A Challenge To Fate

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【私のポストパンク禁断症#1】MX-80 SOUND『Out Of Tunnel』『Crowd Control』〜ポストアートロックの電磁力

2017年01月19日 01時58分01秒 | 素晴らしき変態音楽


BiSの再結成とペリ・ウブ萌えに端を発するペル・ウブ熱は長く尾を引き、悪性腫瘍のように身体のあらゆる部分に転移している。それに輪をかけるようにレジデンツの32年ぶりの来日公演が発表になり、オレの大脳皮質には、ポストパンクとオルタナイティブの蕁麻疹がポツポツと浮き出ているに違いない。そんな「ぷよぷよとまるで病人のように立つ」2017年はアイドルイベントとレコ買いで幕を開けた。フリージャズや地下音楽は年末セールで買い捲った余波で既に食傷気味。代わりに感染したように80年代ニューウェイヴコーナーを掘る日々。同時に2013年の震災で傾いたままの自室のレコード棚から当時のLPを引っ張り出してはターンテーブルに取っ替え引っ替えし続けている。ペル・ウブと並んで心に引っかかっていたバンドがMX-80 SOUND。レジデンツのラルフ・レコードからリリースしたので、日本でもかなり知られているだろう。
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インディアナ州ブルーミングトンで1974年にギタリストのブルース・アンダーソンを中心に結成。現代音楽とキャプテン・ビーフハートなどの前衛ロックの影響を受け、75年にEPを出した後、76年にデビュー・アルバム『Hard Attack』をヨーロッパだけでリリース。78年にサンフランシスコに移りレジデンツの手引きでラルフレコードと契約。オムニバス・アルバム『Subterranian Modern』(79)にレジデンツ、クローム、タクシード・ムーンと共に参加したあと、二枚のアルバムをリリース。それが『Out Of Tunnel』(80)と『Crowd Control」(81)。<オルタネイティヴ>と呼ばれた当時の非主流派の中では、真っ当なギターバンドのMX-80 SOUNDは余りに普通のロックっぽく聴こえ、レジデンツのレーベルメイトにしてもスネークフィンガーやアート・ベアーズ、同期のタクシード・ムーン等に比べて古色蒼然としたファズギターはオールドウェイヴなイメージがあった。だから今ひとつ評価が低く、中古盤は500円以下で投げ売りされていた。

MX-80 SOUND man on the move 1977


今改めて聴いてみると、ポストパンクというよりポストアートロックやポストアシッドロックと呼ぶ方がしっくり来る。性急なドラムやメロディ感の低い歌メロは、パンク/ニューウェイヴよりもヴェルヴェット・アンダーグラウンドやストゥージズの影響大。バンド編成はありきたりだが、各楽器が持ち場を離れて脱線しあうような有機的なアンサンブルは極めて独特。スワンズやソニック・ユースの元祖と呼ばれるのも納得のノイズと楽音の同居する作曲センスは、ラルフレコードに相応しい変態バンドと言える。

Mx-80 Sound - Why Are We Here


84年にラルフから離れた直後、マネージメントと名称の所有権で揉めて、その結果バンド名の半分(SOUND)の権利を失ったため「MX-80」名義で活動を続ける。2015年に元マネージャーが亡くなった為に和解が成立し、30年ぶりに『MX-80 SOUND』と名乗れることになったという。2016年にラルフレコード時代の2作がアナログ再発され、今後の展開が楽しみでしょうがない。結成43年を迎えて未だに活動を続ける変態ロックと激情派プログレの元祖に敬意を表すると共に遅過ぎた再評価を期待したい。

MX 80 Sound Live Boarding House 12:3:79 (Ralph Records record release party)


MX-80 SOUND公式サイト

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