ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

関根哲男展「原生」 エネルギーホール6月30日~7月2日

2023年06月30日 | 展覧会より


游文舎では7月2日からたかはし藤水さんのインスタレーション「雫」展が始まるのだが、一足早く、エネルギーホールでは関根哲男さんの「原生」展が始まっている。
週末三日間だけなので、紹介させていただく。







遠目にはいつものように90㎝四方のパネルに何か貼り付けたものにしか見えない(「しか」と言いつつ、いつも素材には驚かされているのだが)
ところがさすがに今回はびっくりだ。何と人毛だ。床屋さんに頼んで半年分集めたという。それをボンドで古着のズボンに貼り付ける。身につけていた、というよりもついさっきまで人体の一部だったはずだ。「モノ」としての生々しさがこれまでにないほど伝わってくる。しかも呪力と深い関わりを持つ。位牌や墓をテーマにしたときのようなあっけらかんとした感じはない。それでもこれまで通り、素材の意味を換骨奪胎し、黙々と貼り付けていく。本当に意味はないのか?人は、毛糸なら何とも思わないのに、いわゆる薄気味悪さ、ぞわぞわした感じを抱かずに見ることは出来ない。意味とは人が勝手に作り上げているのだろうか。
しかし、繰り返すが全体を見るとそれらは神聖な空間にも見える。関根さんのひたすらの「営為」が空間を支配しているのだ。週末、ぜひご高覧下さい。

松尾大介展 ワークショップ

2023年06月11日 | 游文舎企画


6月10日午後、松尾大介さんによるワークショップが行われました。小学生からそのお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんの年代の方まで参加してくださいました。水の入ったカップに石膏の粉をゆっくり振り入れて、ヘラで切るように混ぜ合わせると、だんだんとろんとしてきます。



ヨーグルトくらいになったら軽く握った手のひらにこんもりと入れていきます。石膏は急速に固まっていきます。







真剣な面持ちで待つこと5,6分(?)、手の内がじんわりと暖まってきて、ちょっと熱いかな、と感じた頃、そっと指を剝がしていくと「私の痕跡」のできあがり!
それぞれの「作品」を順番に回していって、みんなの「痕跡」を確かめ合います。石膏を握っている間中、じっと手の内に集中していた事を思うと、この間の「私の思い」までも込められた塊のようにも思われます。シンプルな作業ながら、指を剝がした瞬間、まるで分身が現れたような感動を覚えました。

この「痕跡づくり」、作家が在廊する11日(日)、17日(土)、18日(日)にも体験できます。

松尾大介展 ―太古の宇宙船―          6月10日(土)から

2023年06月09日 | 游文舎企画




10日より、上越市の松尾大介さんの個展が始まります。
ブロンズが木を浸食するようにしてできた不思議な質感が印象的です。燃えさかる溶銅(湯)を注ぐことによって物質が荒々しく変容する、そのむき出しの鋳肌が、まるで原初の大地や、始原の生物の痕跡を想像させます。太古の宇宙船は、人間の記憶以前の世界へと誘ってくれるのでしょうか。







10日午後2時よりワークショップです。石膏を手の中に注ぎ、その変容を「私の痕跡」として残します。
小学生以上ならどなたでも参加できます。ぜひご参加下さい。
松尾大介展は18日(日)まで。