ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

芸備線について再構築協議会の設置が決定された

2024年01月13日 00時00分00秒 | 社会・経済

 JR西日本が芸備線について再構築協議会の設置を要請したのは、2023年10月3日のことでした。それから3か月ほど経過して、一昨日(2024年1月12日)、国土交通省中国運輸局が再構築協議会の設置を正式に決定しました。時事通信社が、昨日(2024年1月13日)の15時39分付で「芸備線存廃で協議会設置決定 今年度中に初会合―国交省」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011200887&g=eco)として報じています。

 2023年に地域公共交通活性化再生法が改正され、再構築協議会についての規定が追加されました。今回の芸備線についての設置が最初の例となります。

 再構築協議会が設定されるならば、3月末までに初会合が開かれるとのことです。

 既に、2023年11月に岡山県、広島県、新見市、庄原市が参加の意向を示しています。また、広島市および三次市も参加するようです。これに対し、安芸高田市は参加の意向を示していません。

 記事は短く、あまり詳しく書かれていないのですが、芸備線全体について再構築協議会を設置するということのようです。そうでないと、広島市の参加の意味がわかりません。

 同線の下深川駅から広島駅までの区間は広島市内にあり、2022年度における平均通過人員は、「データで見るJR西日本2022」によれば8529ですので、再構築協議会の設置の必要がない数字となっています。しかし、三次駅から下深川駅までの区間にも広島市内の部分があるものの、2022年度における平均通過人員は988しかありません(この区間に、安芸高田市に所在する駅が3つあります)。その他の区間を見ても1000未満ばかりですし、備中神代駅から広島駅までの全区間でも1170しかありません。備中神代駅から東城駅までの区間(89)、東城駅から備後落合駅までの区間(20)、備後落合駅から備後庄原駅までの区間(75)に目がいきがちなのですが、これらの区間の平均通過人員が2桁と低すぎるからであって、他の区間を見ても存廃競技レベルであることは明らかです。また、下深川駅から広島駅までの区間のみが存続するとしても、それでは芸備線が盲腸線になってしまい、平均通過人員が低下する可能性もあるでしょう(同様の例が名鉄にあります)。活性化や再編は、やはり全線について考えるべきである、という結論に達したのでしょう。

 こうしてみると、芸備線の沿線にある地方公共団体のうち、安芸高田市のみが再構築協議会に参加しない可能性もあるということになります。あるいは今後何らかの意思表示がなされるかもしれません。

 いずれにせよ、再構築協議会の動向に目を向け続けていかなければなりません。

 〈追記〉

 朝日新聞社のサイトに、2024年1月13日10時15分付で「JR芸備線の再構築協、設置決定に地元は 広島・岡山」(https://digital.asahi.com/articles/ASS1D7606S1DPITB00B.html)という記事が掲載されています。これによると、「協議の対象区間は備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の68.5キロだが、地元の意向を踏まえて、区間外を含めた全線について広域的な見地から議論する」とのことです。

 また、同記事には、次のように書かれています。

 「広島県と庄原市は昨年11月、国に協議会参加の意向を示した際に広域的な議論を要請。国が沿線にある広島市、三次市、同県安芸高田市の3市に意向を尋ねたところ、安芸高田市だけが『結末がバラ色になると思っている人は一人もいないはずだ』(石丸伸二市長)などとして、不参加意向を伝えていた。」

 やはり、安芸高田市は当初から再構築協議会に参加しない意向であったようです。ただ、その姿勢が、今後の再構築協議会にどのような影響を及ぼすことになるか、少々の懸念もあります。

 なお、上記朝日新聞社記事には「国土交通省の資料から」として「芸備線再構築協議会の構成員」が示されています。次の通りです。

 ①国

 国土交通省中国陸運局(議長)、中国地方整備局

 ②地方公共団体

 岡山県、広島県、新見市(岡山県)、庄原市(広島県)、三次市(広島県)、広島市

 ③鉄道事業者

 JR西日本岡山支社、同広島支社

 ④公共交通事業者

 岡山県バス協会、広島県バス協会

 ⑤公安委員会

 岡山県警察本部、広島県警察本部

 ⑥学識経験者

 神田佑亮教授(呉工業高等専門学校環境都市工学分野)


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