A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

静岡ノイズ&サイケ東京公演~庭/UP-TIGHT/裏窓@新宿URGA 2013.9.1(sun)

2013年09月03日 01時18分43秒 | 素晴らしき変態音楽


FLAG OF NOTHINGNESS 84

UP-TIGHT/庭/KnowMeZ/裏窓/69distortion



変態音楽の辺境、静岡の2バンドの対バンツアー東京編。ヘイトスピーチのメッカ新大久保にほど近いURGAに行くのは5年前のBastard Noise来日以来なので、道を間違えてホテル街に迷い込み、浮き世の春を楽しむ男女を目の当たりにした。会場に着くと既に2バンドが終了し、丁度庭がセッティングしていた。物販でUP-TIGHTのアナログLPを購入。青木智幸に尋ねて、1枚しか残っていない別のLPも購入。いずれもヨーロッパ盤の限定リリースなので買える時に買っておかないとあとで涙を飲むことになる。

●庭

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

今回のUP-TIGHTとのスプリットCDと数枚のCD-Rで音は聴いていた静岡ノイズの急先鋒の庭のライヴ初体験。編成はKohoki.M(Electronics,Voice)、EfujiEi(Guitar),Pujart(Analog Synth)の3人。ルックスを含めた佇まいが奮っている。センターのKohokiは床に機材を置いて、その上にかがみ込んだままのたうつようにノイズを鳴らす。Efujiは耳栓代わり(?)のヘッドフォンを付けたままギターを構えるが、弦は一切弾かず、エフェクター操作のみでフィードバック音を奏でる。[9/3追記:本人の弁明によれば、ヘッドフォンは耳栓ではなくモニターとして爆音で鳴らしていたとのこと。ただでさえモニター・スピーカーの爆音が渦巻くステージで、何故わざわざヘッドフォンで聴く必要があるのか、理解不能な奇行である。実はモニターではなく、爆音で演歌やアニソンを聴いていた可能性も捨て切れない。静岡の闇は深い。]あまちゃんの潜水土木課高校教師、磯野"ISSO"心平(皆川猿時)を思わせるルックスのPujartは途中で演奏を辞め無表情に立ち尽くす。発するサウンドは無慈悲なノイズとしか呼べないもの。大抵のノイズ演奏は、起承転結はなくても多少のエントロピーやクライマックスやカタルシスを伴い、無機的なサウンドに演奏者の感情が籠っているものだ。Incapacitantsのプロレス的パフォーマンスをはじめ、MERZBOWや非常階段もそうである。しかし、庭のノイズには流れも盛り上がりもない。感情表現は極力抑えられている。あるとすれば、カフカ『変身』のグレーゴル・ザムザの如く毒虫と化したKohokiの地に這い反吐のように雑音を垂れ流す暗い狂気だけ。演奏というより「場」の創造。田中泯の場踊りは「場所で踊るのではなく、場所を踊る」をテーマに自らの肉体を場の一部と化す身体表現だが、庭の演奏は「場ノイズ」とでも呼ぼうか、どこで演奏しようと場全体をノイズと化す「現象」としての演奏体。意図的なものではなく、庭を名乗った時点で全てをノイズ化せざるを得ないという自然の摂理に基づく。「ノイズは音ではなく存在である」という思い込み(誤解)が静岡という独立文化圏で育まれ、庭という希有な現象を産み出した。畸形であるが故に、あまたあるノイズ/実験音楽/非音楽学派の中でも一際目立つ珍獣である。UP-TIGHTの青木の話では「今日の庭の音はキレイ過ぎた。普通は余りの大音量に演奏後話が出来ない」、とのこと。




●裏窓


バンド名でググっても音楽関係で引っかかるのは浅川マキとゴールデン街のバーだけ。初見のバンド裏窓は、ロングヘアー男女がフロントの一癖ありそうなルックス。ギターのYOJI KUBOTAが80年代末に結成しメンバーチェンジを繰り返しながら、現在はトリオ編成。20年以上の経歴を持つだけに、ヘヴィーロック/メタル/サイケデリック/ハードコア/プログレ/スラッシュと引き出しの多い演奏。ジミヘンを思わせるギタープレイは強烈に上手い。ドラマーのパワフルな叩きっぷりも爽快。ノーチェックだったのが悔やまれるコアなロックバンドとの出会いは天の祝福だった。




UP-TIGHT


静岡(浜松)の至宝、青木智幸率いるUP-TIGHTがトリ。以前も書いた通り、2000年代初頭の伝説のフィードバック・ブームで注目されたご当地ラリーズの一翼を担ったUP-TIGHTは、同期のバンドが次々解体・変質する中で、唯我独尊自らのスタイルを追求し続けた希有なバンドである。黒装束にサングラスにタバコというロック美学に頑固なまでに拘る青木は日本地下音楽が産んだロック・アイコンである。庭同様に地元に軸足を置く実直な活動は、日本国内よりも海外で高い評価を誇り、欧米のレーベルから多くの音源がリリースされている。ラリーズ、不失者、ヴェルヴェッツ、シド・バレット、アモン・デュール等異形ロックを現代に継承する担い手として、或は青木のナルシスティックなパフォーマンスによりロックの初期衝動を体現する究極のロケンローラーとして、日本随一の存在だといえる。20分に亘るラストナンバーでは、暴力的なファズギターに不確定パルスビートを絡めるリズム・セクションがカオス空間を創出、地獄のマインドトリップへいざなった。




静岡の
謎が深まる
新宿の夜

TOKYOーSHIZUOKAーNAGOYAーOSAKA
ンポ、ンポ、ンポッミュージッ!
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