(原題:Trouble with Curve)

----あれっ、クリント・イースト・ウッドって
もう俳優は辞めたんじゃなかったけ?
「そのはずだったんだけどね。
本人いわく“オモシロい役が回ってきたからやってみた”とのこと。
とにかくストーリーが気にいったらしい」
----どんなストーリー?
「主人公はイーストウッド演じるガス・ロベル。
メジャーリーグ最高のスカウトマンと言われた彼も、
今や、老いぼれの烙印を押されようとしていた。
コンピュータもメールも使わず自分のやり方を貫く彼を、
もはや用済みと考える球団幹部もいた。
球団との契約はあと3ヶ月。
一方、ガスは、自分の視力が衰えているのを意識しながらも
今年の目玉とされる天才スラッガーの実力を見極めるべく、キャリア最後の旅に出る。
そんなガスの窮状を知ったひとり娘のミッキー(エイミー・アダムス)は、
彼の旅に同行することになるが…」
----ニャるほど。
父と娘の関係を描いた映画ってワケだニャ。
そうなると、ふたりの間には
巧くいっていない“何か”があるのが
この手の映画のパターン…。
「正解。
妻を早く亡くしたガスは、
幼い娘のミッキーを一年で手放している。
6歳で親戚に預けられ、
13歳で寄宿舎に入れられたミッキーは
自分が父に嫌われているのだ…と、そう思いこんでいる。
そのミッキーは弁護士としてキャりアを積み、
法律事務所での昇格も目前。
そんな彼女にとって父の旅に同行することは、
チャンスを潰しかねない暴挙」
----でも、それでも行っちゃうワケだ。
「うん。
セリフにも出てくるけど、
やはり見捨てるわけにはいかない。
肉親の情だね。
さて、この映画、
冒頭は、ガスが見る夢から始まる。
それは馬が迫ってくるという不思議なもの。
実は、これが伏線になっているんだけどね。
続いて、トイレで巧く用が足せないガス。
彼はテーブルにつまずき、苛立ちからそれを蹴ってしまう…。
始まって、わずか3分で彼の状況を全部言い表す脚本の妙。
しかも、それが名優イーストウッドのひとり芝居で観られるものだから
もう、目はスクリーンに釘付け。
観る人の心を掴んだまま
映画は、中期イーストウッドのイメージ、
一ヶ所に留まらず旅をする男を描いていく。
『ダーティファイター』『ブロンコ・ビリー』。
なかでもぼくはこの映画に
『センチメンタル・アドベンチャー』の面影を見たね。
もっともあれは、甥っ子という設定だったけどね」
----ふむふむ。
これは確かにイーストウッドの十八番だ。
「もうひとつ話題となっているのが
『マディソン郡の橋』で助監督として関わって以来、
多くのイーストウッド作品で製作、製作総指揮を務めてきた
ロバート・ロレンツが監督を手掛けていること。
常にイーストウッドの側にいただけに、
変えの世界を知り尽くしていると言っても過言ではない。
この映画、何も知らなければイーストウッド監督作と言っても
ぼくは騙されていたかも」
----イーストウッドが俳優だけに徹したのも久しぶりだよね。
「ウォルフガング・ペーターゼン監督の『ザ・シークレット・サービス』以来じゃないかな。
あの映画の製作は1993年だから実に20年ぶりのこと。
先ほど、彼が脚本を気に入ったという話はしたけれど、
それに加えて、
長年自分を支えてくれたビジネス・パートナーの監督デビューに
協力したという意味合いもあるんだろうな」

フォーンの一言「いい話だとは思うけど、この邦題、どうにかならないのかニャ」

※でも劇中でちゃんと出てくる度



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キャラクターとモチーフに愛があるからでしょうねえ。
イーストウッドの娘にエイミー・アダムスをキャスティングするあたり、センス良いなと思いました。
もしかしたら、
ぼくはご都合主義とか予定調和とかは、
逆に好きな方なのかも。
所詮、嘘というか
「これは映画の中」ということから
始まって観ている…
そんな気がします。
やっぱりこの御大にはこういう役が凄く似合いますわ。
野球に対する何か忘れ物みたいなものを思い出させてくれる映画でした。こういう感覚懐かしいですね。
あれよあれよという間に、
ある意味、予定調和的なオチへ進んでいく、この快感。
なんか、映画だなって気がしました。
そういえば、あれもスポーツが背景。
映画とスポーツって親和性がありますね。
家の家具に足をぶつけるわ 車運転したら 自宅のガレージにぶつけるわ 料理作れば 黒コゲだわ あげく スカウト先でも 事故するわ・・・
ジョングッドマン演じた球団のスカウト主任の人が娘に そばにいてやってほしいと忠告して 正解でしたね。
もう これじゃあ スカウトどころか 一人暮らしも もうムリですよ。
でも 自分には スカウトで選手の才能を発掘することしかできないから意地張って・・・
けども 内心では娘のことを気に掛けてて いいオヤジさんでした
この“老い”に対する、
自虐的なまでの客観性。
イーストウッドの若き日を知るものには、
もう、なんと言っていいのやら。
しかし、彼はほんとうの意味での映画狂ですね。
新作『ジャージー・ボーイズ』の
ミュージカルというジャンル、
そしてその表現法に、
衰えないチャレンジ精神を観ました。
なんて、これはイーストウッドの監督作品ではありませんが…(笑)。