平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

映画「空母いぶき」~自衛隊、専守防衛で戦わば。「今後の外交交渉に影響する戦闘は極力回避せよ」

2021年04月14日 | 邦画
 映画「空母いぶき」
 原作コミックでは、尖閣をめぐる中国との戦いになっているのだが、
 映画では謎の海洋国家・東亜連邦との戦いになっている。

 さて、他国からの侵攻を受け「防衛出動」が発令された時、日本政府はどう反応したか?

 日本政府
「今後の外交交渉に影響する戦闘は極力回避せよ」
「戦闘から戦争に発展する行動は避けよ」

 正しい反応だと思う。
 国家間の紛争の最終的な解決手段は「外交交渉」。
 あくまで局地戦の「戦闘」に抑え、国と国が全面的に戦う「戦争」は避ける。
 劇中でタカ派の閣僚が「これではこのいくさは負けるぞ。全軍をあげて戦うのみ」と息巻いていたが、これは愚か。
 全軍で戦えば「戦争」になってしまう。
 あるいは、ひとりの閣僚はこんなことを言っていた。
「グローバル化の現在、国と国との全面戦争は国際経済に多大な影響を及ぼす」
 これがグローバル化の時代の戦争のリアリズムだと思う。

 アメリカの反応は──
「自制的な行動を求める。グッド・ラック!」
 おいっ、日米同盟はどうした?(笑)
 でも現実はこんなもんじゃないかな?
 紛争や局地戦は当事国に任せる。
 全面戦争になった時は、調停などに乗り出す。
 仮にアメリカと中国が全面戦争したら世界はボロボロになるからね。
 ネトウヨ界隈が言っている「アメリカが中国をやっつけてくれる」は幻想だ。
 ……………………

 では、秋津(西島秀俊)が率いる空母いぶきと護衛艦の自衛隊はこの事態でどう戦ったか?

 いぶきのスタンスはあくまで「専守防衛」だ。
 日本政府の命令
「今後の外交交渉に影響する戦闘は極力回避せよ」
「戦闘から戦争に発展する行動は避けよ」
 に従って戦う。

 そのために行なったのは──
・敵ミサイルの迎撃
・敵艦の無力化(撃沈ではない)
・いぶきに襲い来る敵潜水艦の魚雷を護衛艦が代わりに受ける。
・なおも魚雷を放とうとする敵潜水艦に味方潜水艦が体当たり。
 途中、敵潜水艦を沈める機会はあったのにそれをしない。
 撃墜された敵戦闘機のパイロットは助けるし、
 捕虜になった敵が味方を銃で殺害したのに報復しない。

 まさに「専守防衛」に徹した「自制的な戦い」だ。
 高性能のミサイルや魚雷をぶっ放して敵をやっつければスカッとするだろうが、
「戦争に発展すること」を避けるために愚直に戦い続ける。
 仲間を理不尽に殺されたら怒りも湧いて来るが、あくまで冷静に対処する。

 映画「空母いぶき」はこのような作品だった。

 僕はこの作品の日本政府や自衛隊の対応を「是」とする。
 国際世論もこんな日本の姿勢を支持するだろう。
 一時のスカッとする爽快感は道を誤らせる。

 さて仮に現実でこういう事態に陥った時、
 日本政府、自衛隊はどう対応し、国民はどのような反応をするのだろう?


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