日々の恐怖 10月10日 営業所(1)
20代前半の頃だけど、地方の小さな営業所でOLをやっていた。
私はひとり旅が趣味で、GWやお盆の他に年に1回有休使って平日に旅行していた。
職場の人に、
「 今度は何処いくの?」
ってよく聞かれたけど、
「 内緒!お土産楽しみにしててねー。」
って言っていた。
別に何かを警戒してるとかじゃなくて、行き先を言うと行ったことのある人が、あそこがいい、ここがいい、あそこは見ておけ、とか、やたらアドバイスしてくるのが鬱陶しかったからだ。
それで、旅行当日。
東北自動車道走ってて事故渋滞に巻き込まれて停車していたときに、
“ まいったなー。”
とか思いながらあちこちキョロキョロしてて、何気にルームミラーから視界に入ったのが、左の車線の2台後の運転席だった。
その時はハッキリ確信があったわけじゃないんだけど、同僚男性にすごく似てた。
その人、上手く言えないけど独特の雰囲気を持った人で(よくない意味で)、髪型も癖毛でちょっと変わってたから目に付いた。
その後事故処理が終って走り出したあとも、なんとなく気になって注意してたんだけど、一定距離を保ってついてくる。
最初は、
“ 自意識過剰だよな・・・。”
って思ってたんだけど、やっぱり気持ち悪くてSAに入ってみたら、その車も入ってきて、私とはかなり離れたところに車を止めた。
トイレに行く時に目だけ動かしてその車から人が出るの見てたんだけど、出てくる気配がなくて、トイレのあと車に戻るときも同じように確認してみたけど、運転席から出てくる気配がない。
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