ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『レッドクリフ PartI』

2008-11-01 23:13:11 | 新作映画
(原題:Red Cliff 赤壁)


「もう、これは大満足。
映画の日にこの作品の初日をもってくるなんて、
配給・興行も憎いことをするね」

----そうニャンだ。
最初、えいは「『三国志』を知らないし、
分かりにくいかも」と心配していなかった?
「いや、それがね。
映画の前提となる時代背景を
CGまで使った日本版の特別映像で
わざわざ説明してくれているんだ。
普通なら、邪道と思えるこの方法も、
本作に限っては大歓迎。
映画の途中でも、
役名が繰り返しテロップで出てくるため、
あまり知らない顔がたくさん出てくるにも関わらず
すんなりと物語に入っていける」

----まるでNHK大河ドラマみたいだ(笑)。
「まあ、そう言わないでよ。
この映画、今年の後半ではもっとも
心待ちにしていた作品だけど、
ほんとうに期待を裏切られることがなかったんだから」

----なぜ、そんなに観たかったの?
「だって、監督があのジョン・ウーだよ。
アン・リー、チャン・イーモウ、チェン・カイコーら、
中国語圏の巨匠たちがすでに歴史物を手がけている中、
アクション派の彼がどのようなアプローチを見せるか、
これは興味が尽きないじゃない」

----で、期待を遥かに上回ったというワケだ。
ちょっとタイトルの意味を教えてよ。
「『レッドクリフ』というのは、
決戦の舞台となった土地のこと。
日本で言えば、桶狭間とか川中島のようなもの。
そう考えると、戦国時代を舞台にすれば、
日本映画もその題材にはこと欠かないわけだけど、
残念ながら、ここまでの映像はまだお目にかかったことがない。
『ロード・オブ・ザ・リング』への
東洋からのアンサーを先にやられてしまった感じだね。
これは少し悔しいな」

----でも、その話を聞いていると、
アクションとかスペクタクルとか、
いわゆる物量的な側面が多いように感じるニャあ。
確か総製作費100億円とか聞いたけど、
それだけあれば日本でも可能じゃニャいの?
「いや、やはりこれはジョン・ウーならではの世界。
本作の主人公はトニー・レオン演じる呉の周瑜と
金城武演じる蜀の諸葛孔明。
このふたりの間に交わされる固い絆。
この男の友情は、血なまぐさいはずのこの映画に
一種、爽やかな風を送り込んでいる。
八卦の陣を上から見下ろし、
その優勢な戦いぶりに満足し、
互いに交わす視線。
もう、これだけで嬉しくなったね」

----ニャに、その八卦の陣って?
「これはね、亀の甲の文様に似た戦いの陣形のことなんだ。
これを真俯瞰から捉えたビジュアルのオモシロさ。
迷路のような陣内に誘い込まれた魏の曹操軍を
今度は地上からの視線で写し出していく。
そこに、 張飛、 関羽、趙雲ら蜀の猛者たちが
それぞれ飛び出していく。
あるものは馬で、あるものは素手で。
その中に、中村獅童演じる
呉の甘興(甘寧をモデルにした架空の人物)も。
彼はほんとうに嬉しかっただろうな。
こんな歴史的現場に立ち会えて……」

----でも、そんな戦いばかり描かれていて飽きないの?
「全然。
彼らの活躍はそれこそ一騎当千。
数では圧倒的に優勢な魏。
勝ち目がまったくないはずの戦いを
周瑜や諸葛孔明がどのようにして勝利に導くか…。
もう、これは映画の醍醐味だね。
ヴィッキー・チャオ演じる孫尚香の言葉じゃないけど、
痛快この上ない。
そうそう、
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地覇王』という映画の中に
馬を殴り倒すシーンがあるんだけど、
ここでは体ごと体当たりで馬を倒してしまうんだ」

----あら、ヴィッキー・チャオも出てるんだ。
じゃあ、ロマンスとかもあるんじゃニャいの?
「彼女はチャン・チェン演じる孫権の妹。
男まさりで女性だけの軍を率いている。
女をめぐる物語のパートは
リン・チーリン演じる周瑜の妻・小喬が軸となっている。
この物語は、もともとチャン・フォンイー演じる曹操の野望が発端。
しかし、その裏には曹操の小喬に対する強い思いがあったということが
明らかにされる。
ジョン・ウーがこのような色恋ざたを描くのは
けっこう珍しいんじゃないかな」

----他にジョン・ウーらしさって?
「それは、なんといってもジョン・ウー印の白い鳩。
最初は遠景で、
スクリーンを左から右に横切るだけだったのに、
次第に大きなポジションを占めてくる。
最後に出てきたときなどは、もう拍手したいくらい。
とにかく4月の『PartII』がいまから待ち遠しくてたまらないな」


           (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「日本で作るとあの役は堺雅人かニャ」ぼくも観たい

※予想以上の素晴らしさだ度

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27 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
錯覚させられました (メビウス)
2008-11-02 19:18:04
えいさんこんばんわ♪

自分はゲームとかで三国志の世界観をある程度知っていましたから大丈夫でしたけど、あの最初の『1分で分かる三国志の世界』みたいな映像は三国志初心者の方にも分かりやすくて親切な設定だと思いましたね~。でも字幕スーパー版の劇場に入ったのに、日本語吹き替え版のほうに間違えて入っちゃったかな?と、変な錯覚を受けてしまいました(笑

