頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『ギフテッド』山田宗樹

2014-10-18 | books
アメリカで腎臓に奇妙な腫瘍を持つ少年がいた。しかし腫瘍ではなく、未知の臓器だった。この未知の臓器を持つ人間が世界中にいることが分かり、「ギフテッド」と呼ばれた。日本では、検査の結果、ギフテッドと認定された児童を保護するために、第一種特殊児童保護育成制度が実施された。しかし結果として、特殊能力を持つであろう彼らに対する差別意識も出てくる。主人公、達川颯人がギフテッドとして小学校で差別され、ギフテッドばかりが集められた学校に転校するところから、物語はスタートする。後に、保護育成制度は撤廃されてしまった。同級生たちは大学に進学したりして社会に出て行った。時は流れ、彼らは32歳。しかし同級生の一人が、カルトのようなものをはじめてしまったらしい……

全体を同じような感想を持ちながら読むことができなかった。すごく面白いなと思いながら頁を捲ることもあれば、また詰めが甘いなと思うこともあった。ネタは特に終盤すごく大きくなる(まさかそう来たか!)(終盤、すごく面白かった)ので、上中下三巻ぐらいに広げて、ディテールをかなり細かく書いて欲しい小説なのに、やや説明が短すぎるように思った。

「神は細部に宿る」と言ったのは、ファン・デル・サールだったか、いやそれは元オランダ代表のキーパーだ。ファン・デル・ファールトだったか。それもオランダ代表だ。たしかファン・デル・ミース・ファン・デル・ローエだったっけか。

例えば「銀河英雄伝説」のようなディテールが、何もツッコミを許さないほどに完璧なものとなっている作品と較べると、やや雑だと感じてしまう。

例えば、瞬間移動できる能力があったとして、それをある程度(タキオン粒子を説明に使うとかして)科学的に説明すると、それはSFになって、そういうことについて何も説明しないとそれはファンタジーになる(と思う)

本作品は、科学的に説明をしようとするのでSF的なポジションにあろうとする。にもかかわらず、説明しない部分が多いので、ファンタジーのようにもなってしまう。そのどっちつかずな感じを、もっと説明を省いて、短編のファンタジーにしてしまうか、さっき書いたように、説明しまくって重厚長大なSFにしてしまえば、この「いいネタを持ってる」小説が、20年経っても読み続けられるものになるのではないだろうか。と老婆心ながら思った。

つまらなくはなかったんですよ。ええ。

ギフテッド

今日の一曲

超能力、超常現象。と言えばsupernatural SantanaのアルバムsupernaturalからSmooth



feat.Rob Thomasだった。彼の歌声を知ったのはこの曲だったと思う。しかし、Carlos Santanaかっこいいな。だいぶ前の高中正義とのジョイントライブのときはそれほどとは思わなかったのに(その頃、私の神は高中だったからだろうと思う)

なんてことを言うとったらこんな動画見つけてもうた。史上最高のフュージョンギタリスト、高中正義のReady To FlyをSantanaと一緒に演奏しているとこ。




ヤマハのSG2000というギターは高中が使ってるは知ってたけれど、ここではCarlos Santanaも使ってた。知らんかったー。何やら昔のことを色々思い出して、思わず江頭が、いや目頭が熱くなってしまった。

では、また。
コメント    この記事についてブログを書く
« 『群青のタンデム』長岡弘樹 | トップ | はじめての〇〇 »

コメントを投稿