ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

京王5000系5736F

2022年11月30日 00時00分00秒 | 写真

京王稲田堤駅(KO36)で撮影しました。回送ですが、この駅で一旦停止します。

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京王8000系8711F

2022年11月29日 16時20分00秒 | 写真

高幡不動駅(KO29)で、特急新宿行きとして運用されているところを撮影しました。

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おしらせです(2022年11月24日)

2022年11月24日 14時05分45秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 有斐閣から「行政判例百選I」および「行政判例百選Ⅱ」の第8版が11月に刊行されました。

 「行政判例百選I」の「77 公務員懲戒処分と裁量審査」が、私の担当部分です。お読みいただければ幸いです。

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相続、遺贈、死因贈与の意味(「相続法」の講義を履修していない者向け)

2022年11月24日 07時00分00秒 | 法学(法律学)ノート

 前書き:法学特殊講義2B(大東文化大学法学部)において相続税法を扱っています。そのためには、相続、遺贈および死因贈与の意味を理解していなければなりません。私は、この講義の最初のほうで相続法の基礎を説明していますので、このブログにも掲載しておきます。なお、相続税法の学習・研究の前提として必要最小限と思われる部分のみを記していますので、御注意ください。

 

 1.相続の意味

 相続とは「死者の生前にもっていた財産上の権利義務を他の者が包括的に承継すること」である〈高橋和之・伊藤眞・小早川光郎・能見善久・山口厚編集代表『法律学小辞典』〔第5版〕(2016年、有斐閣)811頁〉民法第882条は「相続は、死亡によって開始する」と定めているから、生前相続は、現行法において認められていないこととなる。

 但し、胎児は、相続に際しては既に生まれたものとみなされる(同第886条第1項。同第2項に注意すること)。また、失踪宣告を受けた者は、同第30条第1項の期間の満了時または同第2項にいう危難が去った時に死亡したものとみなされるので、その時点において相続が開始されることとなる。

 また「相続は、被相続人の住所において開始する」(同第833条)。ここで被相続人とは相続される人という意味であり、「財産上の権利義務」が受け継がれる人のことである。これに対し、相続人は、被相続人が持っていた「財産上の権利義務」を受け継ぐ人のことである。

 なお、同第884条および同第885条も参照されたい。

 

 2.相続の効力(効果)

 民法第896条は「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」と定める。この規定から、次のことがわかる。

 第一に、原則として、相続人は、被相続人が持っていた「財産に属した一切の権利義務」を承継することである。すなわち、相続人は、プラスの財産(例.土地、建物、各種債権)だけでなく、マイナスの財産(借金など各種債務)も承継する(同第920条、同第921条も参照)。相続税対策などを行う際に注意しなければならない

 第二に、一身専属的な権利および義務(例.生活保護受給権、年金受給権)は承継されない。なお、祭具や墓などの所有権については、同第897条を参照すること。

 世の中には様々な相続が生ずるが、多くの相続においては複数の相続人が存在する。そのため「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」(同第898条)。もっとも、相続財産が全相続人の共有に属するのは、遺産分割協議(遺言をそのまま執行することもありうるが、その場合でも遺産分割協議を行うこととなる)による遺産分割までの話であり、遺産分割の後に「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」(同第899条)。

 

 3.法定相続人

 民法第5編は、相続(第2章以下)と遺贈(第7章では「遺言」)とを区別している。これは、相続については相続人の範囲が法定されているのに対し(なお、法定相続人の推定については同第892条を参照)、遺贈の場合には遺言を残した者の財産を承継する者が相続人に限定されていないからである(相続分についても同様)。そこで、以下、相続については適宜「法定相続」と記すことがある。

 民法は、法定相続人を血族相続人と配偶相続人とに分け、範囲を定めている。また、血族相続人については順位があり、第一に被相続人の子、孫などの直系卑属、第二に被相続人の父母、祖父母などの直系尊属、第三に被相続人の兄弟姉妹である。

