頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『冬雷』遠田潤子

2018-02-15 | books
冒頭、愛美の遺書が紹介される。「代助さん、ストーカーしてごめんなさい」・・・ 代助は、児童養護施設にいたが、11歳の時に養子になって日本海側の小さな町で、塩業と放鷹の儀式を司る千田家に跡取りとしてやって来た。雄一郎はとても厳しい父親だった。雄一郎の弟、倫次は、鷹櫛神社の宮司をし、代助の同じ歳の美しい娘の真琴は、巫女をしている。閉鎖的な町。町は、放鷹の千田家と神社が中心となって回っていた・・・代助の幸せな日々は突然終わる。殺人事件、ストーカー・・・

うーむ。ドロドロにドロドロと汚濁した話。なのに、どこか爽やかという、ありそうでなさそうな稀有な小説だった。

ストーカーになってしまった、愛美。彼女の兄のヤンキー龍。気高い真琴、真っ直ぐな代助。それぞれの心中を察する。

殺人事件があるので、その謎解きもあるのだが、必ずしもそのミステリーによりかからずに、登場人物それぞれが、「これからどうなってしまうのだろうか?」のドキドキ感がずっと継続する。

遠田潤子、やっぱりいい。

冬雷

今日の一曲

スガシカオで、「秘密」



では、また。
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