私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

シリアと北朝鮮-ウソから始まる戦争、ウソが煽る戦争-(1)

2017-04-16 21:05:28 | 日記・エッセイ・コラム
とうとう7年目に入ったシリア紛争。この長い年月、反政府側が流してきた数々のウソはすでに露見していますが、そうした重要な暴露情報はネット上にとどまり、新聞・テレビ等のマスコミはいまだにそうしたウソを「事実」として扱い、それに依拠した報道・解説を続けています。今回の「サリン」(サリンではなく窒息剤だという見解も出ていますが)も、そうしたウソの焼き直しであることは間違いないでしょう。アサド政権の優勢で事態が進展しているなかで、反転攻勢をかけるために仕組んできた巨大なウソ、赤ん坊の命など「虫けら」のように扱う悪魔的な所業です。

「和平協議の前夜に、しかも、ホワイトハウスが『シリアのリーダーを選ぶのはシリア国民自身だ』と述べたその直後に、アサド政権がわざわざ毒ガス攻撃をして全世界を敵に回すようなことをしたと信じる者がいるだろうか? 我々をイラク戦争へと追いやったのと同じウソの繰り返しだ。我々は、プロパガンダを疑うということを学習できないのだろうか」というロン・ポール氏の言葉がすべてです。

https://pbs.twimg.com/media/C8w_yj4XoAAU9XF.jpg

ネット上、次のような画像がアップされていました。「米国は、イラクでウソをつき、リビアでウソをつき、今度はシリアでウソをついている」というものです。中東・北アフリカの混乱、死と破壊、あふれる難民、蔓延するテロ…、これらの元凶はまぎれもなく米国の傲慢、向こう見ずな軍事行動です。

https://pics.onsizzle.com/they-lied-about-irao-they-lied-about-libya-they-re-18575497.png

遡れば、1970年代末から80年代にかけて「アフガニスタン戦争」というものがありました。日本では「ソ連のアフガン侵攻」と呼ばれました。この史実を詳細に正確に把握している日本人はどれほどいるでしょうか。シルベスター・スタローンが演じる無敵のランボーが、イスラム・ゲリラ(ムジャーヒディーン)と組んでソ連をやっつけるというハリウッド映画が当時ありました。ベトナムで拷問を受ける米兵捕虜を救い出すといういかにも米国の勝手なストーリーの「ランボー第二作目」に続く「第三作目」でした。少年時代の私は、米国への批判的視点などまったく無く、NHKで放送されていたドラマ「大草原の小さな家」やその他のホームドラマ、ハリウッド映画などを観ては、自由であたたかく開放的なアメリカ、悪をたたく正義のアメリカという像を結んでいきました。

しかし、その後、当時のNHKの特集だったと思いますが、アフガンから帰還したソ連兵の証言を集めた番組を見て衝撃を受けました。イスラム・ゲリラの捕虜となったソ連兵には、「シャツ脱ぎ」と称して、胴体の周囲に刃物で切れ目を入れ、上半身の生皮を剥がすという壮絶な拷問が課されたというのです。拷問に遭った兵士はそのまま打ち捨てられ、凄まじい激痛のなかで死んでいったそうです。仲間の変わり果てた姿、苦しむ姿を見せつけて、ソ連兵の戦意を落とすのが目的だったようです。「ソ連が悪い悪いと言われるけれど、相手の側もずいぶんとむごいことをするものだ」と感じたのを、何十年も経った今でもよく覚えています。この反共イスラム・ゲリラを全面的に支援したのが米国とサウジアラビアでしたが、今や首切りや火あぶりで世界を震撼させているイスラム過激派の源流には、もともと米国の姿があったわけです。

イスラム過激派とアメリカとの関係、源流としてのアフガニスタン戦争については、以下の記事でも触れられています。

Twenty-six Things About the Islamic State (ISIS-ISIL-Daesh) that Obama Does Not Want You to Know About
http://www.globalresearch.ca/twenty-six-things-about-the-islamic-state-isil-that-obama-does-not-want-you-to-know-about/5414735