 〔1〕血族相続人

 (1)直系卑属

 前述のように、被相続人に直系卑属が存在する場合には、直系卑属が相続人となる(同第887条)。

 ①子

 まず、子がいる場合には、子が相続人となる(同第1項)。子は、実子はもとより、養子も含まれる(同第809条により、養子は縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得する)。但し、普通養子については、相続税の基礎控除額の計算の際に特別な規律を受ける(但し、一部例外がある)。また、前述のように、胎児にも相続権がある(同第886条)。

 ②代襲相続人

 次に、被相続人の子が相続開始以前に死亡していた場合、被相続人の子が相続の欠格事由に該当する場合(同第891条)、または被相続人の子が推定相続人としての地位を廃除された場合(同第892条、同第893条)には、被相続人の子は相続権を失ったこととなるので、孫が相続権を有することとなる。この場合の孫を代襲相続人という〈曾孫が代襲相続人となる場合もありうる(同第887条第3項)〉

 代襲相続人は被相続人の子の地位を引き継ぐ。そのため、代襲相続人が複数存在する場合には、被相続人の子の地位を共同して引き継ぐこととなり、各代襲相続人の法定相続分は同一である(同第901条第1項)。仮に本来の法定相続人となるべき者全員が相続開始前に死亡している場合には、全ての被相続人の孫が代襲相続人となる〈最近では、相続人の全員が代襲相続人であったという事例も見受けられる(執筆者自身も経験した)〉

 (2)直系尊属

 相続人となるべき直系卑属がいない場合には、父母、祖父母などの直系尊属が相続人となる(同第889条第1項第1号)。

 (3)兄弟姉妹

 相続人となるべき直系卑属がおらず、直系尊属もいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる(同第2号)。なお、その兄弟姉妹が相続開始以前に死亡していた場合、被相続人の子が相続の欠格事由に該当する場合、または被相続人の子が推定相続人としての地位を廃除された場合には、その兄弟姉妹の子が代襲相続人となる(同第3項。但し、同項は同第887条第3項を準用しないので注意すること)。

 〔2〕配偶相続人=配偶者

 被相続人の配偶者は常に相続人となる(同第890条)。相続人の順位についても、同第887条または同第889条により相続人となるべき者と同じである。

 

 4.法定相続分

 被相続人が遺言によって共同相続人の相続分を定めている場合はそれによるが(同第902条第1項)、遺言がない場合(この場合が圧倒的に多い)は、同第900条に定める法定相続分によることとなる。この法定相続分は、相続税の計算の際に非常に重要な意味を有するので、常に頭に入れておいていただきたい〈どのように遺産分割を行おうとも、相続税額の総額を計算する際には法定相続人が法定相続分に従って相続するものとの仮定の下に置かれるからである〉

 まず、配偶者および子(代襲相続人がいる場合も含む)が相続人である場合には、配偶者の法定相続分が2分の1であり、残りの法定相続分である2分の1を子が等分する(同第1号・第4号)。例えば、配偶者のA、子のBおよびCが相続人であれば、Aが2分の1、Bが4分の1、Cが4分の1である。

 次に、配偶者および直系尊属が相続人である場合には、配偶者の法定相続分が3分の2であり、残りの法定相続分である3分の1を直系尊属が等分する(同第2号・第4号)。例えば、配偶者のD、被相続人の父Eおよび母Fが相続人であれば、Dが3分の2、Eが6分の1、Fが6分の1である。

 そして、配偶者および兄弟姉妹が相続人である場合には、配偶者の法定相続分が4分の3であり、残りの法定相続分である4分の1を兄弟姉妹が等分する(同第3号・第4号)。例えば、配偶者のG、被相続人の兄Hおよび姉Iが相続人であり、かつ、HおよびIはいずれも父母の双方を同じくする兄弟姉妹であれば(同第4号ただし書きを参照)、Gが4分の3、Hが8分の1、Iが8分の1である。

