「ダブル・ジョーカー」柳広司 角川書店 2009年(初出野生時代2008年12月号~2009年6月号)
あの「ジョーカー・ゲーム」の続編が登場。前作を読んでいないと本作は26%ぐらいしか楽しめないから先にダブルを読まない方が良い。簡単に言えば、日本のスパイ機関の死闘を描いた小説である。連作短編でもある。
<ダブル・ジョーカー> 陸軍大学、陸軍士官学校出のエリートを排除して出来たD機関。彼らに対して面白く思わない者は多い。それをふまえて別のスパイ機関が出来る。その新機関とD機関の対決はいかに。
<蝿の王> 中国の前線でスパイが情報を渡す方法とは・・・
<仏印作戦> ハノイで民間人として陸軍の秘密電文を暗号化する男。しかし奇妙な依頼を受ける・・・
<柩> ドイツで日本人が列車事故死。彼のポケットからスパイしか使わない物が出てきた。果たして彼は日本人スパイなのか、その任務は何だったのかドイツ防諜の責任者の視点から描く。
<ブラックバード> 苦学生のふりをしてアメリカ人富豪の娘の婿になる日本人。その任務の先にあるのは大きな日米謀略・・・
てな感じ。かなり面白い。まあ前作「ジョーカー」ほどの衝撃はないが、概して初めてのときは痛く(当社比)、初めての衝撃は忘れられないモノであるから、初モノと同じ水準を第二作に期待してはいけないだろう。このまま第三作、四作と続いていくことを前提として考えれば、充分すぎる通過点である。
気になるのは、ラストのブラックバードで、もうこの後のD機関の活躍は作品として打ち止めなのかも知れないこと。どうしてそう思うのかはネタバレを避けて書かない。私の記憶違いかも知れないが前作から本作へ時系列順に書かれていたような気がする。いや違うかも知れない。あるいはそれとは関係なく続きが書かれるのかも知れない。
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私は十分楽しみました。
「柩」で結城の若かりし頃が出てきましたが、やはり相当なものでしたね~。
いつも陰に徹している結城を垣間見れる話をまた期待したいものです。
私も充分堪能しました。
結城の若い頃って書くとネタバレかな?と思ったのですが、
全然問題ないですね。結城は今後がもしあれば、陰に日向にと
活躍する姿を見たいものです。映像化されてもおかしくないですね。