読売新聞 5月12日(木)22時55分配信
東電は、この状態が「メルトダウン(炉心溶融)」であることを認めた。
東電は、圧力容器の温度は100~200度と安定しているため、今後大きな事故に至る可能性は低いと見ているが、圧力容器を覆う格納容器からも水が漏れだしている可能性が高く、事故収束は難航が予想される。
東電によると、10日から原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果、圧力容器の冷却水位は燃料頂部から5メートル以上低いことが分かった。燃料棒は長さが約4メートルで、完全に露出している。これまでは、燃料頂部から1・65メートル低い位置まで水が満たされていると推定されていた。
東電は、燃料の大半はすでに溶けたり崩れたりして、底部に落下したとみている。経済産業省原子力安全・保安院は、圧力容器の温度が低いことから、「燃料は容器底部にたまった水で冷やされている」と指摘した。
損傷した可能性が高いのは、原子炉の核反応を停止させる制御棒の貫通部など。直径約4・8メートルの圧力容器底部には制御棒97本、中性子計装管34本が貫通している。貫通部周辺の溶接部位は、溶融した核燃料の3000度近い高温には耐えられないという。
【放射能漏れ】
核燃料露出溶解 工程表達成に「黄信号」
炉心溶融?
「溶けた燃料が下に落ち、圧力容器の下部を損傷させている可能性もある」。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は12日の会見で、初めて「炉心溶融」の可能性に言及した。
東電はこれまで、1号機の核燃料について、約55%が損傷していると推定。一貫して「燃料が溶けて下に落ちていることはない」とし、本来の形状を維持していると説明してきた。
ところが、今回調整した水位計で圧力容器内の水位を測定した結果、燃料の大半が露出している状態だったことが判明。
これまでは、燃料の露出は一部とされてきただけに、京大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「東電が発表したデータはもう信頼性がない」と手厳しい。
米スリーマイルアイランド原発事故(1979年)では燃料の約45%が溶け、その約3分の1が底に落ちたが、小出助教は「今回の発表をみると、100%の損傷以外考えられない」と厳しい見方を示している。
微粒子化?
核燃料の大半は溶融して圧力容器の下部に落ちたとみられるが、下部にたまった水に漬かることで、冷却ができているとされる。実際、圧力容器下部の表面温度は100~120度と比較的低い。
宮崎慶次大阪大名誉教授(原子力工学)は「圧力容器の底の水に、溶けた燃料が落ちて微粒子化しているのではないか」とみる。
核燃料が冷却できていない場合、水素が発生して爆発の懸念も生じるが、宮崎名誉教授は「温度が低いのでそういう状況ではない」と、再爆発の可能性を否定している。
どこから?
原子炉冷却に使われた大量の水が、放射能を含んだまま環境に漏出した恐れが懸念されている。
圧力容器には、注水は毎時8トンペースで続けられているが、水位は上がっておらず、九州大の工藤和彦特任教授(原子炉工学)は「冷却水の行き先が分からない。漏洩(ろうえい)があるとしか考えられない」と指摘。
溶け落ちた燃料は圧力容器底にある制御棒駆動装置や溶接部を貫通し、そこから水が漏出している可能性が高いとみられ、工藤特任教授は「できるだけ早く損傷部を突き止める必要がある」とする。
東電が工程表実現への「一番の近道」としていた冠水(水棺)作業が最初に着手された1号機だが、専門家は「工程表通りに、冷温停止に持って行くのは難しい」と口をそろえる。工程表は第一関門からつまずき、先行きに不透明感が漂い始めた。
保安院、原子力委員会は何しているのか?
東電発表追認だけだ。
存在価値無し!
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