 ここで、直系卑属、被相続人の配偶者が登場する相続について、例を示すこととする。

 2022年11月24日に被相続人であるAが死亡した。Aには配偶者のB,長男のC、長女のDおよび次男のEがいるが、Cは2022年10月31日に死亡していた。CにはFおよびGという2人の子がいる(すなわち、FおよびGはAの孫である)。この場合、FおよびGが代襲相続人となるので、相続人はB、D、E、FおよびGである。

 また、各人の法定相続分は、次の通りである。

 B:2分の1

 D:6分の1

 E:6分の1

 F:12分の1(本来であればCが相続するはずであったが、既にCが死亡しているため。)

 G:12分の1(本来であればCが相続するはずであったが、既にCが死亡しているため。)

 △あくまでも、法定相続人となりうるのは被相続人Aの配偶者であるBのみである。Cの配偶者、Dの配偶者、Eの配偶者、Fの配偶者およびGの配偶者は法定相続人ではない。欲深い人は往々にしてこのことを知らないので、注意すること! 何よりも、将来の皆さんのため!!

 △△FおよびGが代襲相続人となるのは、Cが相続開始以前に死亡していたからである(Cが相続欠格事由に該当する場合、または廃除された場合についても同様である)。

 

 5.遺贈

 〔1〕遺贈の意味 

 遺贈とは、単独行為たる遺言(同第960条以下)による贈与のことである。遺言は非常に厳格な要式行為であり、法定の方式に従わないものは効力を持たない(同第960条)。

 ここで、遺贈者は、遺言をした人(=遺言者)、すなわち、遺言により財産を与える人をいう。また、受遺者は、遺言により財産を与えられる人のことであり、遺贈者が自由に決めることができる。従って、法定相続人でない者、さらに法人なども受遺者とすることができる。なお、15歳以上の者は遺言をすることができる(同第961条。同第962条および同第963条も参照)。

 遺贈には包括遺贈と特定遺贈とがある(同第964条)。包括遺贈は、遺産に対する割合を示す方法をいう(例.相続財産の3分の1をEに遺贈させる)。これに対し、特定遺贈は、遺贈する財産を具体的に示す方法(例.相続人Fに東京都板橋区高島平一丁目▲番●号の土地■㎡を相続させる)。

 〔2〕遺言の種類

 民法においては三種類の遺言が定められている。

 第一に、自筆証書遺言である。遺言者は、自ら全文、日付、書名を書き、押印しなければならない(同第968条第1項)。但し、自筆によらない(例えば、PCで作成した)財産目録を自筆証書に添付したり、預貯金口座の通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などを目録として添付したりすることが認められるが、この場合でも添付書類の全てに遺言者が署名押印をしなければならない(同第2項)。自筆証書中の加除などの変更については、遺言者が変更場所を指示し、変更の旨を付記して特に署名押印しなければ効力を有しない(同第3項)。

 なお「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする」(同第1004条第1項)。

 また、自筆証書遺言を法務局(支局や出張所などを含む)において保管することができる(法務局における遺言書の保管等に関する法律第1条以下)。法務局に置かれる遺言書保管官は、自筆証書遺言(原本)を保管するとともに、自筆証書遺言の画像情報などを作成し、遺言書保管ファイルに記録する(同第6条・第7条)。

 第二に、公正証書遺言である(同第969条)。公証人役場において作成される遺言であり、費用はかかるが、家庭裁判所の検認が不要である(同第1004条第2項)など、自筆証書遺言よりも利便性が高いとも言える。

 第三に、秘密証書遺言である(同第970条以下)。秘密証書遺言の場合、遺言者が証書に署名押印を行った上で(証書の作成は遺言者の自筆によらなくともよい)、証書を封じて封印し、その封書を公証人1名および証人2名以上の前に提出し、遺言書である旨ならびに氏名および住所を申述する。これを受けて、公証人が証書提出の日付および遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者および証人とともに署名押印する。公正証書遺言と異なり、公証人も証人も遺言の内容を知ることはできない。また、秘密証書遺言の開封は家庭裁判所における相続人またはその代理人の立ち会い、および家庭裁判所の検認も必要とする。

