平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第38回「追い込まれる軍師」~控えよ、三成! 今、わしは殿に申し上げているのだ!

2014年09月22日 | 大河ドラマ・時代劇
「いったい黒田のやって来たことは何だったのです?
 人を活かして使うのが黒田の信条だったはず」
 宇都宮鎮房(村田雄浩)を謀殺した長政(松坂桃李)に対する光(中谷美紀)の言葉。

 大事なものが壊れてしまいましたね。
 これで黒田家は昔のように楽しく笑うことはできなくなってしまうのだろう。

 官兵衛(岡田准一)にしてみれば、<生き残る>ために仕方がなかったこと。
 きれいなままでは生きられない。
 矛盾の中で生きている。

 物事が変わっていくのは避けて通れないものなのだけれど、大切にしてきたものが一気に壊れてしまった喪失感は筆舌に尽くしがたいものだっただろう。
 今までの自分の人生は何だったのか? と。

 時代の非情。
 権力者の理不尽。

 秀吉(竹中直人)はますます狂う。
 人を将棋の駒のように自在に操るのは面白い。神のようじゃ。

 こんな裸の王様に利休(伊武雅刀)はチクリ。
「耳に痛いこと言ってくれるうちが華でございます」

 安倍さんも野党が弱体化し、自民党内にも批判勢力がいなくなって、やりたい放題だけど、海外出兵とか言い出さないでよ。

 官兵衛が三成(田中圭)に放った言葉にはすっきり。
「控えよ、三成! 今、わしは殿に申し上げているのだ! 口を挟むな!」

 僕は三成みたいな人間が嫌いでしてね。
 つまり現実を知らずに頭の中で生きている人間。
 たとえば、三成は茶々のために城を造れと簡単に言いましたが、城を普請でどれだけの人が苦しむかに想像力が及ばない。
 地べたからでなく、高い所から物を見ているとこうなってしまうんですよね。
 宇都宮鎮房(村田雄浩)のことだって、自分で手を下さないから平気で「やれ」と言える。
 普通は、長政がそうであったように、人を謀殺しようとすれば手が震え、うろたえる。

 徳川家康(寺尾聰)と官兵衛のやりとりは見応えがありましたね。
「天下泰平は訪れる。豊臣の天下を奪おうとする野心を抱く者がおらねば」
 と官兵衛が釘を刺すと、家康は、
 お伽衆に語った秀吉の言葉「次に天下を取るのは官兵衛に違いない」を披露する。
 まさに狐と狸の化かし合い。
 まあ、この勝負、家康の勝ちですかね。
 これで官兵衛は二心がないことを示すため隠居しなくてはならなくなくなった。
 家康はこのひと言で官兵衛を封じ込めた。

 これからの物語は、官兵衛 VS 秀吉、三成、家康の対立図式になりそうです。


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2 コメント

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竹中秀吉の影と拡大版小寺家 (TEPO)
2014-09-22 23:42:30
今は亡き私の母は、時折素朴な言葉で鋭いツッコミを入れる人でした。
その母の竹中秀吉の前作「秀吉」に対するコメントは「何かというとすぐ裸踊りを踊って誤魔化すのね」。
その「秀吉」の最終回は、「醍醐の花見」と思しき大宴会で秀次、三成、家康-言うまでも無くこの三人、前の者を後の者が殺してゆく政敵たち-はじめ一同皆が一緒になって踊りを踊って終わりだったので,私も呆気にとられてしまいました。
さすがに「裸踊り」ではなかったものの、要するに「これから話は暗くなるのでここで打ち切ります」という幕切れ。

秀吉の「光」だけ描き「影」をカットした前作に引き替え、今回の竹中秀吉は秀吉の「暗部」をたっぷりと演じるのでしょうね。

>これからの物語は、官兵衛 VS 秀吉、三成、家康の対立図式になりそうです。

私は官兵衛にとっての家康は単純には敵とも味方ともつかない、しかし常に官兵衛の一枚上手をゆく不気味な存在-前半での宇喜多直家のような-である、と見ています。
こうして見ると、今の豊臣家は前にも書いたとおり「拡大版小寺家」だと感じます。つまり
前期官兵衛:お紺:政職:左京進:直家=後期官兵衛:おね:秀吉:三成:家康
ということです。
竹中秀吉の完成 (コウジ)
2014-09-23 07:23:15
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>今回の竹中秀吉は秀吉の「暗部」をたっぷりと演じるのでしょうね。

すっかり忘れていましたが、前作「秀吉」は光の部分だけを描いていたんですね。
そして、今回「暗部」を描いて竹中秀吉が完成する。
竹中直人さんとしては役者としてうれしいでしょうね。

「拡大版小寺家」
面白いですね。
これを脚本・前川さんが意識的にやったのか、無意識だったのかはわかりませんが、作家さんの物語づくりや対立の構造って、案外パターンの組み合わせなのかもしれませんね。

あるいは、また人の人生も。
いくつになっても同じような問題を抱えて、堂々巡りをしているのかもしれません。

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