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『ツバキ文具店』小川糸

2016-05-16 | books
鎌倉のちょっと小高い山の上にあるツバキ文具店。一人で営んでいるのは雨宮鳩子。先代(祖母)が亡くなった後、あとを継いでいる。しかし表向きは文具店と言いながらも、代書屋も営んでいる。人に代わって文字を書くのが仕事で、賞状や履歴書、そして手紙も代わりに書く。祖母の教えは厳しく、文字だけじゃなく、生活態度まで指導された。そんな鳩子(ポッポちゃん)のところに持ち込まれる、難題の数々。代わりに手紙を書いてくれという依頼。そして鳩子の周囲の人たちとの触れ合い。お隣のバーバラ婦人、気難しそうな男爵、学校の先生をしているナイスボディのパンティー、小さな女の子のQPちゃんたちに癒されている鳩子の生活とは…

パンティーという言葉。いやいやいや。口に出すのは数十年ぶり、パソコンで入力するのはたぶん初めて。これがあだ名になるというこのセンス。好きだ。

物語は比較的淡々としているけれど、依頼を受けて彼女がどういう手紙を書くか。なんと手書きの手紙が紹介されるのだ。毎回。その文字を見るのがすごく楽しみ。味わいがあるし、各回ごとに全く違う人の字のように見えるのもスゴイ。(代書屋と言えば、鮫洲など免許の更新に行くと周辺にたくさん代書屋があった。あれはなんだったろう。そう言えば桂枝雀の落語に「代書」という話があったっけ。あれを聞けば思い出せるかな。ここにテキストがあった)

それから、鎌倉のグルメガイドとしても読める。冒頭に地図がついていて、中でたくさん店が紹介されている。山形料理の店とかカレー屋とか行ってみたい店がいくつかできた。

結局ラストも含め、とってもいい話だった。

ツバキ文具店

今日の一曲

代書屋が書くのは手紙。Joe Cockerで、"The Letter"



では、また。
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