頭の中は魑魅魍魎

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『わが心臓の痛み』マイクル・コナリー

2014-11-13 | books
ハリー・ボッシュシリーズのマイクル・コナリーによるノンシリーズは元FBI捜査官が主役。

心臓の病のために早期退職したテリー・マッケレイブは船の上で暮らしていた。現れた美しい女が仕事を依頼してきた。彼女の妹が強盗に殺されたのだが、その犯人がまだ捕まっていない。その犯人を捜してもらいたいと言うのだ。しかしマッケレイブは探偵のライセンスも持っていないし、心臓の手術を受けてまだ二ヶ月しか経ってないので体調も万全とは言えず、依頼を断った。すると彼女は、死んだ妹の心臓があなたの移植された心臓だと言う。仕事を受けたマッケレイブは、類似した未解決事件を探す。警察の妨害を受けながら、たどり着いた真実とは…

前にも書いたような気がするけれど、マイクル・コナリーは「間違いない」 

ハードボイルド作品として一級の読物であると同時に、どんでん返しミステリーとしても一級だった。人物の作り方もいいけれど、やはり真相の底にある動機と、そこへとたどり着くプロセスが本当に巧い。いや巧すぎる。

クリント・イーストウッドが主演、監督で映画化されたそうだが観てない。マッケレイブはあそこまで歳をとってはいないけれど、役にはあってるような気がする。欧米のドラマや映画では、中高年のおじさんが若くて美しい恋人を得るという描写が、日本の作品よりも多いように思う。それが社会の現実を投影しているのか、それとも願望なのだろうか。

登場人物の一人が、「今西刑事捜査する」という本を読んでいたのだが、松本清張の「砂の器」の英訳本のタイトルがそれだそうだ。松本清張は昔かなり読んでいたのだけれど、今は全く読んでない。「砂の器」とか「点と線」はストーリーをほとんど覚えているので、覚えていない何か別の作品を読んでみようかなー。(ミステリーはストーリーを覚えている場合、特にどんでん返し系だと、再読する気にはあまりならない。)

わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー)わが心臓の痛み〈下〉 (扶桑社ミステリー)

今日の一曲

心臓、と言えば、heart... Oh My Little Sweet Heart心は~君の~と歌う、山下達郎で「僕の中の少年」



では、また。
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