。
2000年にドッグスは短期間再結成、アルバムやツアーを行うが再び分解。その後タイラはTyla & The Dogsを結成、地道に活動している。もうすぐ発売になるアルバムからの先行シングルのPVではキレイな奥さんと幼い女の子(たぶん自分の子供)と共に優しい表情のタイラが映っていて、かつての自己破滅型ロックンローラーも大人になったなあ、と思う。確か彼は私と同い年の筈だ。
Tyla & The Dogs "Bess" PV
古き良き
ロックンロールは
永遠に
再評価されることはないだろうが忘れ去られるには惜しいバンドである。
アメリカの親友がTyla、Dogs D'Amourのファンで、日本でCDを探してくれと頼まれています(今も)。コピー枚数が少ないのか?なぜか、高値で取引されているんですよね。
「DOUBLE T」や「NOCTURNAL NOMAD DEMOS」なんかどこにあるのかな?
Silverheadとかご存知ですか?
これがなかなか良いんです。正規、ブート、プロモ盤とかほとんど集めきりました。
http://www.youtube.com/watch?v=quuCN320ba8
Silverheadは中学の頃に聴いて結構好きでした。既に解散していましたが。マイケル・デパレスでしたっけ、ヴォーカリストがカッコ良かったです。
今聴くとこの辺のB級グラムロックってやけにいいんですよね。
是非、発掘を!DVD化しますよ。