Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ウンジャン/N響

2018年01月29日 | 音楽
 ピーター・ウンジャンがN響を振るのは2度目だそうが、わたしは前回聴いていないので、今回が初めて。ウンジャンは東京クヮルテットで、原田幸一郎の後任として、第1ヴァイオリン奏者を務めていたが、その後退団し、指揮者に転向した。今はトロント響とロイヤル・スコットランド・ナショナル管で音楽監督を務めている。指揮者としても成功した。

 1曲目はベートーヴェンの「エグモント」序曲。がっしりした骨格を持つ演奏。ウンジャンはこういう演奏をする指揮者なのかと‥。まだ1曲目なので判断はできないが、予想していなかったことに出会ったような気がした。

 オーボエの1番奏者に若い女性が入っていた。艶のある瑞々しい音が際立っていた。だれだろう。帰宅後、皆さんのツィッターを検索したら、東響の首席奏者、荒木奏美さんだったようだ。荒木さんといえば、昨年4月にB→Cコンサートに出演したので(わたしはそのコンサートを聴けなかったが)、名前を記憶している。大変有望。

 2曲目はジョン・アダムズの「アブソリュート・ジェスト」。弦楽四重奏とオーケストラのための作品。随所にベートーヴェンの諸作品のフレーズが浮かんでは消える。たえば「第九」の第2楽章のテーマとか、後期の弦楽四重奏曲のいくつかのテーマとか。

 事前にNMLを覗いてみたら、音源が入っていた。マイケル・ティルソン・トーマス指揮のサンフランシスコ響、弦楽四重奏は今回と同じセント・ローレンス弦楽四重奏団。その面白さに度肝を抜かれた。いかにもジョン・アダムズらしい、明るく、ポップで、乗りのよい曲だった。

 そこで、大いに期待していたが、事前のわたしの印象は違っていたようだ。もっと軽くて、透明な音響を想像したのだが、実演では、とくに弦楽四重奏の演奏が、ぐいぐい喰い込むようにアグレッシヴだった。わたしは印象の修正に手間取った。事前に音源を聴いたことが裏目に出たかもしれない。PAの使用も一因だったか‥。

 3曲目はホルストの組曲「惑星」。ほんとうに久しぶりに聴くような気がした。その効用だろうか、新鮮な気持ちで聴けた。さすがに優秀なN響だけあって、あちこちに、あれっ、こんなところであのパートが、こんなことをやっていたのか、という発見があった。ウンジャンはこの曲をしっかり掌中に収めているようだった。がっしりした骨格を持つ演奏、という印象はこの曲でも変わらなかった。
(2018.1.28.NHKホール)

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