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『リンカーン弁護士』マイクル・コナリー

2013-09-20 | books
アメリカの二転三転するサスペンス小説では、東のジェフリー・ディーヴァー、西のマイクル・コナリーが横綱だと書いていたのは誰だったか忘れてしまった。ディーヴァー作品はほとんど読んでいるほど好きなのに、コナリーは一冊も読んでない。たぶんボッシュ・シリーズの第一作「ナイト・ホークス」を少し読んでつまらないと思った(んだろうと思うけれどかなり昔のことなので覚えてない。)

翻訳ミステリーシンジケートで翻訳家の古沢嘉通氏が「初心者のためのマイクル・コナリー入門」を書いておられて、それを読んでみると10作以上あるボッシュ・シリーズを読む前に、とりあえず」「リンカーン弁護士」を毒見してみるとよさそうとのこと。信頼できるプロを見つけたら、そのプロの言うことは基本的に丸飲みするのが信条の私なので読んでみた。

主人公マイクル・ハラーは弁護士。事務所はリンカーン・タウンカーの中。事務所を持たなくて携帯があれば仕事はできる。イエローページに広告を載せ、刑事事件で何とか食いつないでいる。そこへ現れたのはルーレイ。売春婦を殴ったとして逮捕された。ルーレイは不動産屋で相当金を持っている。これは相当の弁護量が稼げそうだ。そんなハラーが忘れられないのは過去の事件。無実の人間を有罪答弁取引で刑務所に送ってしまったのかも知れないと考えている。ルーレイの事件が過去の事件とリンクしていって、そしてハラー自身の身が危険になり…

いやいやいや。こんなにドキドキするリーガル・サスペンス久しぶりに読んだ。ネタバレしたくないので詳しいことは書けないけれど、そう来るか。そしてそう来るか。

リーガル・サスペンスは、

1.法律や法廷テクニックの知識がさりげなく、かつ効果的に小説内にばら撒かれている。
2.登場人物が丁寧に書き込まれている。
3.プロットが二転三転する。
4.できれば主人公自身が危険な目にあう。
5.主人公が単純な正義の味方ではなく、複雑な内面を抱えている。
6.あっと驚くラスト。
7.読み終えると、巧妙な伏線が張られていたことに気づく。

という条件が多く満たされれば満たされるほど極上のエンターテイメントになる。そして「リンカーン弁護士」はその全てを満たしていた。マイクル・コナリーさすが。よっしゃ。ハリー・ボッシュ・シリーズ最初から読もう。

では、また。

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