藤永先生が先日、風刺漫画をご紹介くださいましたが、ネット上には次のようなものも見られました。事の本質を突いている漫画です。米国支配層の頭の中には、「シリア国民の命」も「対テロリズム」も実は微塵もなく、自分たちの中東戦略の目的である「シリアの政権転覆」だけがあるということです。

https://pbs.twimg.com/media/C80TMWRXUAEvbHA.jpg

今回の「サリン」の映像には、またもや「ホワイト・ヘルメット」のメンバーが複数映っていました。彼らが、「中立・不偏の民間レスキュー」というのは真っ赤なウソで、すでにその化けの皮は剝がれています。以下の記事の中ほどには、シリア政府軍兵士の遺体を車にのせ「Vサイン」を送るホワイト・ヘルメットの画像があります。さらにその下の方には、4分割の画像と動画があり、処刑の場に控えていて処刑後すぐさま遺体の運搬に取り掛かるホワイト・ヘルメットが映っています。彼らは、中立・不偏ではなく反政府側・テロリスト側にくみする連中であり、人命を救うレスキューではなく殺人の手助けをしている連中です。

Syria’s White Helmets: War By Way of Deception
http://21stcenturywire.com/2015/10/28/part-ii-syrias-white-helmets-war-by-way-of-deception-moderate-executioners/

以下は、ホワイト・ヘルメットが瓦礫に埋まった男性を救助するシーンを「捏造」するところが流出したものです。撮影のスタンバイ中は全員が無言で、24秒経過のところでとつぜん男性が叫び始めます。

https://www.youtube.com/watch?v=3HCFol7g-FU

以下の記事の一番最後の画像(4分割)には、足を負傷し激痛に叫び声をあげるという「熱演」をした男性が、芝居を終えた後にホワイト・ヘルメットと一緒に記念撮影をしているところが写っています。

Why Is Sweden Giving the “Alternative Nobel Prize” to Syria’s ‘White Helmets’?
http://theindicter.com/why-is-sweden-giving-the-alternative-nobel-prize-to-syrias-white-helmets/

以下の病院のシーンでもウソが露見しています。短い動画の最後に映る男性が、白い歯を見せておどけたような表情でいるのですが、カメラに気づいたとたん急に表情を変え、負傷者を演じるのです。反政府側が流す病院の映像では、こうした「エキストラ」がどれほど使われていることでしょう。

https://southfront.org/al-jazeera-releases-fake-footage-from-bombed-hospital-in-eastern-aleppo/

一躍、世界中の注目の的となったツイッターの少女、バナ・アベド。反政府側支配地域の住民として、ツイッターを使って英語でメッセージを発信したというのですが、以下の映像には彼女の英語というものがいかなるものかが露見しています。「(亡命先トルコの)イスタンブールの食事は好きですか。何が好きですか」という質問をされると、「Save the children of Syria.(シリアの子供たちを救って)」という刷り込まれたセリフを返したのです。彼女は、自分の意思や感情を世界に発信していたのではなく、あたかも森友学園の園児たちが「安保法制国会通過よかったです」と言わされているように、大人たちのプロパガンダにうまく利用されただけでしょう。

https://twitter.com/walid970721/status/827528526165372928

今回の米国のシリア攻撃をうけて、彼女はまたもやプロパガンダに利用されました。「ドナルド・トランプさん、大歓迎」というメッセージの送り主として。

https://twitter.com/ShoebridgeC/status/850616309251547136

こういう類のウソ(戦争プロパガンダ)が、マスコミをとおしていまだに「事実」として流され続けています。先日のNHKスペシャル「シリア 絶望の空の下で-閉ざされた街 最後の病院-」もそうでした。

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170319

藤永先生が以前にブログでご紹介くださった、リック・スターリング記者から「国境なき医師団(クドゥス病院)」へ宛てた「公開質問状」ですが、いまだにまともに答えられた形跡がありません。

Open letter to MSF: About Bias and Propaganda on Syria
https://off-guardian.org/2016/05/07/open-letter-to-msf-about-bias-and-propaganda-on-syria/

「アレッポの最後の病院・クドゥス病院へのシリア政府による残忍な攻撃」というストーリーのウソについては、以下の記事が詳細です。シリアの地に何度も入っているフリーランス記者のエヴァ・バートレットさんが、実際にシリアのアレッポ医療協会の医師たち(協会トップも含む)に取材した結果です。

