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『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』ジャレド・ダイアモンド

2012-10-26 | books
「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎」ジャレド・ダイアモンド 草思社 2000年
GUNS, GERMS, AND STEEL:The Fate of Human Societies, Jared Diamond 1997

どうしてユーラシア大陸の方が、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸より発展したのか。インカ帝国はなぜピサロに滅ぼされたのか。スペイン人の方がラテンアメリカの人よりも優秀だったからなのか。征服者と被征服者を決定づける要因は何であるのか。農耕、武器、馬、文字、鉄器、病気に対する免疫…様々な要素を丹念に検証してゆくと…

おお。具体的な年号や人物の名前が出てこない世界史のようだと思いながら読んだ。個々の様々な仮説に対して、ツッコミを入れたり、確かにとうなづきながら。

1.ニューギニアでは、殺人・事故による死がヨーロッパよりも多い → ヨーロッパよりも頭のよい人間だけが生き残るはず。(ヨーロッパでは疫病が蔓延したときに生き延びられればよいから)

2.ヨーロッパでは子供の受動的な娯楽ばかり楽しんでいるから、ニューギニアよりも相対的に知的発育が阻害されてしまうはず。

だとすれば、どうしてヨーロッパが征服者となったのだろうか。歴史も科学であるというのが著者の考えであるので、様々な科学的なアプローチを上下二巻でたっぷりと読ませてくれる。

ディテールが面白くて特に植物のことにうなづいてしまった。私はやっぱり草食系なのか。

・野生のイチゴやリンゴ、ブルーベリーのうち、大きいものを選んで人間が食べて捨てた種子(=大きい種の)がまた発芽して、を繰り返していくうちに特殊な技術を使わないでも品種が改良されていった。結果野生のものは小さく栽培したものは大きく。

・エンドウはサヤがはじけて種子が大地にこぼれ落ちていくことで発芽させていた。しかし人間はサヤがはじけないで種子がサヤに入ったままの突然変異のもの(=発芽できない不良な種)を選んで栽培していった。結果、種の保存のために必要な遺伝子(=サヤをはじけさせる)が結果として死を招くということになり、ベクトルを反転させたとか。

気になった箇所はたくさんあった。シマウマを家畜にできないのは、気性がが荒く、人間をかんだら離さないからだとか。地理的なことや文字に関して多くが書かれている。

割とザザッと読んでしまったので、もうちょっと腰を落ち着けて再読したいと思う。

では、また。


文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
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