日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

「大根」か「ダイコン」か

2009-12-13 09:00:00 | (K)のブログ
 2010年1月号の作業がようやく終わりました。9月から、あれやこれやと内容について議論してきたことに関しては、数日前に(瑛)さんが書きました(イオ編集部に50代がいることもバラしてしまいました)。
 ここではちょっと、1月号における表記のことをはじめ、いろいろな表記の問題について書いてみたいと思います(長いですよ)。


 月刊イオの1月号の発行日は1月1日になっているものの、実際は早くできあがります。月刊イオは、基本的に毎月17日に印刷所から納品されます。1月号なら12月17日にできあがるわけです。
 12月17日の当日に1月号を目にする人もいれば(例えばイオ編集部以外の社員のみなさん)、翌日に目にする人もいるし、流通その他の関係で、2010年になって初めて目にする人もいます。
 形式上は発効日が1月1日であることも合わせ、その他の月なら問題にならないのに、毎年1月号は、「今年」「昨年」「来年」といった表現が使いづらくなります。例えば「昨年11月15日に…」と書いてしまうと、2009年中に手にした読者は「2008年11月15日のこと」と思うでしょうし、年が明けてから手にした読者は「2009年11月15日のこと」と思うでしょう。
 ですから、1月号では「今年」「昨年」「来年」という表現は使わず、「2009年11月15日に…」と表記します。1月号ではしつこいくらいに「2009年」という文字が出てきますが、そういう事情なので許してください。
 ちなみに、これまで「2009年」を「09年」と略す場合もあったのですが、「2010年」を「10年」と略すことに抵抗感があります。どうするか? たぶん長くなっても「2010年」と表記するしかないのでしょう。そうなると、他の年代も略しづらくなってきます。

 以下、書いていることは、1月号に限ったことではないのですが、表記の問題でいろいろと頭を悩ましていることです。


 漢字の使い方にも気を使います。例えば、「子供」と表記するか「子ども」と表記するか、「できる」と表記するか「出来る」と表記するか…。もちろん、月刊イオの独自の表記規則があり、編集部員が書く場合には、それに従うのですが、ここだけのはなし、表記規則がいい加減だし(すべての言葉について決められるわけがないですしね)、前後の文章のつながりによって、同じ言葉でも漢字にするほうがいい場合、仮名のほうがいい場合とさまざまです。また、依頼原稿の場合はまた変わってくるしで、けっこう統一性がありません。
 基本的には、あまり漢字を使わないようにと、思っています。いろんな方のブログを拝見していると、文章のほとんどを「ひらがな」で書いているものもあり、けっこう面白いです。参考に読んでみてください(「やねごんの にっき」)。

 野菜や動物の名前を漢字にするか仮名にするかという問題。「大根」「白菜」は漢字のほうが個人的にはすっきりしますが、「きゅうり(キュウリ)」「なす(ナス)」は、仮名のほうがすっきりします。でも、同じ野菜なのに、漢字と仮名を使い分けるのはいかがなものかと、内外から問いかけられます。そんなことで悩まなくてもいいのに、と部外者は思うのでしょうね。


 月刊イオならではの問題として、朝鮮語が出てきます。「キムチ」とか「オモニ」などは、すでに広く知れ渡った言葉として、そのまま使っています。最近では「チョゴリ」なんかもそうですね。
 「チヂム」という言葉も、むかしは「お好み焼きのような朝鮮料理」などと説明を入れていましたが、今は入れません(単に手抜き?)。しかし、「チヂム」にするか、「チヂミ」「チジム」「チジミ」にするか、悩みます。朝鮮料理店のメニューでも店によっても呼び方がいろいろなんですね。
 まあ、「チャンジャ」「サムゲタン」など、料理に関しては日本社会でも広く知られるようになったので、楽になりました。でも、「ムッ(ムク)」はどうしましょう(豆腐のような料理です)。

 朝鮮語にはパッチムというものがあり、これにも困らされます。「学校」の朝鮮語をカタカナで表記するとき、「ハッキョ」と書いていますが、厳密には「ハクキョ」になります。でも、「朴」の朝鮮語読みは「パッ」ではなく「パク」と表記しています。最後がパッチムで終わるとまた表記が難しく、「朴栄国」という名前の人がいたとして、名前に朝鮮語読みのルビをふる場合、「パクヨングク」「パクヨングッ」「パクヨング」「パギョングク」「パギョングッ」「パギョング」と、いろいろな可能性があります(月刊イオで実際にルビをふるとしたら「パクヨングク」になりそうです)。


 月刊イオでは当然のことながら、「元号」を使いません。基本的に「昭和34年生まれ」などという表記はしないということです。しかし、依頼原稿の場合、「昭和34年」と書かれてくる原稿もあるわけですね。筆者にお願いすると、たいていは「1959年」というふうに直してくださいます。
 困るのは、「昭和50年代の歌をよく歌っている」といった表現です。「1975年からの10年の歌」を指すわけで、もうお手上げな感じです。
 「元号」、ほんとうに、うっとうしい。


 この他にも、数字や数式、ものの単位の表記、縦書きと横書きのときの表記の違いなど、いろんな問題があって、とても書ききれません。

 「表記のこともいいけれど、誤字・脱字をどうにかしろ」という声も、ちらほらと聞こえてきそうですが、ひとつの雑誌を作るのに編集者はこんなことにも神経を使っているという、読者にはどうでもいい話でしたっ!(k)

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2 コメント

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ありがたいです。 (金オンマ)
2009-12-15 22:53:27
メールでさえ変換に迷う時があるのは私だけでしょうか?とても共感します!イオの文章を参考にさせていただきますね。
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金オンマさんへ ()
2009-12-16 11:49:17
コメント、ありがとうございます。
これからも、イオの「裏舞台」をいろいろと紹介していきたいと思います。
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