War on Syria: Manufactured Revolution and Fake Media Narrative
http://www.globalresearch.ca/war-on-syria-manufactured-revolution-and-fake-media-narrative/5577303

医師たちの証言から、クドゥス病院、国境なき医師団のウソが見事に暴かれています。クドゥス病院への攻撃で死亡したという医師の名前は協会の名簿には存在しないというのです。クドゥス病院自体も登録されている病院ではなく、急ごしらえの病院のようです。非常に怪しい存在です。西側メディアがクドゥス病院のウソを垂れ流している時、アレッポの政権支配エリア(150万の市民)には連日、反政府側からの無差別攻撃があり、そのなかで多くの医師たちが活動していたのですが、そうした被害や活動は無視され続けた、という怒りの声です。クドゥス病院が存在したのは過激派のヌスラ戦線の支配エリアでしたが、「病院を標的にするアサド政権、残された唯一の病院、最後の医師」というウソのストーリーがメディアによって拡散された一方、アレッポのその他の政権支配エリアの大勢の市民の犠牲(1万人超)や医師たち(4000人近く)の懸命な活動は、まったく見向きもされずにいたわけです。

アレッポ医療協会に所属する病院では日々の死傷者を記録していたにもかかわらず、トルコその他の外国に拠点を置きウォール・ストリート(経済界)からの支援を受ける「人権団体」や西側メディアは、匿名の活動家やシリア国内のアルカイダ、ホワイト・ヘルメットの情報を引用してばかりいた、とも批判されています。取材したアレッポの多数の人たち、アレッポ医療協会の会長でさえもが、ホワイト・ヘルメットなるレスキュー隊の存在など聞いたこともないという反応で、このことは、ホワイト・ヘルメットという団体がテロリスト支配地域にのみ存在し、テロリストのためにのみ活動していることを意味している、とバートレットさんは断言します。

NHKスペシャルでは、アレッポ包囲戦で物資を遮断し反政府支配エリアの人々を窮乏させたと、アサド政権や北部クルド人を批判していましたが、バートレットさんが取材した医師の証言では、アレッポの政権支配エリアこそ、反政府側の封鎖によって食糧・水・燃料・電気などの欠乏状態を強いられていたということです。

NHKスペシャルでは、医師が不足したため看護師や理学療法士が手術を代行したともありましたが、いくら緊急事態であってもそのようなことは可能なのでしょうか。知識や技術の点で可能かも問題ですが、手術のリスクからして、そのような行為が医療倫理上、認められるものなのでしょうか。放置すれば命に関わるとはいえ、医師以外の人間が危険な手術に臨めば、それはまた命に関わるリスクを生じさせるわけですから。バートレットさんが取材した医師の証言では、アレッポの政権支配エリアには、殺傷能力を増すよう細工された迫撃砲やガスタンク爆弾が一度に何十発も降り注ぐ無差別攻撃が、文字通り連日あったそうですが、一度に大勢がかつぎこまれる病院では医師が不足して追い付かず、人々はそのまま死んでいったとあります。やはり、いくら緊急事態であっても、医師以外の人間に手術を任せるなど、普通は無いのではないでしょうか。

NHKは、「クドゥス病院」、「ホワイト・ヘルメット」、「バナ・アベド」などのウソをてんこ盛りにして、一つの特集番組を作り上げました。取材リサーチャー2人、取材コーディネーター1人の名前(いずれも外国人)が最後に出ましたが、おそらく反政府側の人間がすべてをお膳立てしたのでしょう。反政府側が提供した映像をつなぎ合わせ、トルコに亡命した病院関係者(正体不明)やバナ・アベド親子にスタッフが取材した映像を付け足し、あとはアレッポ包囲戦のCG画像でそれらしく仕上げたという代物です。ジャーナリズムに必要な、対立する双方の中に入り、「取材(証拠の収集)」と「検証(証拠の照らし合わせ)」を積み重ねるという作業がなされたものではなく、以前にご紹介した「アムネスティ・インターナショナル」の「人間屠殺場」報告書と同質のものと言えます。アムネスティも、対立する一方の主張に基づく粗雑な推論で報告書を構成し、確かな「証拠」や綿密な「検証」の欠如を、精巧な「CG映像」などを作成してごまかす、という同じようなことをしていました。(桜井元氏寄稿、続く)

藤永茂(2017年4月16日)


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