頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『キリング・ゲーム』ジャック・カーリイ

2017-12-21 | books
アラバマの刑事カーソン・ライダーが挑むのは連続殺人事件。刺されたり、クロスボウで撃たれたり、様々な殺し方をされる。そして被害者たちに何の関連も見いだせない。無差別殺人なんだろうか。だとすると厄介だ・・・ 真犯人グレゴリーの目線で描かれるのは、チャウチェスクの時代のルーマニアで孤児として施設にいたことと、ひどい目に会っていたこと。そして、気が狂っているようであること・・・ そしてグレゴリーは、ライダーに挑んでいることが分かる。なぜ?連続殺人の動機は・・・

ううむ。このシリーズやっぱり面白い。抜群に面白い。

ライダーがポリス・アカデミーで行う授業とか、恋愛などのサブストーリーがなかなかいい。ライダーを嫌う本部長との対決もいい。

何より、本筋がいい。グレゴリーのどんどん突き進む狂気。ライダーの捜査。そして、事件が解決しても、姉エマとの会話から、「あれ?そういうことなのか?」と思わせる意外性。最初からもう一度読んでしまった。

ライダーは講義で言う。

「正常な人間は自分の内面と外部の関係を定義し、混ぜあわせる。<自分>という考え方を経験し、そこに<自分たち>というもっと広い概念をくわえる。人と人との関係や共通性を見いだす世界だ。<自分たち>の世界を知ることで、正常な<自分>は<自分たち>が欠ければ、孤独を感じることができるんだ。ソシオパスは<自分>の領域だけに存在している。自分だけの宇宙にいると、<自分たち>のための場所はない」


グレゴリーはこんなことを考えている。

持てない者が持てないのは大半の者より馬鹿だからであり、セックスは気持ちよく、真実を語れば厄介事を招くか刑務所行きになるかもしれないということだ。誰でもそれがわかっているのは確実なのに、そうじゃないように装うのは、ただ、そう、妙な理由で低能どもは無意味なことや意味のない表明を愛しているからだ。


良心というのは、低能の種族という多数派が、バケツのなかでほかの低能といつまでも過ごしてしあわせでいるために考えられた虚構だ。

クレイジーなグレゴリーだが、考えていることは必ずしも間違っていない。

キリング・ゲーム (文春文庫 カ 10-7)

今日の一曲

大沢誉志幸のカバー。ハナレグミで「そして僕は途方に暮れる」



いつの間にか、YoutubeのiframeのタグがgooブログでもOKになっていたので、直接貼れるようになった。では、また。

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2 コメント

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今更ですが (みゆき)
2017-12-21 18:57:43
雪の鉄樹読みました。とても良かった。
私、遠田さんの作品もっと読みます。
こんにちは (ふる)
2017-12-22 15:11:22
>みゆきさん、

遠田潤子はいいですね。私もハマって、読み耽っています。

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