 

 6.死因贈与

 死因贈与は、贈与契約(同第549条)のうち、贈与者が死亡することによって効力が生ずるものをいう(同第554条)。

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第5部:相続税・贈与税 第31回:事業承継税制

2022年11月23日 23時05分00秒 | 租税法講義ノート〔第3版〕

 1.事業承継税制の趣旨

 事業承継税制とは、中小企業の経営者から後継者(子、孫など)へ事業を円滑に承継させるための支援の制度をいう〈さしあたり、石村耕治編『税金のすべてがわかる現代税法入門塾』〔第11版〕(2022年、清文社)383頁[浅野洋、木村幹雄担当]、金子宏『租税法』〔第二十四版〕(2021年、弘文堂)752頁、小池正明『知っておきたい相続税の常識』〔第23版〕(2022年、税務経理協会)261頁を参照。とくに実務家向けの書籍や雑誌掲載記事(「税経通信」、「税務弘報」、「税理」などの)を読むとよい〉

 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、中小企業経営承継円滑化法)の附則第2条は「政府は、平成20年度中に、中小企業における代表者の死亡等に起因する経営の承継に伴い、その事業活動の継続に支障が生じることを防止するため、相続税の課税について必要な措置を講ずるものとする」と定めていた。これを受ける形で、2009(平成21)年度税制改正により、事業承継税制が導入され、2008(平成20)年10月1日に遡って適用された〔租税特別措置法第70条の7以下、「所得税法等の一部を改正する法律」(平成21年3月31日法律第13号)附則第63条〕。

 その後、2018(平成30)年度税制改正により、事業承継税制の適用要件が大幅に軽減される特例措置が追加された。この特例措置は、2018年1月1日から2027(令和9)年12月31日までの間に相続または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について適用される)。続いて、2019(平成31=令和元)年度税制改正により、個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度、および個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度が創設された。この納税猶予制度は、2019年1月1日から2028(令和10)年12月31日までの間に相続または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税について適用される。

 さらに、2021(令和3)年度税制改正により、個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度が拡充された(特定事業用資産に、一定の要件を備えた自動車が加えられる)。また、非上場株式等に係る相続税の納税猶予の特例制度の適用対象が拡充された。この特例制度は、後継者が相続開始直前において特定認定承継会社の役員でない場合であっても、被相続人が70歳未満であるとき(改正前は60歳未満)、または後継者が中小企業経営承継円滑化法施行規則に定められた確認を受けた特例承継計画に特例後継者として記載されているときには、特例制度の適用を受けることができる、というものである。

 2021年度税制改正については、自由民主党・公明党「令和3年度税制改正大綱」(2020年12月10日)45頁を参照されたい。

 

 2.相続税に係る事業承継税制 一般措置

 まず、認定承継会社とは、中小企業経営承継円滑化法第12条第1項に定められる認定(円滑化法認定。租税特別措置法第70条の7の2第2項第4号、同第70条の7第2項第4号)を受けた中小企業(同第1号)。その株式は非上場株式である。なお、常時使用従業員が1名以上であること、政令で定める資産保有型会社または資産運用型会社に該当しないこと、風俗営業会社に該当しないこと、などの要件がある。

 ここで、認定承継会社に該当しない資産保有型会社は、総資産の帳簿価額に占める特定資産の帳簿価額の合計額の割合が70%以上である会社をいう。また、認定承継会社に該当しない資産運用型会社は、総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が75%以上である会社である。