そいえば中村獅童が演じていた甘興という人物。あれって甘寧がモデルですよね?劇中で周瑜も元海賊とか言ってましたし・・
八卦の陣 (たいむ)
2008-11-02 21:27:30
えいさん、こんにちは。
日本の戦国時代ものでも陣形など言葉だけは登場するものの、ほんと、ああまで見事に映像化した作品はないですね。
関ヶ原の戦いなんて、ワァワァと歩兵が入り乱れるだけだし、「八卦の陣」はとても芸術的でした。

余談です。一言を述べるフォーン君の視線。実は白い鳩を狙っているように見えるのは私だけ?(笑)
Unknown (にゃむばなな)
2008-11-02 21:45:24
PartⅠでああいう風に鳩を用いたのなら、PartⅡではどうなるんでしょうね。
ジョン・ウーといえば鳩。それを是非PartⅡでも例外なく使ってくれると期待したいものです。
こんばんは^^ (ひろちゃん)
2008-11-03 01:02:38
えいさん、絶賛ですね(笑)
私は、三国志が大好きなので、期待して
観に行きまして、満足したのですが、ちょっと
退屈なところもあって、まあまあの評価になって
しまいました。

えいさんの感想を読んでいると、かなり面白かった
のかなあと言う気になってきました(笑)
もう1度観に行く予定ですので、やっぱり
面白かったんだと思います(笑)

甘興は、やはり甘寧がモデルの架空の人物だったん
ですね(^^ゞ三国志大好きの長男が、そんな名前
聞いたことがないと言っていたので、気になって
いましたが、えいさんの感想を読んで
すっきりしました\(^O^)/
私は正反対の受け取り方なんです… (よろ川長TOM)
2008-11-03 02:19:18
私は人形劇→光栄のゲーム→吉川英治の順で三国志にのめっていったクチなんで、たいていの三国志ファン同様、ちょっとやそっとの描き方ではもう満足できない中毒状態なんですよね。
だから誰が作ってももう満足することはないと思うんですが、あまりにも壮大な三国志という舞台では、なにかひとつにウエイトを置くしかないとは分っているものの、私の場合アクションを重きに置いたこの作品では全ての点で不満が残ってしまって最後までイライラしっぱなしでした。

日本の戦国ものでもそうですが、やはり戦を描くということはヒトの生きざまと死にざまであると信じる自分にとって、殺し合いをゲーム感覚で描いたジョン・ウー版の三国志は受け入れられません。

まして、大望のためとはいえ大量虐殺を行った曹操ゆえに従わなかった孔明のはずが、この作品では敵兵といえども、あまりにも兵士の生命を軽く扱っているゲーム感覚的な描き方が納得いかないのです。
たしかに、金城武の孔明とトニー・レオンの周瑜は年齢や雰囲気的にも最高の適役だと思うだけに『おしい作品』扱いになりました。
■メビウスさん (えい)
2008-11-03 11:27:48
こんにちは。

ぼくも最初「あれっ?吹き替えの劇場に入ったっけ?」
「いや、これはフィルムの掛け違え」などと、
考えてしまいました。
でも、あのファーストシーンの煙ったような色調の
雄大な風景で、
もうこれはいけると……。
あとはノリまくりでした。
■たいむさん (えい)
2008-11-03 11:38:26
こんにちは。

白い鳩を狙うフォーンですか?
いつも出窓から鳥さんを興味深く目で追っています。
でも、カラスがくると逃げてしまいます(笑)。
大きいからかと思っていたけど、色が黒だから?
■ひろちゃんさん (えい)
2008-11-03 11:57:37
こんにちは。

>甘興は、やはり甘寧がモデルの架空の人物だったん
ですね

はい。これは調べてみて分かりました。
その甘寧という人を知らないのですが…(汗)。
このジョン・ウー版には出ていないということでしょうか?

この映画、最初は渡辺謙にも出演のオファーがあったそうです。
あの、目力と体格はこの世界にピッタリかも。
■よろ川長TOMさん (えい)
2008-11-03 12:03:04
こんにちは。

>日本の戦国ものでもそうですが、やはり戦を描くということはヒトの生きざまと死にざまであると信じる自分にとって、殺し合いをゲーム感覚で描いたジョン・ウー版の三国志は受け入れられません。


なるほど。
この言葉で思い出したのは、
『史上最大の作戦』です。
某映画監督が「あれは本当に戦争をやっている」と
言っていました。
ぼくは、その映画をそれほどまでに高くは買わないのですが、
同じ戦争映画でも
『プラトーン』『プライベート・ライアン』のような
反戦を強く打ち出したものもあれば、
『ナバロンの要塞』『空軍大戦略』などのような、
戦争アクションもある。
ぼくは、この映画は後者の感覚でしたね。
おっしゃるようにそれは「ゲーム感覚」に近いのかも。でも、テロップでの人物紹介が入ったし、
金のかかったNHK大河ドラマとも言えるかも…。
■にゃむばななさん (えい)
2008-11-03 12:13:48

こんにちは。

横っ飛び拳銃の代わりに
馬に横乗りでやりを掴む-----
これだけで嬉しくなりました。

鳩は、やはり気になりますよね。
一部と二部を繋ぐだけでなく、
みんなをあっと言わせる
使い方を見せてほしいです。

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