ザ・クロマニヨンズの7thアルバム「YETI vs CROMAGNON」がリリースされた。浅井健一の5thアルバム「PIL」とリリース時期が近いので1,2月発売のロック雑誌では両者が表紙を分け合う展開になっている。
ヒロト&マーシーのインタビューでは作品内容に関する質問がNGなのでジャーナリスト泣かせであることはよく知られている。シングルやアルバムが出る度に雑誌やラジオの取材を受けるのだが楽曲・歌詞の内容についての詳細は一切話さない。そんな二人からどうやって新しい話を聞き出すかがインタビュアーの腕の見せ所である。例えばアナログ盤への拘りとか好きなアーティストのこととか食べ物の話とか新作と直接関係ない話題で攻めるしかない。アルバムを聴くと「今回も最高のロケンロー曲集だなぁ」という感想しかない。初めて聴いても一緒に歌えるしヘドバンして盛り上がれる。歌詞を深読みすれば突っ込みどころはあるがヒロト&マーシーに作為がないことは明らかだ。色んな雑誌を読んだ中では「ローリングストーン日本版2013年2月号」のジョー横溝によるインタビューとナタリーでのTHE BAWDIESのROYとのロックンロール対談が良かった。「ローリングストーン」は一年前の2012年2月号でもヒロトの巻頭インタビューを掲載。冒頭で震災についてふれたインタビュアーに対して音楽と震災は関係ないと一刀両断にした上で自分の夢は"死ぬまでレコードを聴くこと"だと断言している。この発言を引き出しただけでも素晴らしいがそれに続く今回のインタビューでもヒロトは自分の生き方を率直に語り全くブレない姿勢を示している。
それに対してベンジー=浅井健一はアルバム制作過程や収録楽曲の内容さらには社会・政治の話題まで実に雄弁に語り尽くしている。表紙に登場した「音楽と人2013年3月号」では取材中のカフェが落ち着かず自ら移動を提案し路上~自動車の中で取材に応えた。また前述の「ローリングストーン」では丁度衆院選直前だったこともあり誰に投票するかまで明快に語っている。ここまで心情を正直に曝け出すアーティストも珍しい。
天然系のヒロト&マーシーと思索家のベンジーは一見対照的だが根底に流れるものは全く同じである。それはロケンローへの愛情と自然体で生きる覚悟である。クロマニヨンズのライヴでは前説で「ロッケンロールの初期衝動を発散してくれ!」と客を煽る。ヒロトがロケンローの洗礼を受けたのは中学1年生の頃だというしザ・ハイロウズには「十四才」、ブランキー・ジェット・シティには「15才」という曲がある。10代の頃に受けた初期衝動を忘れず自然体で生きること、それがロケンローなのであろう。
10代で
蹴っ飛ばされた
ロケンロー
実はあたくしの今年の目標も、「15歳のころの感性に戻ること」なのでありんす(勝手にやってろ!)。
詳しく言うと「15歳のころの感性+大人の知恵」ですね。
ヒロトさんやベンジーさんは、そういった意味で実になんというか、見習う点が多いっすな。