 次に、特定資産とは、有価証券、当該会社が自ら使用していない不動産、ゴルフ会員権、現金預金などをいう。

 事業承継税制の適用を受けるためには、次のような要件がある。

 まず、被相続人については、相続開始前において認定承継会社の代表権を有していた者であり、経営承継相続人等となる者を除く同族関係者と合わせて過半数の議決権を有するとともに筆頭株主であったことなどの要件がある。

 次に、経営承継相続人等については、被相続人から相続または遺贈により、当該認定承継会社の非上場株式等(議決権に制限のないものに限定される)を取得した相続人等(同第3号)。相続開始日の翌日から5か月を経過する日において当該認定承継会社の代表権を有し、同族関係者と合わせて過半数の議決権を有し、相続開始時から相続税の申告期限まで引き続き当該認定承継会社の株式等の全てを有する、などの要件がある。

 ここで、非上場株式等とは「当該株式に係る会社の株式の全てが金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されていないことその他財務省令で定める要件を満たす株式」(同第70条の2第2項第2号イ)または「合名会社、合資会社又は合同会社の出資のうち財務省令で定める要件を満たすもの」(同ロ)である。

 納税猶予分の相続税額は、当該認定承継会社の非上場株式等の発行済み株式または出資の3分の2までの部分に係る相続税額の80%(同第70条の7の2第2項第5号イに掲げる金額から同ロに掲げる金額を控除することによる)である〈80%とされたのは、個人事業者の場合には事業用宅地等の価額の80%に相当する額が相続税の課税価格から除外されていることと平仄を合わせるためである。金子・前掲書756頁〉結局、発行済株式または出資の総数または総額の約53%が猶予されるということになる。

 経営承継相続人等が被相続人から非上場株式等を相続または遺贈により取得した場合で、相続税法第27条第1項の規定による申告書に租税特別措置法第70条の7の2第1項の適用を受けようとする旨の記載をしたときには、納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該承継相続人等の死亡の日まで、納税猶予分の相続税額について納税が猶予される(租税特別措置法第70条の7の2第1項。用語の定義については同第2項も参照)。担保は、国税通則法第50条に定められる担保(公債、社債、土地、建物など。手続は国税通則法施行令第16条による)の他、認定承継会社の非上場株式等も認められる(手続は租税特別措置法施行令第40条の8の2第5項以下に定められる)。非上場株式等の全てが担保として提供された場合には、当該非上場株式等の価額の合計額が当該納税猶予分の相続税額に満たないとしても、租税特別措置法第70条の7の2第1項の適用については当該納税猶予分の相続税額に相当する担保が提供されたものとみなされる(同第6項本文)。

 租税特別措置法第70条の7の2第1項の適用を受けた経営承継相続人等が非上場株式等を所有したまま死亡した場合には、納税猶予分の相続税額が免除される(同第16項第1号)。

 また、経営承継期間〈租税特別措置法第70条の7の2第2項第6号により、同第1項の適用を受ける旨の申告書の提出期限の翌日から5年を経過した日、または経営承継相続人等の死亡の日の、いずれか早い日までの期間と定義される〉の末日の翌日以後に、経営承継相続人等が第70条の7第1項の適用に係る贈与をした場合には「猶予中相続税額のうち、当該贈与に係る特例非上場株式等で同項の規定の適用に係るものに対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する相続税」が免除される(同第2号。同第17項以下、租税特別措置法施行令第40条の8の2第44項も参照)。

 なお、経営承継期間内に経営承継相続人が認定承継会社の代表権を有しなくなった場合など、納税猶予期間が打ち切られる場合がある(租税特別措置法第70条の7の2第3項〜第6項、第9項、第10項、第12項、第13項)。

 

 3.相続税に係る事業承継税制 特例措置〈石村編・前掲書384頁において説明されているのは特例措置である。〉

 2018年度税制改正により追加された特例であり、適用期間は2018年1月1日から2027年12月31日までとされる。

 まず、特例認定承継会社は、中小企業経営承継円滑化法第12条第1項の認定(特例円滑化法認定。租税特別措置法第70条の7の5第2項第2号)を受けた中小企業である(同第70条の7の6第2項第2号)。その株式は非上場株式である。

 次に、特例被相続人は、特例認定承継会社の代表権を有していた者である。また、特例経営承継相続人等とは、特例被相続人から相続または遺贈により、当該特例認定承継会社の非上場株式等(議決権に制限のないものに限定される)を取得した相続人等である(同第7号。当該特例認定承継会社が定めた2人または3人まで)。さらに、特例非上場株式等とは、租税特別措置法第70条の2第2項第2号に定められる株式または出資である(同第70条の7の6第2項第5号)。

 納税猶予分の相続税額は、当該特例認定承継会社の非上場株式等の発行済み株式または出資に係る相続税額の全額である(同第1項)。結局、発行済株式または出資の総数または総額の100%が猶予される。

 特例経営承継相続人等が特例被相続人から非上場株式等を相続または遺贈により取得した場合で、相続税法第27条第1項の規定による申告書に租税特別措置法第70条の7の6第1項の適用を受けようとする旨の記載をしたときには、納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該承継相続人等の死亡の日まで、納税猶予分の相続税額について納税が猶予される(租税特別措置法第70条の7の6第1項。用語の定義については同第2項も参照)。担保については、租税特別措置法第70条の7の6第4項により、同第70条の7の2第6項が準用される。

 租税特別措置法第70条の7の6第1項の適用を受けた特例経営承継相続人等が非上場株式等を所有したまま死亡した場合には、納税猶予分の相続税額が免除される(同第12項により、同第70条の7の2第16項から第21項までが準用される)。

 特例経営承継期間〈租税特別措置法第70条の7の6第2項第6号により、同第1項の適用を受ける旨の申告書の提出期限の翌日から5年を経過した日、または経営承継相続人等の死亡の日の、いずれか早い日までの期間と定義される〉の末日の翌日以後に、特例経営承継相続人等が第70条の7第1項の適用に係る贈与をした場合には「猶予中相続税額のうち、当該贈与に係る特例非上場株式等で同項の規定の適用に係るものに対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する相続税」が免除される(同第70条の7の6第12項)。

 特例措置の適用を受けるためには、2018年4月1日から2024年3月31日までの期間内に「特例承継計画」を作成し、中小企業経営承継円滑化法第12条第1項に規定される認定を受けなければならない。

 特例経営承継期間内に特例経営承継相続人が特例認定承継会社の代表権を有しなくなった場合など、納税猶予期間が打ち切られる場合がある(租税特別措置法第70条の7の6第3項〜第9項による同第70条の7の2第3項〜第13項の準用)。

 特例認定承継会社の事業の継続が困難になったとして政令で定められる一定の場合において、特例経営承継期間の経過後に当該特例認定承継会社の非上場株式の全部または一部の譲渡をするとき、当該特例認定承継会社が合併により消滅するとき、当該特例認定承継会社が株式交換または株式移転により他の株式交換完全子会社等(会社法第768条第1項第1号、同第773条第1項第5号を参照)となったとき、または当該特例認定承継会社が解散をしたときには、税額を再計算のうえ、差額の減免などが行われる(租税特別措置法第70条の7の6第13項〜第20項)。

 

 4.贈与税に係る事業承継税制 一般措置

 まず、認定贈与承継会社は、中小企業経営承継円滑化法第12条第1項の認定を受けた会社のうち、当該会社の常時使用従業員が1人以上であることなど、租税特別措置法第70条の7第2項第1号に掲げられる要件をみたすものである。

 次に、贈与者は、当該認定贈与承継会社の代表権を有していた個人で、租税特別措置法施行令第40条の8第1項に掲げられる要件を全て満たす者である。これに対し、経営承継受贈者は、贈与者から贈与により当該認定贈与承継会社の非上場株式等を取得した個人で、租税特別措置法第70条の7第2項第3号に掲げられる要件(贈与の日において満20歳以上である、贈与の時において認定贈与承継会社の代表権を有している、贈与の日まで引き続き3年以上にわたり認定贈与承継会社の役員などの地位に就いている、など)の全てを満たす者である。

 また、特例受贈非上場株式等は、当該認定承継会社の発行済株式または出資の総数または総額の3分の2に達するまでの部分(政令で定められた部分)である。納税猶予分の贈与税額は、当該認定承継会社の非上場株式等の価額である(同第2項第5号)。

 経営承継受贈者が贈与人から特例非上場株式等を生前贈与により取得した場合で、相続税法第28条第1項の規定による申告書に租税特別措置法第70条の7第1項の適用を受けようとする旨の記載をしたときには、納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該承継相続人等の死亡の日まで、納税猶予分の贈与税額について納税が猶予される(租税特別措置法第70条の7第1項。用語の定義については同第2項も参照)。ここで、担保は、国税通則法第50条に定められる担保(公債、社債、土地、建物など。手続は国税通則法施行令第16条による)の他、認定承継会社の特例非上場株式等も認められる(手続は租税特別措置法施行令第40条の8第3項以下に定められる)。特例非上場株式等の全てが担保として提供された場合には、当該特例非上場株式等の価額の合計額が当該納税猶予分の贈与税額に満たないとしても、租税特別措置法第70条の7第1項の適用については当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保が提供されたものとみなされる(同第6項本文)。

 贈与者の死亡の時以前に経営承継受贈者が死亡した場合には、猶予中贈与税額に相当する贈与税が免除される(同第15項第1号)。

 贈与者が死亡した場合には、猶予中贈与税額のうち、当該贈与者が贈与した特例受贈非上場株式等に対応する部分の額として政令で定められた金額に相当する贈与税が免除される(同第2号。租税特別措置法施行令第40条の8第37項も参照)。

 経営贈与承継期間〈租税特別措置法第70条の7の2第2項第6号により、同第1項の適用を受ける旨の申告書の提出期限の翌日から5年を経過した日、または経営承継相続人等の死亡の日の、いずれか早い日までの期間と定義される〉の末日の翌日以後に、経営承継相続人等が第70条の7第1項の適用に係る贈与をした場合には「猶予中贈与税額のうち、当該贈与に係る特例受贈非上場株式等で同項の規定の適用に係るものに対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する贈与税」が免除される(租税特別措置法第70条の7第15項第3号。同第16項以下、租税特別措置法施行令第40条の8第38項も参照)。

 経営贈与承継期間内に経営承継相続人が認定承継会社の代表権を有しなくなった場合など、納税猶予期間が打ち切られる場合がある(租税特別措置法第70条の7第3項〜第6項、第11項、第12項)。

 

 5.贈与税に係る事業承継税制 特例措置

 2018年度税制改正により追加された特例であり、適用期間は2018年1月1日から2027年12月31日までとされる。

 まず、特例認定贈与承継会社は、中小企業経営承継円滑化法第12条第1項の認定(特例円滑化法認定)を受けた会社のうち、当該会社の常時使用従業員が1人以上であることなど、租税特別措置法第70条の5第2項第1号に掲げられる要件をみたすものである。

 次に、特例贈与者は、当該特例認定贈与承継会社の代表権を有していた個人で、租税特別措置法施行令第40条の8の5第1項に掲げられる要件を全て満たす者である。これに対し、特例経営承継受贈者は、特例贈与者から贈与により当該特例認定贈与承継会社の非上場株式等を取得した個人で、租税特別措置法第70条の7の5第2項第6号に掲げられる要件(贈与の日において満20歳以上である、贈与の時において当該特例認定贈与承継会社の代表権を有している、贈与の時において当該特例認定贈与承継会社の議決権の過半数を有する、贈与の日まで引き続き3年以上にわたり当該特例認定贈与承継会社の役員などの地位に就いている、など)の全てを満たす者(当該特例認定承継会社が定めた2人または3人まで)である。また、特例受贈非上場株式等は、租税特別措置法第70条の2第2項第2号に定められる株式または出資である(同第70条の7の5第2項第5号)。

 納税猶予分の贈与税額は、当該特例認定承継会社の非上場株式等の発行済み株式または出資に係る相続税額の全額である(同第1項)。結局、発行済株式または出資の総数または総額の100%が猶予される。

 特例経営承継受贈者が特例受贈者から特例非上場株式等を生前贈与により取得した場合で、相続税法第27条第1項の規定による申告書に租税特別措置法第70条の7の5第1項の適用を受けようとする旨の記載をしたときには、納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、当該特例受贈者の死亡の日まで、納税猶予分の贈与税額について納税が猶予される(租税特別措置法第70条の7の5第1項。用語の定義については同第2項も参照)。

 その上で、当該特例贈与者が死亡した場合には、贈与税が免除され、特例経営承継受贈者が当該特例受贈者から特例非上場株式等を相続または遺贈により取得したものとみなされる(相続税に移行することとなる。同第70条の7の7第1項)。さらに、当該特例経営承継受贈者が死亡するまで相続税の納税が猶予され、当該特例経営承継受贈者が死亡することにより、相続税も免除される(同第70条の7の8)。

 なお、担保については、租税特別措置法第70条の7の5第4項により、同第70条の7の2第6項が準用される。

 

 ▲第3版における履歴:2022年11月23日掲載。

 ▲第2版における履歴:「28 事業承継税制」として、2017年12月4日掲載。

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完全引退間近! 東急8500系8637F(BUNKAMURA号)

2022年11月22日 00時00分00秒 | 写真

時々、朝のラッシュ時などに見かけましたが、撮影したのは久しぶりです。BUNKAMURA号の8637Fのみが残っている8500系です。

 高津駅8時18分発の各駅停車押上行きとして運行されているところです。この電車に乗り、渋谷駅で降りました。その間、車内の広告を楽しみ、8500系の界磁チョッパ制御の音を楽しみました。あと2か月ほどで8500系は完全引退となります。

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大丈夫か?

2022年11月21日 07時00分00秒 | 国際・政治

 このところ、岸田内閣において大臣の辞任または更迭が続いています。

 まず、10月24日、山際大志郎氏が経済再生担当大臣を辞任しました(ちなみに、神奈川第18区からの選出であり、この選挙区には私が住んでいる川崎市高津区が含まれています)。11月11日には葉梨康弘氏が法務大臣を辞任しました。そして、11月20日、寺田稔総務大臣が辞表を提出し、岸田文雄内閣総理大臣が受理しました。3氏のいずれも、理由が異なるとはいえ、事実上の更迭となります。10月3日から第210回国会(臨時会)が開かれていますので、異常事態であるとしか言い様がありません。任命責任が問われてもおかしくありません。

 果たして、現在の内閣はこの難局を乗り切ることができるのでしょうか。今年中の内閣総辞職または衆議院の解散も考えられるところです。

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西武6000系6110F

2022年11月19日 13時00分00秒 | 写真

今回は西武6000系6110Fです。まずは、自由が丘駅5番線にFライナー特急小手指行きとして到着するところを撮影しました。

 Fライナー特急は東急東横線および横浜高速鉄道みなとみらい線での種別であり、東京メトロ副都心線に入るとFライナー急行に変更されます。そして、小竹向原駅でFライナー快速急行に変わり、西武有楽町線・西武池袋線に入ります。

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今も90周年ラッピング このまま100周年へ?

2022年11月18日 23時39分30秒 | 写真

自由が丘駅(TY07)6番線に停車中の5000系5122Fです。各駅停車石神井公園行きとして運用されているところを撮影しました。

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まだ本調子ではない

2022年11月16日 13時24分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 一応は回復しましたが、まだ本調子とは言えません。少しばかり、だるさのようなものが残っています。

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