■「安全委への運用移管、合意なかった」
東京電力福島第1原発の事故後、放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」のデータ公表が遅れた問題で文部科学省は27日、運用・公表を内閣府原子力安全委員会に移すことで事故直後に官邸と合意したとする従来の主張を撤回した。東日本大震災への対応を自己検証した最終報告書で明らかになった。
文科省はこれまで、SPEEDIの運用主体が公表義務も同時に負うと説明しており、運用する文科省が、公表義務を負っていたことを事実上認めた。
平野博文文科相は今年3月の参議院予算委員会で「昨年3月16日、当時の官房長官からの指示でSPEEDIの運用は安全委が行うことになった」と述べ、公表義務は安全委側にあったと説明している。事実と異なる答弁をしており、国会で追及されるのは必至だ。
SPEEDIは事故時の放射性物質の拡散を予測し、避難に役立てるシステムで、文科省が所管している。福島第1原発事故では、原発から20キロ圏の警戒区域の避難がほぼ完了した昨年3月23日に初めて試算結果が公表され、住民の避難に全く活用されなかった。
公表の遅れについて批判された文科省は、これまで「昨年3月16日に官邸で行われた協議で、SPEEDIの運用・公表は安全委に移管することで合意しており、公表義務は安全委にあった」と説明。これに対し安全委は「協議ではSPEEDIの『ス』の字も出ておらず、移管された事実はない」(班目(まだらめ)春樹委員長)と真っ向から反論。責任の所在をめぐって、なすり合いが続いていた。
文科省の最終報告書は「官邸で整理された(放射線量を監視する)モニタリング関連の役割分担方針に、具体的にSPEEDIについては明示されていなかった」と記載。安全委への移管に関する合意は存在しなかったことを認めた。
同省の田中敏総括審議官は産経新聞の取材に「官房長官の指示内容を精査した結果、SPEEDIについて記載された文書は一切なかった」とした上で、「モニタリングの評価を行う安全委が、評価の一環としてSPEEDIの運用も行うと当時、(幹部が)解釈したのだろう。文書で手続きをしなかったのが大きな反省点。文科相の国会答弁も適切な表現ではなかったかもしれない」と話した。
東京電力福島第1原発の事故後、放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」のデータ公表が遅れた問題で文部科学省は27日、運用・公表を内閣府原子力安全委員会に移すことで事故直後に官邸と合意したとする従来の主張を撤回した。東日本大震災への対応を自己検証した最終報告書で明らかになった。
文科省はこれまで、SPEEDIの運用主体が公表義務も同時に負うと説明しており、運用する文科省が、公表義務を負っていたことを事実上認めた。
平野博文文科相は今年3月の参議院予算委員会で「昨年3月16日、当時の官房長官からの指示でSPEEDIの運用は安全委が行うことになった」と述べ、公表義務は安全委側にあったと説明している。事実と異なる答弁をしており、国会で追及されるのは必至だ。
SPEEDIは事故時の放射性物質の拡散を予測し、避難に役立てるシステムで、文科省が所管している。福島第1原発事故では、原発から20キロ圏の警戒区域の避難がほぼ完了した昨年3月23日に初めて試算結果が公表され、住民の避難に全く活用されなかった。
公表の遅れについて批判された文科省は、これまで「昨年3月16日に官邸で行われた協議で、SPEEDIの運用・公表は安全委に移管することで合意しており、公表義務は安全委にあった」と説明。これに対し安全委は「協議ではSPEEDIの『ス』の字も出ておらず、移管された事実はない」(班目(まだらめ)春樹委員長)と真っ向から反論。責任の所在をめぐって、なすり合いが続いていた。
文科省の最終報告書は「官邸で整理された(放射線量を監視する)モニタリング関連の役割分担方針に、具体的にSPEEDIについては明示されていなかった」と記載。安全委への移管に関する合意は存在しなかったことを認めた。
同省の田中敏総括審議官は産経新聞の取材に「官房長官の指示内容を精査した結果、SPEEDIについて記載された文書は一切なかった」とした上で、「モニタリングの評価を行う安全委が、評価の一環としてSPEEDIの運用も行うと当時、(幹部が)解釈したのだろう。文書で手続きをしなかったのが大きな反省点。文科相の国会答弁も適切な表現ではなかったかもしれない」と話した。
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