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『西洋美術史入門』池上英洋

2013-01-30 | books
「西洋美術史入門」池上英洋 筑摩書房(ちくまプリマー新書)2012年

大学の文学部哲学科で美術史を教えている著者が書いた、美術史に興味がある高校生の関心に応えようとする本。

高校生向けと言っても、目からウロコが落ちまくり。例えば、

絵画の技法の簡単な変遷 フレスコ画→テンペラ画→油彩 どれが高価なのかどれが便利なのか、どうしてこのように変わっていたのかその原因。とか、

ルネサンス期のフィレンツェ。聖書では禁止されている(禁止されていたの知らなかった)金貸しを外国を迂回することで合法化させていた(そんなことしてたのね。)海外の支店へ現金を運ばないといけなくて、その危険な仕事をする者の無事を祈って描かれたという「トビアスと天使」(そんな経緯は知らなかった。) とか、

アメリカ人が英国人に対して文化のコンプレックスを抱いていると言われるけれど、英国人は昔、欧州大陸にコンプレックスを持っていた(後進国だったから言われてみれば確かに。)金持ちになった英国人が旅した美しい先進国イタリアの景色を絵にしたものを土産として買っていた。

というような話があれこれと。

絵画を依頼者であるパトロンの気持ちになって観てみると、全然違うモノに見えてくる。紹介されている美術の歴史もとても面白いし、絵画の見方も変えてくれる、そんな本だった。

では、また。


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