頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『百番目の男』ジャック・カーリイ

2013-07-08 | books
「ブラッド・ブラザー」というサイコスリラーが、ジェフリー・ディーヴァー好きならオススメだと聞いたので、読んでみたら確かに面白い。しかし、

しかし、読んでる途中で気づいた。これ、シリーズものの第4作ではないか。シリーズものは順番に読みたい、順番原理主義者なので、途中でやめて第1作から読むことにした。この第1作、書店で見かけたけれど、表紙を見て、ショボイホラー臭がすると思い、手にも取らなかったんだった…

舞台はアメリカ南部アラバマ州モビール。主人公は刑事、カーソン・ライダー。大学で心理学を学んでいるときにたまたま会った刑事ハリーに誘われて警官になった。制服警官の時にサイコな事件を解決したために、ハリーとともにたった二人の精神病理・社会病理捜査部(PSIT)を組むことになった。いきなり衝撃的な幕開け(読んでのお楽しみ)とともに始まる連続殺人事件。遺体からは首が切り取られ、妙な文字が体に書かれている。誰が、何のために?…

うーむ。訳者あとがきに「どうです、驚いたでしょう?」とあってそれを先に読んだのでハードルがすごーく上がってしまった。それでも、誰がという驚きは100点満点中90点、何のためにという驚きは18000点!嘘だろー。それが動機か!おいおい、そんなこと思いつくか?こんな動機を考えつくのは天才か狂人のどちらかだろー。

ホワイダニット(なぜやった?)もハウダニット(どうやって?)もものすごく驚かされたけれど、ウリはそれだけじゃない。主人公が「僕」という一人称で語るのも大きいかと思うんだけれど、扱っている事件の陰惨さと異常さの割に、気軽に読めてしまう。ドン・ウィンズロウの「ストリート・キッズ」とトマス・ハリスの「羊たちの沈黙」を足して2で割ったような、あるいはドラマ「北の国から」とドラマ「沙粧妙子-最後の事件」を足して2で割ったような感じ。(ちがうか?)

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事件そのもの以外もすごく面白い。捜査の妨害をする上司、振り切れないカーソンの過去、ハリーとの軽妙な会話、全体の構成、読みどころの多さ。とにかくラストで驚かしてくれというお化け屋敷好き系読者、サイコな殺人そのものを楽しんだりするジェットコースター乗り読者だけじゃなく、サイコスリラー食わず嫌いな人にすごくオススメしたい。

では、また。

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