ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

倉持至宏展「降り積もる罰よ、略奪者を圧し潰せ。」(1) 

2023年10月30日 | 游文舎企画




11月1日から始まる燕市在住の倉持至宏さんの展示風景です。ホールでの工夫された展示により、これまでにない空間が現出しました。鉛筆やスプレーを使った、美と暴力性が共存したような平面画がまるで立体作品のように迫ってきます。





そしてギャラリー内でも濃密な作品群が。鋭く挑発するような作品でありながらもどこかユーモアもあり、世界をみる作家の知性とウィットを感じます。
展覧会タイトルだけでなく、作品タイトルもまた詩的で刺激的。言葉と作品との応答も味わって下さい。
11月1日から11月26日まで。月・火曜日休館。11月18日(土)午後3時よりギャラリートーク

季村江里香展はじまる

2023年10月15日 | 游文舎企画

セルフポートレイトシリーズ

14日(土)から季村江里香さんの展覧会が始まりました。上越市からも沢山の方々にお越しいただいています。
江里香さんの作品をこれだけ纏めて展示するのは始めてのこと。様々な試みをしながらも、とにかく何かを作り続ける=生み出し続ける姿勢がひしひしと伝わってきます。その多くが自画像のように見え、あるいは分身のようでもあります。







作品のひとつひとつを整理しコメントする、まるで日記のように記録し続けることで作品はもう一度内面化され、そうして自身の手を離れ作品として解放される、そんな過程を感じます。キャプションやファイルも見応え・読み応え十分。時間の許す限り、ゆっくりとお楽しみ下さい。

21日(土)午後2時より「季村江里香展に寄せて」 ダンス・丹羽洋子さん 詩の朗読・魚家明子さん

季村江里香展「それは祈りのようなもの」  10月14日(土)から

2023年10月11日 | 游文舎企画

「神の顔」


「ムシノワ」

14日より上越市在住の季村江里香さんの個展が始まります。季村さんは2019年、游文舎企画で、今は亡き石川真理子さんのギャラリー「蔵 和助」で柏崎では初めての個展を開催し、大変好評を博しました。
それから4年、自身は紆余曲折を経て、けれども制作に対する情熱は変わらず、今展に合せて奇跡のような作品を揃えてくれました。その作品は、様々な画材・手法で極めて繊細な手仕事と言えるでしょう。自らタイトルに言うとおり、それは祈りのように敬虔で真摯、「ひたむき」という言葉がこれほどふさわしい作家はいません。とはいえ画材は手近にあるものばかり。段ボールにクレパスやサインペン、あり合わせの紙にボールペン、それどころか食品のパッケージや買い物のレシートまでもが彼女の手にかかると人なつっこい人形や動物、得体の知れない怪物や未知の風景に変わってしまうのです。そうせざるを得ない日々の心情もまた切実です。
しかしそうした制作の過程を冷静に記録するファイルもまた、彼女独特の知性と感性のなせるところです。








ぜひ季村江里香さんの世界をご堪能下さい。
会期は10月22日まで。16日(月)休館。
10月21日(土)午後2時から ダンス・丹羽洋子さん、詩の朗読・魚家明子さんによるイベント「季村江里香展に寄せて」を開催します。参加料1000円。