途方もない話だし、証拠もない。つくり話として読んでいただく方が書きやすい。
という書き出しで始まる。私(=山田太一?)のもとに今から21年前に葉書が来た。それは個展の知らせの葉書だったのだけれど、そこには30年以上会ってない男の名前が書いてあったので本人がいるかと画廊まで行ったら彼がいた。その彼、彌太郎さんが語る話を連作短編集にしたのがこれ。
彌太郎は、戦後GHQで働いていたとか、そこでの出来事とか、後に好きになった女の話とか。これがなかなか面白い。含蓄とか奥深さというよりも、私と彌太郎の関係が段々そんなことになってしまうという展開が面白い。大人の男同士の味わい深い会話を期待して読むともっとずっと生臭い会話に驚く。
完全に100パーセント実際の話ではないけれど、100パーセント作り話だとも思えない。現実感と非現実感どちらも強くある。それをどちらともせずに書くのが巧い書き手なんだろうと思う。確か、「岸辺のアルバム」の文庫解説の中で奥田英朗氏がこの本のことを書かれていたと記憶している。
では、また。
「彌太郎さんの話」山田太一 新潮社 2002年
という書き出しで始まる。私(=山田太一?)のもとに今から21年前に葉書が来た。それは個展の知らせの葉書だったのだけれど、そこには30年以上会ってない男の名前が書いてあったので本人がいるかと画廊まで行ったら彼がいた。その彼、彌太郎さんが語る話を連作短編集にしたのがこれ。
彌太郎は、戦後GHQで働いていたとか、そこでの出来事とか、後に好きになった女の話とか。これがなかなか面白い。含蓄とか奥深さというよりも、私と彌太郎の関係が段々そんなことになってしまうという展開が面白い。大人の男同士の味わい深い会話を期待して読むともっとずっと生臭い会話に驚く。
完全に100パーセント実際の話ではないけれど、100パーセント作り話だとも思えない。現実感と非現実感どちらも強くある。それをどちらともせずに書くのが巧い書き手なんだろうと思う。確か、「岸辺のアルバム」の文庫解説の中で奥田英朗氏がこの本のことを書かれていたと記憶している。
では、また。
「彌太郎さんの話」山田太一 新潮社 2002年
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