「警官の条件」佐々木譲 新潮社 2011年(初出小説新潮2010年5月号~2011年3月号)
警視庁刑事部刑事四課警部の加賀谷は暴力団幹部と付き合い、高級車に乗り高いスーツを着る。しかし、入手する情報も一流のものだった。そんな警察も風向きが変わり、加賀谷を逮捕することになった。部下の安城は加賀谷の行動を見張るために付けられたのだった。それから時は流れ、加賀谷は三浦半島で釣り船屋を営み、安城は出世して、警部になった。ところが、加賀谷が警察を去ってから、情報網がガタガタになってしまい警察は失点の連続。そんな中、加賀谷に復帰の依頼がある…
うーむ。さすが佐々木譲。北海道警察だけじゃなくて、警視庁を描かせても、抜群の安定感だ。無理な設定も無理な人物もないし、流れもスムーズ。あまりにもスムーズすぎる割りに文字数が多いので、読んでも読んでも進んでいない感じはしなくもないけれど。
読みどころは、安城率いる一課と、五課の対決が一つの軸。薬物を売る組織の抗争がもう一つ。段々真相に迫るミステリー的な展開。それと傲慢なのか懐の深い男の中の男なのかそう簡単に判別させない加賀谷という男の行動。ぶれないというただそれだけでも評価したい男。
全体としてかなり男臭い、警察小説の秀作だった。
では、また。
警官の条件 | |
佐々木譲 | |
新潮社 |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます