ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アイム・ノット・ゼア』

2008-01-22 19:52:29 | 新作映画
(原題:I′M NOT THERE)

----この映画って話題になっているよね。
確か、ボブ・ディランをいろんな俳優が演じているんでしょ?
「そう。
なかでもケイト・ブランシェットね。
全米映画批評協会賞を始め、
数多くの助演女優賞を受賞している」

----へぇ~っ。女優までディランを演じているんだ。
なぜ、そんなことをやったの?
「ディランという人は、
その長いキャリアの中で、
いろんな人生の局面を見せている。
60年代初頭、フォーク歌手でデビュー。
その歌の内容からプロテストソングの旗手のように見られた彼だけど、
突然、エレキギターに持ち替えてロックをやったり、
また再生派キリスト教に傾倒したり…。
そういえば、岡林信康も
はっぴいえんどを従えて
突然ロックになった時期もあったっけ…。
あれも、ディランの模倣だったのかな」

----あらら、危ない、危ない。
「まあ、それだけにディランの影響は
日本でも大きかったということ。
当時、吉田拓郎が日本のディランと言われていることに対して、
『そうではない。友部正人こそが日本のディランだ』と
ステージで言っているミュージシャンもいたな」

----あらら、また遠い目(笑)。
映画の話に戻してよ。
「はいはい。
で、実際にディランは音楽だけとっても
いろんなアプローチをやってきた。
実はボクはディランの初来日(78年)を武道館で観ているけど、
そのときなんて、ビッグバンドを従え、
女性コーラスを交えた編曲になっていたものね。
で、この映画では、ウディ・ガスリーに憧れていた若い頃を黒人の少年が演じたり、
『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』に出演していたことを援用して
リチャード・ギアにビリーを演じさせたりしている。
そうそう、ここで『天国への扉』について
一言を言っておかなければ。
あの歌はボブ・ディランがオリジナル。
なぜかクラプトンと思っている人が多くて…」

----まあまあ、落ち着いて落ち着いて。
で、そのどれもがディランというわけだ。
「そういうことになるね。
で、この映画の監督トッド・ヘインズは
それぞれのシーンを異なるタッチで描く。
誤解を承知であえて言えば
そのイメージの奔流は
抑制された『ナチュラル・ボーン・キラーズ』」

----でも、やはりケイト・ブランシェットが
印象強そうだね。
「そうだね。
彼女のシーンでは
ビートルズらしき4人も出てくるし。
ロンドンでふざけ興じているシーンは
あきらかに
リチャード・レスター『ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ! 』」

----ところで、この映画のタイトルの由来は?
「67年にディランが行なったセッション
『ベースメント・テープス(地下室)』でレコーディングされた
曲のタイトルから取ったらしい」

----う~ん。知らないニャあ。
「それはそうだよ。
これまで海賊版でしか知られなかったらしいし。
で、この『私はそこにいない』という言葉が監督に
詩人ランボーの『私はひとりの他者である』の詩節を
連想させたということのようだ。」

----ランボー?映画の中でベン・ウィショーが演じている役だね。
「うん。他にもクリスチャン・ベイルやヒース・レジャーが彼を演じている。
また、女性陣もジュリアン・ムーアに
シャルロット・ゲンズブール、ミシェル・ウィリアムズと多彩。
しかし、こんな映画が作られるなんて
アメリカも変わってきたなあ」



(byえいwithフォーン)



フォーンの一言「へんてこりんな映画だニャあ」ぱっちり


1月22日、ヒース・レジャー急死。残念です。
心よりご冥福をお祈りいたします。
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10 コメント

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わたしも・・・ (manimani)
2008-01-23 03:53:39
初来日武道館行きました~^^;

シャルロットも出ているんですか。絶対見なきゃ。
■manimaniさん (えい)
2008-01-23 10:04:58
こんにちは。

あの武道館行かれたんですか。
微妙なコンサートでしたよね。
現れた瞬間は
「あ~あ。神様がぼくと同じ空間にいる」なんて
大興奮したものの、
白いスーツでイメージは抱いていたのとまったく違う。
一緒に行った先輩なんか
「知らない曲ばかり」と言っていました。
それほど、編曲が激しくて…。
観客も静かに拍手を送っていました。
そういえばピンクフロイド武道館のときも、みんな座っていたっけ。

サイモンとガーファンクルの後楽園球場は
セントラルパークのライブそのままでした。
ヒース・レジャー&武道館 (rambler)
2008-01-23 11:41:22
えいさん、本当にお久しぶりです。

 ヒース・レジャーの死でひっくり帰ってやって参りました。まだ28歳。本当に大きな損失です(この映画ではケイト・ブランシェットが美味しすぎですが)。

 話は飛びますが、私もディランの初来日の武道館、見に行きました。で、帰ろうと思ったら風で地下鉄東西線が飛ばされて戻れず、てくてく国鉄(当時)の駅まで歩いた記憶があります。コンサートは名曲をアレンジしまくりで、違和感だらけ。今、考えればそれもまた一人のディランだった訳ですが。
■ ramblerさん (えい)
2008-01-23 23:54:10
お久しぶりです。

先ほど、恒例のアカデミー賞ノミネート予想とその結果、
拝見させていただきました。
あいかわらず、高い正解率ですね。

ヒース・レジャー、本国ではこちらとは
比較にならないくらい騒然としているんでしょうね。
テリー・ギリアム作品、どうなるんでしょう?
テレンス・マリック作品の方は、すでに降板していたようですが…。

そういえば、故ブラッド・レンフロの隠し子が日本にいたと、
先ほど報じられていました。

武道館! (kazupon)
2008-04-28 20:51:06
えいさん
初来日行かれたんですねースゴイなぁ。
ディランは一度も生でまだ見たことがないですけど、
この映画は予想以上にヘンテコな作品で個人的には
面白かったです。
そうそう、みんながマネするころにはもう違うとこにいってるみたいな、そんなのが性分の人なんだろうなって思います。
多くのミュージシャン伝記に出てくるドラッグとか
そいうのも少なくてそこも気に入りました。
自分クラプトンの「天国への扉」って知らないです
(苦笑)「ラストワルツ」の印象強くて最初
ニールヤングの曲だと思ってました;;
Unknown (mig)
2008-04-29 09:58:00
フォーンちゃんの最後の一言に同感です

でもキャストが豪華で6人にやらせたというのが面白いですよね~。
ケイトブランシェットはほんとすごいなりきりっぷりでした
■kazuponさん (えい)
2008-04-29 11:14:44
おはようございます。

はい。武道館行きました。
スゴいというよりも、年食っているというだけで(笑)。
他にも人に自慢できるコンサートは
サイモン&ガーファンクル再結成の後楽園球場、
ピンクフロイドの武道館、
それとエルトン・ジョンがゲストのクラプトン。
これはスティングが飛び入りで2曲やってました。

『ラスト・ワルツ』でニール・ヤングが演奏していたのは
確か『ヘルプレス』じゃなかったかな。
大胆にも、大学のときに作った映画に使わさせてもらいました(汗)。
■ migさん (えい)
2008-04-29 11:36:39
ケイト・ブランシェット、楽しかったでしょうね。
もらった役柄も
この映画でいちばんおいしいパート。
他の役立ったら、こうはいかなかったでしょう。
あのニヤニヤ笑いがすべてを語ってるような…。(笑)
というわけで (manimani)
2008-05-06 00:34:35
こんばんは
やっと観ました。

ビートルズもどきも笑えましたが、ケイトのバックバンドがザ・バンドもどきだったのも密かに大笑いでした。

非常に楽しめました~
■manimaniさん (えい)
2008-05-07 12:08:12
こんにちは。

あのビートルズもどきのシーン。
まるでリチャード・レスターの映画のようでしたよね。
ケイト・ブランシェットも楽しそうに演じていました。

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