日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

美しい平壌の夜【平壌発5】

2017-07-24 10:00:00 | (理)のブログ

 《지새지 말아다오 평양의 밤아》(明けないで平壌の夜よ)という歌がある。

1절
 고요한 강물우에 불빛이 흐르네
 못잊을 추억을 안고 내 마음 설레네
 끝없이 걷고싶어라 내 사랑 평양의 밤아
 지새지 말아다오 아름다운 평양의 밤아
1番
 静かな川面に 街の光が流れる
 忘れられない思い出を抱いて 私の心は揺れる
 いつまでも歩いていたい 私の愛 平壌の夜よ
 どうか明けないで 美しい平壌の夜よ

 初めての祖国訪問時(高級部3年生)に、人民たちが披露してくれた公演で知った曲だ。もともとは女性がよく歌うのだろうか。たまに聞きたくなってYoutubeで検索してみると女性バージョンが出てくるが、私が観たのは男声重唱だった。生バンドの演奏、迫力ある歌声、観る人の心をつかむ絶妙な演出。とてもかっこよく、かつロマンを感じさせる演目だった。

 大人になって朝鮮に来ると、学生の頃より夜に外出できる機会が多くなる。職業柄というのもあるかもしれない。夜、取材を終えて車でホテルに向かう間、窓の外に見える平壌の街が好きだ。単純に建物の造形や街並みも美しいし、そこにライトが調和しているのがいい。ライトアップされた姿まで計算して作られているのだろうかというくらい、同じ道を通っても昼と夜でまったく印象が違う。また、そんな風景の中に人民たちの素朴な生活が溶け込んでいるのも素敵だ。

 6月末頃、夜に黎明通りを歩いた。4月に完成した黎明通りはまさにニュータウンという言葉がぴったりで、夜になると高層ビル群が現代的にライトアップされる。少しお酒を飲んだ帰り、爽やかな夜風にあたりながら散歩するのはとても気分がよく、まさに「끝없이 걷고싶은」―そんな気持ちだった。
 冒頭の歌が作られたのは1989年。日ごとに変化する朝鮮において平壌市内も当時の景色とは様変わりしただろうが、あたたかい光が灯る、愛する街の中をいつまでも歩いていたいという人々の思いは変わらないだろう。(理)