Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

コロナ後のオーケストラ

2020年05月07日 | 音楽
 新型コロナが社会の隅々まで揺るがしている、というか、社会の隅々に潜む問題を浮き彫りにしている。そんな中にあって、オーケストラが直面している試練など、どこかに吹き飛ばされてしまいかねない。だが、わたしにとっては重大事だ。わたしは在京オーケストラの一定期会員にすぎないが、オーケストラの行く末に思いを巡らしている。オーケストラの関係者には噴飯ものの素人考えだろうが、あえて一定期会員の思いを書きたい。

 オーケストラのいまの試練にはいくつかの要素があると思うが、第一にはソーシャルディスタンシングの破壊性がある。オーケストラのマネジメントは多数の聴衆を前提としているが、ソーシャルディスタンシングはそれを否定する。加えてステージ上に楽員が密に並ぶ演奏形態が否定される。

 第二には実質的な国境閉鎖がある。オーケストラは近年、グローバリゼーションを背景に指揮者やソリストの確保を進めてきたが、それに急ブレーキがかかった。日本人の指揮者やソリストでの代替えは可能だが、それでいつまで聴衆の興味を引きとめておけるか、未知数といわなければならない。

 第三には(これはコロナ後にボディブローのようにきいてくるかもしれないが)高齢者の行動の不活発化がある。高齢者はコロナの渦中にあって家にひきこもった。最初はストレスがたまったが、だんだん慣れてきた。それがコロナの終息後、元に戻るかどうか。元に戻るとしても時間がかかるだろう。また一定数は元に戻らないかもしれない。

 そんな構造変化というか、オーケストラの存立の基盤の変化を抱えながら、オーケストラはいつから、どんな条件で、演奏活動の再開が認められるのだろう。政府が示した休業緩和基準によれば、東京都など13の特定警戒都道府県以外は、50人までのイベントが開催可能になった。わずか50人だ。また劇場や映画館などは前後左右一席ずつ空けることが求められている。入退室時には2メートルの間隔確保も求められている。もちろん特定警戒都道府県では再開自体が認められていない。

 座して指示を待つわけにもいかないので、いくつかのシナリオを用意する必要があるだろう。(1)もっとも望ましいケースとしては今年9月から演奏会再開(7月から予備的に再開)の場合、(2)幾分慎重な見方をして来年9月から演奏会再開の場合、その2通りを考えてみる。次に(1)の場合はよいとして、(2)の場合は演奏会再開までの間、聴衆とのコミュニケーションをどうとるかを考える。さらに(1)と(2)のいずれの場合であっても、演奏会再開後もソーシャルディスタンシングが求められるとき、どのような演奏会の形態が可能かを考える。じつはわたしも具体策を考えたのだが、それこそ素人考えだろうから、もうこれ以上は止めるが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする